「少年サンデー」50周年、まずはおめでとうございます。
50周年記念号の付録が、歴代のサンデー連載マンガ家さんたちによる「おめでとうコメントとイラスト」だったんですけど、一緒にそれ見てたバイトの男の子が、皆川亮二のことも河合克敏のことも「知らない。聞いたこともない」とかおっしゃりやがりなさいまして、「キサマ!!男の子のくせに『ARMS』も読んでないのか!!」と、ロクハナ一人、延々キレまくっていたそうです。夜中3時のマンガ喫茶で。
そんなわけで今日は、「ARMS」です。
河合克敏はいずれまた(えええっ、後回し?!)。
最近ワイド版が出ました。「ARMS」です。アームズ、と読みます。主人公の少年たちが、身体に移植されたナノマシンを武器に、謎の組織と戦う王道少年マンガです。おわり。
こんなに説明が簡単なマンガなのに(3行しかかからなかった!)、毎回面白く読ませて続きが気になる、ちょっと感動させる、圧倒的な力の他に頭脳戦でも楽しませてくれる、バトルが面白い(どうやって倒すんだろう?と思わせてくれる、というのは大事だと思う。「どうせ勝つんだろー、と思うともう、そのマンガは詰まらないマンガだと思います」)倒した敵が仲間になる、など、少年マンガ的ツボをよく押さえたとっても面白いマンガ。「いやでも、こんなでかい組織相手に戦うのが高校生って…」「倒した途端に改心して仲間って、都合良くね?」などと思う隙を与えないスピード感もポイント(笑)。「殴り合って芽生える友情」とかって、女子にはかなり謎ポイントですよね実際。最近は男子でもそうか。
いや本当に、話が面白いので、未読の岩崎くん(本名)は是非読んでみたらいいと思うよ。「面白い」と言わせる自信あるよ私。もし詰まらなかったらフライドポテトおごってあげるよ(もっといいものおごってやれよ)。
以下は「ARMS」の内容、というかキャラクターに触れます。読んだことない人は別に面白くないと思うので読み飛ばしてください。かなりふざけて書いてますが。
ユーゴーが何度も瀕死状態に陥りながら辛くも生き延びるのは、セカンドヒロイン(ファーストヒロインはカツミちゃんだと思ってます)の久留間恵より人気があったからだと思ってました。ああいう薄幸そうな美少女って、なんか、イイヨネ。ドクターキリコの妹みたいで、たまりません(お前のツボか)。やっぱり困ったお兄さんを持つとみんな、ああいう感じに育つんだな(そんなことないだろ??)。
しかし彼氏に向かって「恵ちゃんより人気あったからだよね」と言うと「それもあると思うけど、やっぱり一番の理由は『テレパシストは便利』だと思う」と。ああーなるほど。そうですね。実際めちゃくちゃ使えてたもんね、恵ちゃんより何倍も(お前恵ちゃん嫌いなのか?!)。
仲間になりたての頃の天才少年アルが、何度もあっけに取られて「…。」みたいな顔してるのが、私はなんか、すごいツボに入ってしまって。面白くて大好きでした。だはははは、なんだこの顔(未だに面白いらしい)。
皆川さんのマンガって基本的にあんまり、「女と子供」は死なないですよね。仲間の場合。男は容赦ないですけどねー。オカマでも容赦ないしねー(笑)。X-ARMYのヴォルフは、尾田栄一郎のマンガだったら生き延びたかもしれないな。なんとなくだが。
つらつら書いてたら長くなってしまった。「ARMS」、保存用には新装のワイド版がオススメですが、ただ読むだけなら旧い方が良いと思う。マンガの厚さは、「うわー!もっと読みたい!!」と思うくらいの分量が適量だと思ってますので。ブックオフに行けば100円で買えます。王道少年マンガが好きな男子はもちろん、「最近の少年マンガ面白くない」と思ってる女子にもオススメだ。10年前には、こんな面白い少年マンガがあったんだぜ。
50周年記念号の付録が、歴代のサンデー連載マンガ家さんたちによる「おめでとうコメントとイラスト」だったんですけど、一緒にそれ見てたバイトの男の子が、皆川亮二のことも河合克敏のことも「知らない。聞いたこともない」とかおっしゃりやがりなさいまして、「キサマ!!男の子のくせに『ARMS』も読んでないのか!!」と、ロクハナ一人、延々キレまくっていたそうです。夜中3時のマンガ喫茶で。
そんなわけで今日は、「ARMS」です。
河合克敏はいずれまた(えええっ、後回し?!)。
最近ワイド版が出ました。「ARMS」です。アームズ、と読みます。主人公の少年たちが、身体に移植されたナノマシンを武器に、謎の組織と戦う王道少年マンガです。おわり。
こんなに説明が簡単なマンガなのに(3行しかかからなかった!)、毎回面白く読ませて続きが気になる、ちょっと感動させる、圧倒的な力の他に頭脳戦でも楽しませてくれる、バトルが面白い(どうやって倒すんだろう?と思わせてくれる、というのは大事だと思う。「どうせ勝つんだろー、と思うともう、そのマンガは詰まらないマンガだと思います」)倒した敵が仲間になる、など、少年マンガ的ツボをよく押さえたとっても面白いマンガ。「いやでも、こんなでかい組織相手に戦うのが高校生って…」「倒した途端に改心して仲間って、都合良くね?」などと思う隙を与えないスピード感もポイント(笑)。「殴り合って芽生える友情」とかって、女子にはかなり謎ポイントですよね実際。最近は男子でもそうか。
いや本当に、話が面白いので、未読の岩崎くん(本名)は是非読んでみたらいいと思うよ。「面白い」と言わせる自信あるよ私。もし詰まらなかったらフライドポテトおごってあげるよ(もっといいものおごってやれよ)。
以下は「ARMS」の内容、というかキャラクターに触れます。読んだことない人は別に面白くないと思うので読み飛ばしてください。かなりふざけて書いてますが。
ユーゴーが何度も瀕死状態に陥りながら辛くも生き延びるのは、セカンドヒロイン(ファーストヒロインはカツミちゃんだと思ってます)の久留間恵より人気があったからだと思ってました。ああいう薄幸そうな美少女って、なんか、イイヨネ。ドクターキリコの妹みたいで、たまりません(お前のツボか)。やっぱり困ったお兄さんを持つとみんな、ああいう感じに育つんだな(そんなことないだろ??)。
