フェティッシュ

2005年12月9日 映画
DVD アミューズソフトエンタテインメント 2002/03/01 ¥3,129
殺人事件に異常な興味を抱くガブリエラの心を捕らえて離さないのは、「ブルー・ブラッド・キラー」。事件に関する記事を探してはスクラップする毎日を送っていた。ある日、殺人現場専門の清掃会社の存在を知った彼女は、迷わずそこに転職。「ブルー・ブラッド・キラー」の現場に行きたいと申し出るが…。

郊外の小さな町。ノスタルジックな色調の穏やかな風景の中、突如路上にドサリと落ちてくる死体。騒然となる広場。布がかけられた死体の傍を、大人たちが離れた一瞬、それまでの様子を釘づけで見ていた少女がそっと近づき、布をめくり上げる…。
素晴らしいオープニングですね、堪りません。布をめくらずにはいられないガブリエラの衝動、その興奮がひしひしと伝わってくる(笑)。そっから先も、多分あんまりまともに生きてないわなこの娘、とこちらに予感させる見事な演出っぷりでありました。
この映画はなんといっても主人公のガブリエラが魅力的。殺人現場が見たいばっかりに嬉々として清掃員になっちゃう時点でかなりいかれてるが、その姿はなんだか「自分の夢に向かって真っ直ぐつき進む」汚れなき純粋さで満ちていて妙に素敵(笑)。きっとこういう風に殺されたに違いない、ここで刺されて、反対側の壁に衝突して、ここで床をはって逃げ、ここでもう一度刺されて…と、刃物片手にシミュレーションする彼女の動きは見とれてしまうほど美しい。バレエの一幕でも見ているようだ。殺人者役のウィリアム・ボールドウィンも、這いつくばって逃げようとする女のドレスのすそを踏んで見下ろしているあたり、なかなか見事な変態っぷり。彼に刺されまくった瀕死の女性たちが、ものも言わずにただのそのそと床を這っている姿は凄まじく気持ち悪くてゾッとする。ひょっとしてコーエン兄弟の「ブラッドシンプル」を意識してるんだろうか。あれも相当気色悪かったもんな。
これもまたアッサリしたエンディングで拍子抜けした方もいるでしょうが、ガブリエラの変人っぷりに好感すら抱いてた私としては大いに満足。あっはっは、良かったねガブリエラ。という感じ。彼女を見てるとなんだか、うん、変人でも大丈夫だな。私もたくましく生きて行こう、という変な勇気がわいてきます。

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