しかし彼氏に向かって「恵ちゃんより人気あったからだよね」と言うと「それもあると思うけど、やっぱり一番の理由は『テレパシストは便利』だと思う」と。ああーなるほど。そうですね。実際めちゃくちゃ使えてたもんね、恵ちゃんより何倍も(お前恵ちゃん嫌いなのか?!)。
仲間になりたての頃の天才少年アルが、何度もあっけに取られて「…。」みたいな顔してるのが、私はなんか、すごいツボに入ってしまって。面白くて大好きでした。だはははは、なんだこの顔(未だに面白いらしい)。
皆川さんのマンガって基本的にあんまり、「女と子供」は死なないですよね。仲間の場合。男は容赦ないですけどねー。オカマでも容赦ないしねー(笑)。X-ARMYのヴォルフは、尾田栄一郎のマンガだったら生き延びたかもしれないな。なんとなくだが。
つらつら書いてたら長くなってしまった。「ARMS」、保存用には新装のワイド版がオススメですが、ただ読むだけなら旧い方が良いと思う。マンガの厚さは、「うわー!もっと読みたい!!」と思うくらいの分量が適量だと思ってますので。ブックオフに行けば100円で買えます。王道少年マンガが好きな男子はもちろん、「最近の少年マンガ面白くない」と思ってる女子にもオススメだ。10年前には、こんな面白い少年マンガがあったんだぜ。
魅力が暴走している感じ。(※帯より)
2009年1月6日 読書
暴走どころか、大爆発です。栗田有起。
短編集と知らずに買って、最初の一編「サラブレッド」が終わる時には「ええええ?!終わりなの?これからなのに??!」と非常にがっかりしたんですが(それだけ面白かったんですよ)、他の短編も読んでいったらぐんぐん引き込まれて「あわわわ、どうしよう、面白い」とすっかり虜になってしまった。「鮫島夫人」の寂しいあたたかさ、「猫語教室」のいびつさと異様な昂ぶり、女たちの繋がり方が何故か淫靡で妙に気に入ってしまった「蛇口」、もう、うわー、うわー、と言うしかない「アリクイ」、凄いところへ来てしまったなとしばし呆然とする「さるのこしかけ」、醜い女の失意と悲しみに満ちた一生を羨む、ひどく美しい女のおぞましい世界を描いた「いのしし年」、意味も繋がりもまったく分からないけど、最後、唐突に出現する美しさに胸が打ち震える「ユニコーン」、など(などって、ほとんど全部書いてしまったが)、魅力が溢れてもうどうしてよいか分からないような短編ばかり。
最初の1、2編で「ちょっと、失敗かなー」と思っても(思った、ごめん)、そこで見限らずに是非続けて読んでいただきたい。
現実の軽さと夢の重みに引きずられ、気がつくと「どこだここは(汗)」と混乱する、そんな面白いところへきっと行けるはず。心細い、不安定な、頼りない足場。目覚める直前の夢のような焦燥感、夢から目覚めた直後の、安堵と物足りなさの入り混じった気持ち。全編読み通すと、ちょうど良い感じにそんな(変な)心持ちに。今すぐにでも、何かありえないものが見えそう。見えたものの意味は、まったく分からないだろうけども。
短編集と知らずに買って、最初の一編「サラブレッド」が終わる時には「ええええ?!終わりなの?これからなのに??!」と非常にがっかりしたんですが(それだけ面白かったんですよ)、他の短編も読んでいったらぐんぐん引き込まれて「あわわわ、どうしよう、面白い」とすっかり虜になってしまった。「鮫島夫人」の寂しいあたたかさ、「猫語教室」のいびつさと異様な昂ぶり、女たちの繋がり方が何故か淫靡で妙に気に入ってしまった「蛇口」、もう、うわー、うわー、と言うしかない「アリクイ」、凄いところへ来てしまったなとしばし呆然とする「さるのこしかけ」、醜い女の失意と悲しみに満ちた一生を羨む、ひどく美しい女のおぞましい世界を描いた「いのしし年」、意味も繋がりもまったく分からないけど、最後、唐突に出現する美しさに胸が打ち震える「ユニコーン」、など(などって、ほとんど全部書いてしまったが)、魅力が溢れてもうどうしてよいか分からないような短編ばかり。
最初の1、2編で「ちょっと、失敗かなー」と思っても(思った、ごめん)、そこで見限らずに是非続けて読んでいただきたい。
現実の軽さと夢の重みに引きずられ、気がつくと「どこだここは(汗)」と混乱する、そんな面白いところへきっと行けるはず。心細い、不安定な、頼りない足場。目覚める直前の夢のような焦燥感、夢から目覚めた直後の、安堵と物足りなさの入り混じった気持ち。全編読み通すと、ちょうど良い感じにそんな(変な)心持ちに。今すぐにでも、何かありえないものが見えそう。見えたものの意味は、まったく分からないだろうけども。
深海魚マリアというの
2009年1月2日 読書
太ってる女にすれ違いざま「でぶ」って言ってくるのは必ず高校生の男子ね。小学生でもない、中学生でもない、必ず高校生。
ってなんか物凄い説得力があって感心してしまった。すげえ。その通りだよ。夏石さんのこういうとこ、鋭いというか、「よく分かってるなあ」と思うのだ。
主人公のあおば(24歳、健康的な処女)や、「申し訳ないが、家に帰ってくるのが辛い」と言って近所で一人暮らしを始めるあおばのお父さん、それを案外あっさりと受け入れてしまう母。それぞれの思いを掘り下げていけば、勿論深い物語になるのだが、表面的には「なんじゃそりゃ」というわけのわからぬものでしかない。しかしだからこそというか、時々ぬっと表面に現れる奇妙な一言や表情などが実はずっと昔からの真実を言い表していて、言われた方は度肝を抜かれたりちょっとショックだったりするけど最終的には納得してしまう。「だってずっとそうだったんだもの。知らなかっただけで」。
あおばと同じ派遣社員の先輩(元デブ専のAV女優)が教えてくれる「超熟女」もの(主演の女優さんが70代、とかそういうこと)のAVのタイトルがまた秀逸。
「深海魚マリアというの」
「え。『深海魚マリア』ですか?」
「いいえ。『深海魚マリアというの』が全部タイトル」
すごい。なんか忘れられない。そうだよ海って深いもんね。波打ち際や水平線だけじゃないものね、などと、とても当たり前のことを思う。深海は未だに未知の世界だが、それはずっと昔からずっとある、当然に存在してるものなのだ。だけどわざわざ潜って確かめようとしなんてしないから、急に浮上されるとどうして良いか分からなくなてしまう。でも最終的には納得してしまうんじゃないかな。「だってそこにずっとありましたから。事実そうですから」というのは、物凄い説得力だと思うのよ。人間にとっては未知の世界でも、深海魚にしてみれば「別に」って感じのように。
ってなんか物凄い説得力があって感心してしまった。すげえ。その通りだよ。夏石さんのこういうとこ、鋭いというか、「よく分かってるなあ」と思うのだ。
主人公のあおば(24歳、健康的な処女)や、「申し訳ないが、家に帰ってくるのが辛い」と言って近所で一人暮らしを始めるあおばのお父さん、それを案外あっさりと受け入れてしまう母。それぞれの思いを掘り下げていけば、勿論深い物語になるのだが、表面的には「なんじゃそりゃ」というわけのわからぬものでしかない。しかしだからこそというか、時々ぬっと表面に現れる奇妙な一言や表情などが実はずっと昔からの真実を言い表していて、言われた方は度肝を抜かれたりちょっとショックだったりするけど最終的には納得してしまう。「だってずっとそうだったんだもの。知らなかっただけで」。
あおばと同じ派遣社員の先輩(元デブ専のAV女優)が教えてくれる「超熟女」もの(主演の女優さんが70代、とかそういうこと)のAVのタイトルがまた秀逸。
「深海魚マリアというの」
「え。『深海魚マリア』ですか?」
「いいえ。『深海魚マリアというの』が全部タイトル」
すごい。なんか忘れられない。そうだよ海って深いもんね。波打ち際や水平線だけじゃないものね、などと、とても当たり前のことを思う。深海は未だに未知の世界だが、それはずっと昔からずっとある、当然に存在してるものなのだ。だけどわざわざ潜って確かめようとしなんてしないから、急に浮上されるとどうして良いか分からなくなてしまう。でも最終的には納得してしまうんじゃないかな。「だってそこにずっとありましたから。事実そうですから」というのは、物凄い説得力だと思うのよ。人間にとっては未知の世界でも、深海魚にしてみれば「別に」って感じのように。
おおたうにの「ベリーベリーチェリーコーク」を見ていたら「読んでる雑誌で分かる、その人のファッション傾向」みたいなの載ってまして。
そういう安易なカテゴライズみたいなのって嫌いだな、と思ったのに、読んでたらまんまと「分かる!そう!!」とか乗り乗りで同調しちゃいまして。
おまえがいちばん安易だよと(すみません)。
私昔っから不思議だったんだ。
女なら誰でも、一度は思ったことあるんじゃないか。
雑誌「with」と「MORE」の違いは何??
って。いやまー、出版社が違うんですけど(withは講談社、MOREは集英社)、そういうことじゃなくて。載ってる洋服もモデルも特集も似たよーな感じなのに(というか同じだろ)、何故「withを買う人」と「MOREを買う人」に分かれるのか。両方ランダムに買う人もいますけどね。そりゃね、あれだけ似てりゃね。ぶっちゃけ表紙の芸能人がその時の気分に合ってる方を選ぶだけですよね。竹内結子か菅野美穂かとか。
でも不思議なんだけど、「どちらかというとwith」とか「なんとなくMORE」みたいに「ぼんやりと」傾向分かれることが結構多いなと思っていた。しかも本人に選んでいる意識はほとんどない。
ずっと昔だけど、同じバイトの後輩と喋っていて、なんか洋服の話にでもなったのか、「MOREとか読めばいいじゃないですかー」みたいなことを言われた。そこで私「withじゃダメなの?」と返したら、何故か彼女は虚を突かれたような顔をしていた。MOREしか読まない人にとって、withは全然見えてないのかもなと思った瞬間だった。「なんで?!コンビニ行けば大体となりどうしで並んでるだろ??」と思うでしょ。でもさ、やっぱ違うんだよ。子供の頃サンリオショップに行っても、気に入ってるキャラクター以外はあんまり見えてなかったでしょ?なんだこのファンシーな喩え。
同じ理屈で行くと「with」読者からも「MORE」は見えにくいはずなのだが、「MORE」読者の「with認識率(の低さ)」に比べると「意外と見えてるんじゃないかな」というのが私の勝手な見解。「MOREも見えてるけど、あえて、わたしは」です。そういう選択をものすごーーーく低い意識でやってる気がする。
ちなみにおおたうにさんの見解は「MOREに比べてwithはキャリア志向。MORE読者の憧れがオードリー・ヘプバーンならwith読者の憧れはキャサリン・ヘプバーン」。お見事です。私の長年の疑問一気に解決。そうなんだよ、まったく同じ雑誌に見えるのに、何故か私は「with」の方が読みやすいんだよ。って言うほど実は読んでないんだけど(ふたたびすみません)。withもMOREもモデルが着てるからなんとなくさまになってるように見えるけど、一般人が着ると老けて見えそうだなー、とか、コンサバティブ過ぎるだろー、みたいな服が多いよね。いや別に嫌いじゃないんだけど。便利だし。
あー、なんか、心なしか「with」の方がモテない系?
思えば買ってるマンガもなんとなく講談社寄りだな私。彼氏の好みのマンガが集英社寄りなので、いつのまにか私が「講談社担当」みたいになっただけかもしれませんが。同じ講談社でも、「モーニング」の連載だったら彼氏が担当、でも「アフタヌーン」の連載だったら確実に担当私だろ、みたいな空気になるのはなんで?(笑)
なんか、女同士で付き合っても私絶対「白泉社担当」になりそう(実はそんなに読んでないのに)。
最後に、おおたうにさんほど鮮やかには決められませんが、私なりの「with」と「MORE」の違いを記して締めたいと思います。
「MORE」は唯川恵、「with」は山本文緒。
今回もまた、最後まで男子にはちんぷんかんぷんな話でごめんなさい。
女子もか。
そういう安易なカテゴライズみたいなのって嫌いだな、と思ったのに、読んでたらまんまと「分かる!そう!!」とか乗り乗りで同調しちゃいまして。
おまえがいちばん安易だよと(すみません)。
私昔っから不思議だったんだ。
女なら誰でも、一度は思ったことあるんじゃないか。
雑誌「with」と「MORE」の違いは何??
って。いやまー、出版社が違うんですけど(withは講談社、MOREは集英社)、そういうことじゃなくて。載ってる洋服もモデルも特集も似たよーな感じなのに(というか同じだろ)、何故「withを買う人」と「MOREを買う人」に分かれるのか。両方ランダムに買う人もいますけどね。そりゃね、あれだけ似てりゃね。ぶっちゃけ表紙の芸能人がその時の気分に合ってる方を選ぶだけですよね。竹内結子か菅野美穂かとか。
でも不思議なんだけど、「どちらかというとwith」とか「なんとなくMORE」みたいに「ぼんやりと」傾向分かれることが結構多いなと思っていた。しかも本人に選んでいる意識はほとんどない。
ずっと昔だけど、同じバイトの後輩と喋っていて、なんか洋服の話にでもなったのか、「MOREとか読めばいいじゃないですかー」みたいなことを言われた。そこで私「withじゃダメなの?」と返したら、何故か彼女は虚を突かれたような顔をしていた。MOREしか読まない人にとって、withは全然見えてないのかもなと思った瞬間だった。「なんで?!コンビニ行けば大体となりどうしで並んでるだろ??」と思うでしょ。でもさ、やっぱ違うんだよ。子供の頃サンリオショップに行っても、気に入ってるキャラクター以外はあんまり見えてなかったでしょ?なんだこのファンシーな喩え。
同じ理屈で行くと「with」読者からも「MORE」は見えにくいはずなのだが、「MORE」読者の「with認識率(の低さ)」に比べると「意外と見えてるんじゃないかな」というのが私の勝手な見解。「MOREも見えてるけど、あえて、わたしは」です。そういう選択をものすごーーーく低い意識でやってる気がする。
ちなみにおおたうにさんの見解は「MOREに比べてwithはキャリア志向。MORE読者の憧れがオードリー・ヘプバーンならwith読者の憧れはキャサリン・ヘプバーン」。お見事です。私の長年の疑問一気に解決。そうなんだよ、まったく同じ雑誌に見えるのに、何故か私は「with」の方が読みやすいんだよ。って言うほど実は読んでないんだけど(ふたたびすみません)。withもMOREもモデルが着てるからなんとなくさまになってるように見えるけど、一般人が着ると老けて見えそうだなー、とか、コンサバティブ過ぎるだろー、みたいな服が多いよね。いや別に嫌いじゃないんだけど。便利だし。
あー、なんか、心なしか「with」の方がモテない系?
思えば買ってるマンガもなんとなく講談社寄りだな私。彼氏の好みのマンガが集英社寄りなので、いつのまにか私が「講談社担当」みたいになっただけかもしれませんが。同じ講談社でも、「モーニング」の連載だったら彼氏が担当、でも「アフタヌーン」の連載だったら確実に担当私だろ、みたいな空気になるのはなんで?(笑)
なんか、女同士で付き合っても私絶対「白泉社担当」になりそう(実はそんなに読んでないのに)。
最後に、おおたうにさんほど鮮やかには決められませんが、私なりの「with」と「MORE」の違いを記して締めたいと思います。
「MORE」は唯川恵、「with」は山本文緒。
今回もまた、最後まで男子にはちんぷんかんぷんな話でごめんなさい。
女子もか。
その昔、赤ん坊は赤ん坊職人が生地を捏ね、竈で焼いて作り上げていました。
へえー、そうなんだ。って普通に読めちゃうところがジュディ・バドニッツの凄いところだと思う(汗)。
とんでもないこと言ってくるくせに妙な説得力があって、最終的に「そうねえ。なんかそっちの方がいいかもねえ」と思ってしまう。「空中スキップ」に収められている短篇のひとつ、赤ん坊職人の話「ハーシェル」は、優秀な赤ん坊職人ハーシェルが、まるでパンでも作るかのように生地を捏ねて、寝かせて、じっくり焼いて、赤ん坊を作ってゆく過程が描かれている。この作業過程の描写が、錬金術めいていながらもとても現実的で、しかも不思議な暖かさに満ちているという素晴らしさに私はつい感動してしまった。「耳だけはつぼみの形に小さく丸めてあった。竈で焼かれるうちにそれがだんだんほどけて、花びらのように開くのだ」ってなんだこの面白い作り方(笑)。
「ハーシェル」もそうだけど、バドニッツは赤ん坊を題材に扱った作品が際立って秀逸。赤ん坊が生まれなくなった世界を描く、文字通りのタイトル「産まれない世界」のラストなんて、ちょっと眩暈を覚えるほど凄い、と思う。面白いのに切なくて、悲しいんだけど突き抜けた明るさがあって、これ一部の人にしか通じないと思うんだけど、羽海野チカの「暗記パン」の話読んだときを思い出したよ私は。あれもまた傑作ですね。「暗記パン」の話は「ハチミツとクローバー」の10巻に収録されてるので、未読の方は是非。
もちろん赤ん坊だけじゃなくて、女性の描き方もなんか、よく読むと独特だなあと思います。翻訳者の岸本さんも対談で言ってましたが、ステレオタイプという型に何の疑問もなく嵌って落ち着いている女性というのが、時に不気味だよね。という視点が、そこかしこにちらほら見えて面白い。どんなに揺らしてもピッと元の位置に戻る髪形とか、凄い笑顔と凄い短いスカートでまた物凄い開脚とか回転とか繰り広げるチアガールって「どう見ても究極に不自然」(笑)みたいな。この辺は「ステップフォード・ワイフ」にも通じる不気味さがあって私は非常に好き。チアガールたちの「スピリット」がどんどんエスカレートしていく「チア魂」は、そういう不気味さが炸裂してて面白い。これもまたお勧め作品です。
他にも、町からだんだん人がいなくなっていく静かな恐怖を描いた冒頭の短篇「犬の日」や、ある日突然「アメリカで最も平均的な男」と位置づけられた男性が、あらゆる大物(大手企業会社、大統領、映画監督、なんだかよく分からない女性たちの組織、神様)などから質問攻めにされる話「アベレージ・ジョー」など、奇想天外で面白い話ばかり。是非読んでいただきたい。
「空中スキップ」ジュディ・バドニッツ(マガジンハウス)
へえー、そうなんだ。って普通に読めちゃうところがジュディ・バドニッツの凄いところだと思う(汗)。
とんでもないこと言ってくるくせに妙な説得力があって、最終的に「そうねえ。なんかそっちの方がいいかもねえ」と思ってしまう。「空中スキップ」に収められている短篇のひとつ、赤ん坊職人の話「ハーシェル」は、優秀な赤ん坊職人ハーシェルが、まるでパンでも作るかのように生地を捏ねて、寝かせて、じっくり焼いて、赤ん坊を作ってゆく過程が描かれている。この作業過程の描写が、錬金術めいていながらもとても現実的で、しかも不思議な暖かさに満ちているという素晴らしさに私はつい感動してしまった。「耳だけはつぼみの形に小さく丸めてあった。竈で焼かれるうちにそれがだんだんほどけて、花びらのように開くのだ」ってなんだこの面白い作り方(笑)。
「ハーシェル」もそうだけど、バドニッツは赤ん坊を題材に扱った作品が際立って秀逸。赤ん坊が生まれなくなった世界を描く、文字通りのタイトル「産まれない世界」のラストなんて、ちょっと眩暈を覚えるほど凄い、と思う。面白いのに切なくて、悲しいんだけど突き抜けた明るさがあって、これ一部の人にしか通じないと思うんだけど、羽海野チカの「暗記パン」の話読んだときを思い出したよ私は。あれもまた傑作ですね。「暗記パン」の話は「ハチミツとクローバー」の10巻に収録されてるので、未読の方は是非。
もちろん赤ん坊だけじゃなくて、女性の描き方もなんか、よく読むと独特だなあと思います。翻訳者の岸本さんも対談で言ってましたが、ステレオタイプという型に何の疑問もなく嵌って落ち着いている女性というのが、時に不気味だよね。という視点が、そこかしこにちらほら見えて面白い。どんなに揺らしてもピッと元の位置に戻る髪形とか、凄い笑顔と凄い短いスカートでまた物凄い開脚とか回転とか繰り広げるチアガールって「どう見ても究極に不自然」(笑)みたいな。この辺は「ステップフォード・ワイフ」にも通じる不気味さがあって私は非常に好き。チアガールたちの「スピリット」がどんどんエスカレートしていく「チア魂」は、そういう不気味さが炸裂してて面白い。これもまたお勧め作品です。
他にも、町からだんだん人がいなくなっていく静かな恐怖を描いた冒頭の短篇「犬の日」や、ある日突然「アメリカで最も平均的な男」と位置づけられた男性が、あらゆる大物(大手企業会社、大統領、映画監督、なんだかよく分からない女性たちの組織、神様)などから質問攻めにされる話「アベレージ・ジョー」など、奇想天外で面白い話ばかり。是非読んでいただきたい。
「空中スキップ」ジュディ・バドニッツ(マガジンハウス)
子供が全然生まれなくなってしまった世界を描いた映画「トゥモローワールド」では、誰もがヒステリックになって犬や猫を飼っておりました。すごく分かる気がします。もうそれしかないのだから。
未知のウィルスにより犬だけが絶滅した世界を描いたコニー・ウィリスの「最後のウィネベーゴ」。無理だと分かっていても、諦めきれずにジャッカルを飼おうと試みる人が後をたたない。一度でも犬を飼ったことのある人なら、「バカバカしい」とは言い捨てられないはず。同じ状況になったら、私もそこにすがってしまうかもしれない。
「最後のウィネベーゴ」は、罪悪感から逃れるために間違った事実にすがろうとする主人公と、事実に真正面から立ち向かったがために誤った罪悪感に苛まれる少女の、互いの贖罪を描いた傑作。言っちゃいます傑作って。少女(ラストでは既に成人女性)の一言で主人公の脳裏に溢れ出す記憶の洪水。そこに隠されていた、余りに辛くて故意に隠していた真実と、「もし、あの時これがあれば」、ああはならなかったという平凡で幸福な結末。そしてそして最後の最後にあまりにも皮肉な素晴らしい代償。
すごいもの読んじゃったなあ、と感心しつつ、主人公と飼い犬の絆に涙腺が緩んでどうしようもなかった。これ犬飼ってた人は絶対、電車とかで読まない方がいいですよ。
ひとつ印象に残ってるのは、どんなに愛情深く思っている犬でも、写真に収められるとそこに写っているのは犬の種類を示すものでしかなくなっている、というところ。「ポチ」とか「ミロ」とか思って撮っても、写ってるのは柴犬とかレトリバーとかダックスフントとか、そんな風にしか見えない、と。犬に対する深い愛情を描きながら、一方でこういうクールな視点を持ってるところが私はとても好きです。まあこれもラストに繋げるための伏線のひとつなんですけどね。あ、あと「ミロ」ってのは長嶋有の小説に出てくる犬…(今その話どうでもいいし)。
誰もが罪悪感に耐えられなくて誰かに責任を押し付けようとした経緯が書かれてるだけに、少女ケイティの「わたしがジープで轢いたの!」と真っ向から受け止める姿勢はあまりにも眩しい。そこにつけ入ることでなんとか自分を救おうとする主人公の気持ちも痛いほど分かる。
最後に、私これ読んでてホント堪らなかったんだけど、いよいよ犬が地上から絶滅してしまいそうになる最終段階で、生き残ってるわずか数匹の犬は人間から隔離されるんですよ。その犬(ミーシャ)がね、ずっと入り口のドアを見てるんです。いつか飼い主が自分を迎えに来てくれる日をずっと待ってるの。もお!!もおなんか!!ウィルスに感染して死んでしまうとしても、地上から犬が滅びてしまうとしても、帰らせてあげなよ!!って泣きそうになりました。泣きました。
「最後のウィネベーゴ」は短編集で、表題作だけちょっと長いんだけど、後はすぐ読めるものばかり。最初の短篇「女王様でも」なんかほんの数ページだけど、私実はこれも大好きです。娘がサイクリストになるのを一族の女性全員で止めようとする話。「サイクリスト」が一体何なのかは読んでからのお楽しみ。
コニー・ウィリスは、「うんざりするような会話」を書かせたら本当に天下一品。長編だとそれだけ読んでうんざりしちゃう人も多いと思うけど、短篇だとぎりぎりセーフじゃないでしょうか。ダメ?あかんかった??いやまあ、さすがの私も「タイムアウト」や「スパイス・ポグロム」読んでるとさすがにうんざりしますが(これ読んでると結婚することすら嫌になる)、「女王様でも」の会話なんかは結構好きです。
最初にコニー・ウィリスを読むなら、うってつけじゃないかと思う一冊。表題作だけでも読んでほしーーー!!
『最後のウィネベーゴ』コニー・ウィリス(奇想コレクション 河出書房新社)
未知のウィルスにより犬だけが絶滅した世界を描いたコニー・ウィリスの「最後のウィネベーゴ」。無理だと分かっていても、諦めきれずにジャッカルを飼おうと試みる人が後をたたない。一度でも犬を飼ったことのある人なら、「バカバカしい」とは言い捨てられないはず。同じ状況になったら、私もそこにすがってしまうかもしれない。
「最後のウィネベーゴ」は、罪悪感から逃れるために間違った事実にすがろうとする主人公と、事実に真正面から立ち向かったがために誤った罪悪感に苛まれる少女の、互いの贖罪を描いた傑作。言っちゃいます傑作って。少女(ラストでは既に成人女性)の一言で主人公の脳裏に溢れ出す記憶の洪水。そこに隠されていた、余りに辛くて故意に隠していた真実と、「もし、あの時これがあれば」、ああはならなかったという平凡で幸福な結末。そしてそして最後の最後にあまりにも皮肉な素晴らしい代償。
すごいもの読んじゃったなあ、と感心しつつ、主人公と飼い犬の絆に涙腺が緩んでどうしようもなかった。これ犬飼ってた人は絶対、電車とかで読まない方がいいですよ。
ひとつ印象に残ってるのは、どんなに愛情深く思っている犬でも、写真に収められるとそこに写っているのは犬の種類を示すものでしかなくなっている、というところ。「ポチ」とか「ミロ」とか思って撮っても、写ってるのは柴犬とかレトリバーとかダックスフントとか、そんな風にしか見えない、と。犬に対する深い愛情を描きながら、一方でこういうクールな視点を持ってるところが私はとても好きです。まあこれもラストに繋げるための伏線のひとつなんですけどね。あ、あと「ミロ」ってのは長嶋有の小説に出てくる犬…(今その話どうでもいいし)。
誰もが罪悪感に耐えられなくて誰かに責任を押し付けようとした経緯が書かれてるだけに、少女ケイティの「わたしがジープで轢いたの!」と真っ向から受け止める姿勢はあまりにも眩しい。そこにつけ入ることでなんとか自分を救おうとする主人公の気持ちも痛いほど分かる。
最後に、私これ読んでてホント堪らなかったんだけど、いよいよ犬が地上から絶滅してしまいそうになる最終段階で、生き残ってるわずか数匹の犬は人間から隔離されるんですよ。その犬(ミーシャ)がね、ずっと入り口のドアを見てるんです。いつか飼い主が自分を迎えに来てくれる日をずっと待ってるの。もお!!もおなんか!!ウィルスに感染して死んでしまうとしても、地上から犬が滅びてしまうとしても、帰らせてあげなよ!!って泣きそうになりました。泣きました。
「最後のウィネベーゴ」は短編集で、表題作だけちょっと長いんだけど、後はすぐ読めるものばかり。最初の短篇「女王様でも」なんかほんの数ページだけど、私実はこれも大好きです。娘がサイクリストになるのを一族の女性全員で止めようとする話。「サイクリスト」が一体何なのかは読んでからのお楽しみ。
コニー・ウィリスは、「うんざりするような会話」を書かせたら本当に天下一品。長編だとそれだけ読んでうんざりしちゃう人も多いと思うけど、短篇だとぎりぎりセーフじゃないでしょうか。ダメ?あかんかった??いやまあ、さすがの私も「タイムアウト」や「スパイス・ポグロム」読んでるとさすがにうんざりしますが(これ読んでると結婚することすら嫌になる)、「女王様でも」の会話なんかは結構好きです。
最初にコニー・ウィリスを読むなら、うってつけじゃないかと思う一冊。表題作だけでも読んでほしーーー!!
『最後のウィネベーゴ』コニー・ウィリス(奇想コレクション 河出書房新社)
とるにたらないもののけ
2008年6月5日 読書「マンガ大賞」から。
ちょっと予想外に緑川ゆきの「夏目友人帳」(白泉社)が良くてびっくりしちゃったんですが。あ、いや大賞の「岳」ももちろん面白かったんだけど、こっちは最初からある程度面白いだろうなあと予想できてたので、その分インパクトが弱くなってしまった。なんたって大賞だし。その点緑川ゆきは「あ、ちょっといいもの見つけてしまった」というお得感もあって好印象。結果的に今の私は「岳」をさしおいて「夏目友人帳」を読んでおります。そして例によってまだ2巻です(バイトの休憩時間内に読むの限界あるってば)。
主人公の夏目君は、何だかわけのわからない、「もののけ」の類が見えてしまうという和製版コンスタンティン。身寄りがなかったのと、そのわけのわからないものを見てしまう能力のせいで大分苦労して育っています。
ある日、ふとしたきっかけで主人公と同じく霊力(のようなもの?)がやたらと強かった祖母の残した遺品「友人帳」を見つけた主人公は、それを狙う妖怪たちと真剣なわりに笑えるまったりバトルを繰り広げるわけですが。
いやもう、あのね、まず妖怪たちが可愛い。まずはもうちょっと節度を持って現れろと言いたくなるような登場の仕方。どことなく寂しげな様子。コミュニケーションの取り方がおかしな点、などなど。夏目の霊力を頼って「わしらの住処をお祓いする人がいるんで助けてください〜」とか来た二人(二人?)の妖怪たちなんて、朝から晩まで夏目にひっついてお世話しようとするんですよ。耐えかねた(笑)夏目が「わかった、話だけは聞いてやるから」と引き受けると超喜んで「夏目さまー、頑張ってくださいー」って扇子持って応援したりとか。
お前は一ノ瀬さんか(※めぞん一刻)。
いやなんか、うまく説明できないんですが、「彼らなりにけなげ」というとこが凄く可愛いんですよ。迷惑なんだけど(笑)。あと祖母の夏目レイコがまたね、変な奴なんだけど妙に優しかったりしてね。「友人帳」とか言ってるけどそこに載ってるの全部、レイコがやっつけた妖怪の名前ですから(笑)。いっつも苛められて友達いなかったレイコが、妖怪やっつけて彼らの名前貰って、「あなたきれいな名前なのね」って妖怪とは仲良くなれるとこでキュンとくる。仲良くなる方法が「やっつけ」ってのも凄いが。さすが苛められっこ。強いけど。
人からは見えないし、大した妖力も持ってない、取るに足らないものたちみんなのエピソードがいっこいっこ良いなあと思える作品。読んだらきっと、「情がうつり」ます。
ちょっと予想外に緑川ゆきの「夏目友人帳」(白泉社)が良くてびっくりしちゃったんですが。あ、いや大賞の「岳」ももちろん面白かったんだけど、こっちは最初からある程度面白いだろうなあと予想できてたので、その分インパクトが弱くなってしまった。なんたって大賞だし。その点緑川ゆきは「あ、ちょっといいもの見つけてしまった」というお得感もあって好印象。結果的に今の私は「岳」をさしおいて「夏目友人帳」を読んでおります。そして例によってまだ2巻です(バイトの休憩時間内に読むの限界あるってば)。
主人公の夏目君は、何だかわけのわからない、「もののけ」の類が見えてしまうという和製版コンスタンティン。身寄りがなかったのと、そのわけのわからないものを見てしまう能力のせいで大分苦労して育っています。
ある日、ふとしたきっかけで主人公と同じく霊力(のようなもの?)がやたらと強かった祖母の残した遺品「友人帳」を見つけた主人公は、それを狙う妖怪たちと真剣なわりに笑えるまったりバトルを繰り広げるわけですが。
いやもう、あのね、まず妖怪たちが可愛い。まずはもうちょっと節度を持って現れろと言いたくなるような登場の仕方。どことなく寂しげな様子。コミュニケーションの取り方がおかしな点、などなど。夏目の霊力を頼って「わしらの住処をお祓いする人がいるんで助けてください〜」とか来た二人(二人?)の妖怪たちなんて、朝から晩まで夏目にひっついてお世話しようとするんですよ。耐えかねた(笑)夏目が「わかった、話だけは聞いてやるから」と引き受けると超喜んで「夏目さまー、頑張ってくださいー」って扇子持って応援したりとか。
お前は一ノ瀬さんか(※めぞん一刻)。
いやなんか、うまく説明できないんですが、「彼らなりにけなげ」というとこが凄く可愛いんですよ。迷惑なんだけど(笑)。あと祖母の夏目レイコがまたね、変な奴なんだけど妙に優しかったりしてね。「友人帳」とか言ってるけどそこに載ってるの全部、レイコがやっつけた妖怪の名前ですから(笑)。いっつも苛められて友達いなかったレイコが、妖怪やっつけて彼らの名前貰って、「あなたきれいな名前なのね」って妖怪とは仲良くなれるとこでキュンとくる。仲良くなる方法が「やっつけ」ってのも凄いが。さすが苛められっこ。強いけど。
人からは見えないし、大した妖力も持ってない、取るに足らないものたちみんなのエピソードがいっこいっこ良いなあと思える作品。読んだらきっと、「情がうつり」ます。
「戦争なんて、あっという間に終わってしまうんですってよ」
2008年6月5日 読書初めて読んだブラッドベリ作品は、「火星年代記」ではなく「ウは宇宙船のウ」でもなく、「たんぽぽのお酒」や「ハロウィーンがやってきた」でもなく、「華氏451度」でした。
冒頭にちょっとだけ出てくる「ガソリンの匂い」という記述だけで、なんかもう既に怖かった。ただの静かな夜の描写なのに、何故か物凄く不穏で。まるで人でも焼いてきたかのような恐ろしさに満ちていて不気味。
「華氏451度」は、人間が深く考えることをやめてしまった、やめるよう仕向けられた社会を描く近未来SF。主人公の仕事は書物を焼くこと。華氏451度は、紙に火が付き、燃え上がる温度。
書物をもたない人々の娯楽は、次々と降ってくる絢爛な、でも一瞬で終わる刺激の連続。ここの描写だけでもかなり狂ってて禍々しい感じを受けるんですが、主人公が妻の友人夫婦に「どこかで起こっているらしい」戦争の話をふったときの反応が更に狂ってて凄まじい。「ええ。戦争。そうね、そんなことも確かにあるわね。でも、聞いたんですけど、戦争なんて、あっという間に終わってしまうんですってよ。兵士はみんなすぐに、帰ってくるんですって」そんな戦争あるわけないだろう。ということが、何故か誰にもわからない。「どこかで起こっているらしい」戦争が、まさに今頭上で起こっていることも分からない。
主人公が詩を朗読すると、涙を流して「だから嫌なのよ。悲しみばかり。だから詩って嫌なのよ」と叫ぶ人々。
考える力を奪われていることの不自由。自分が不幸だと気づかない不幸。恐ろしい物語でした。
ブラッドベリにしては「ストレートに不幸な未来」を描いてる感じで、実はちょっと珍しいなという印象(私見ですが)。でも最初に読むなら「火星年代記」とかより、むしろこっちの方が読みやすいのかなあ、と思います。
冒頭にちょっとだけ出てくる「ガソリンの匂い」という記述だけで、なんかもう既に怖かった。ただの静かな夜の描写なのに、何故か物凄く不穏で。まるで人でも焼いてきたかのような恐ろしさに満ちていて不気味。
「華氏451度」は、人間が深く考えることをやめてしまった、やめるよう仕向けられた社会を描く近未来SF。主人公の仕事は書物を焼くこと。華氏451度は、紙に火が付き、燃え上がる温度。
書物をもたない人々の娯楽は、次々と降ってくる絢爛な、でも一瞬で終わる刺激の連続。ここの描写だけでもかなり狂ってて禍々しい感じを受けるんですが、主人公が妻の友人夫婦に「どこかで起こっているらしい」戦争の話をふったときの反応が更に狂ってて凄まじい。「ええ。戦争。そうね、そんなことも確かにあるわね。でも、聞いたんですけど、戦争なんて、あっという間に終わってしまうんですってよ。兵士はみんなすぐに、帰ってくるんですって」そんな戦争あるわけないだろう。ということが、何故か誰にもわからない。「どこかで起こっているらしい」戦争が、まさに今頭上で起こっていることも分からない。
主人公が詩を朗読すると、涙を流して「だから嫌なのよ。悲しみばかり。だから詩って嫌なのよ」と叫ぶ人々。
考える力を奪われていることの不自由。自分が不幸だと気づかない不幸。恐ろしい物語でした。
ブラッドベリにしては「ストレートに不幸な未来」を描いてる感じで、実はちょっと珍しいなという印象(私見ですが)。でも最初に読むなら「火星年代記」とかより、むしろこっちの方が読みやすいのかなあ、と思います。
うつくしい明日のため
2008年3月16日 読書
ISBN:4832280546 コミック よしなが ふみ 芳文社 1998/02 ¥590
あーーーー、ダメだダメだ。いま私多分PMS(整理前なんたらっていうあれ)だから、単にそのせいで涙もろくなってるだけなのかもしれないけど、極端に感傷的になってるだけかもしれないけど、「ソルフェージュ」いいなあ!「巣立ちの歌」で津守と一緒に泣いてしまった。なんだよあれ。あんなにきれいな歌だったか??あんなに悲しい歌だったか??余韻で一時間くらいじわじわ泣いたよ。思い出したら今すぐにでも泣いてしまうよ。
人が人に与える影響力っていつも思いがけないものだったりして、「そんなつもりじゃなかった」とか、決して良いことばかりではないけど、こんな、こんな凄いこともあるんじゃん。こんな嬉しいこともあるんじゃん。すげー、なんかもう、本当に何故だと突っ込まれそうだけど、
自分が褒められたように嬉しい。
バカでごめんなさい。だってさ、自分が何気なくやってたことも、やけくそでやってたことも、もしかして無駄じゃなかったのかもしれないと思えてくるじゃないか。嫌々やってたことだって、誰かにとっては一生の宝物になってるかもしれないんだよ。人の人生変えちゃうくらい、凄いきっかけになってるかもしれないんだよ。そんな嬉しいことって他にあるか??そう思ったらなんかもう、堪らなくて、う、うえっ、えっ、えーーーーん(※泣いています)。
取り乱しているので内容ぜんぜん書けません。ごめんなさい。BLだからって理由で読めない人は本当に勿体無いと思いますよ。よしなが作品の中では「ジェラールとジャック」と同じくらい好きです。あ、そっちの感想書いてなかった…。
あーーーー、ダメだダメだ。いま私多分PMS(整理前なんたらっていうあれ)だから、単にそのせいで涙もろくなってるだけなのかもしれないけど、極端に感傷的になってるだけかもしれないけど、「ソルフェージュ」いいなあ!「巣立ちの歌」で津守と一緒に泣いてしまった。なんだよあれ。あんなにきれいな歌だったか??あんなに悲しい歌だったか??余韻で一時間くらいじわじわ泣いたよ。思い出したら今すぐにでも泣いてしまうよ。
人が人に与える影響力っていつも思いがけないものだったりして、「そんなつもりじゃなかった」とか、決して良いことばかりではないけど、こんな、こんな凄いこともあるんじゃん。こんな嬉しいこともあるんじゃん。すげー、なんかもう、本当に何故だと突っ込まれそうだけど、
自分が褒められたように嬉しい。
バカでごめんなさい。だってさ、自分が何気なくやってたことも、やけくそでやってたことも、もしかして無駄じゃなかったのかもしれないと思えてくるじゃないか。嫌々やってたことだって、誰かにとっては一生の宝物になってるかもしれないんだよ。人の人生変えちゃうくらい、凄いきっかけになってるかもしれないんだよ。そんな嬉しいことって他にあるか??そう思ったらなんかもう、堪らなくて、う、うえっ、えっ、えーーーーん(※泣いています)。
取り乱しているので内容ぜんぜん書けません。ごめんなさい。BLだからって理由で読めない人は本当に勿体無いと思いますよ。よしなが作品の中では「ジェラールとジャック」と同じくらい好きです。あ、そっちの感想書いてなかった…。
「まさかあなた、ハウルじゃないわよねえ?」
2008年2月12日 読書
ISBN:4778320328 コミック 志村 貴子 太田出版 2006/12/14 ¥1,000
「ふみ、ごめん!」て…、杉本先輩ったら何その魅力的な「不意打ちで下から覗きこんで上目使い」
ハ
ハ
ハウルかと思った(※ジブリアニメ)
バイトの休憩中にちまちま読んでるのでなかなか進みません。あーちゃんの動きと喋りがめっちゃ可愛いですね。「なんのことやらさっぱり」とか、「わたくしお茶をいれてまいります!」とか。かわええ…。私男だったら絶対天然の女子にやられるタイプだ。あーなんか嫌だ(汗)。
そして杉本先輩の名前「恭己」が「きょうこ」じゃなくて「やすこ」だということにさっき気付きました。急いで読むとホントダメダメですよ私。
「ふみ、ごめん!」て…、杉本先輩ったら何その魅力的な「不意打ちで下から覗きこんで上目使い」
ハ
ハ
ハウルかと思った(※ジブリアニメ)
バイトの休憩中にちまちま読んでるのでなかなか進みません。あーちゃんの動きと喋りがめっちゃ可愛いですね。「なんのことやらさっぱり」とか、「わたくしお茶をいれてまいります!」とか。かわええ…。私男だったら絶対天然の女子にやられるタイプだ。あーなんか嫌だ(汗)。
そして杉本先輩の名前「恭己」が「きょうこ」じゃなくて「やすこ」だということにさっき気付きました。急いで読むとホントダメダメですよ私。
ISBN:477832014X コミック オノ ナツメ 太田出版 2006/05/18 ¥683
ぐはーっ「ニコレッタ」って名前が可愛えええーーーー。
みんなに「そこかよ」と突っ込まれますが、そこです。主人公のニコレッタちゃん、すげえ可愛い名前ですね。久々にぐらっときました。しかも私の好きな赤毛ですよ。中表紙のスクエアカットのトップス着た格好も可愛いー。ぐはー、可愛いいーーー。あれ凄い鎖骨きれいに見えんのね。今すぐ似てるの探して買おうと思っちゃったよ。私今まで鎖骨なんてどうでもいいとなめてたけど、考え改めました。鎖骨大事です。ニコレッタの鎖骨は大事だああああ。
あ、勿論ね、ジジイ、失礼、老紳士たちも素敵なんですよ。「や、私別に老紳士萌えとかないし…」と思って見てるんだけど、まんまとやられます。ただのジジイは嫌だけど、紳士ならイイですよ!老紳士どんどんこーい!!ですよ。これ読んだ後に母校の○田先生の授業なんか受けたら確実に恋に落ちますよ。先生の弱った心臓に負担かけたくないから襲わないけど(そうじゃなかったら襲う気か)。
いやー、イイね、クラウディオ、色っぽくて。まー私の好みはジジだけどね(やっぱりね)。
でもね実際恋に落ちるとしたら、オルガじゃないが、私もオーナーを選んでしまうと思うのよ。ぜんぜん好みじゃないんだけどね(笑)。不思議ねー。
ぐはーっ「ニコレッタ」って名前が可愛えええーーーー。
みんなに「そこかよ」と突っ込まれますが、そこです。主人公のニコレッタちゃん、すげえ可愛い名前ですね。久々にぐらっときました。しかも私の好きな赤毛ですよ。中表紙のスクエアカットのトップス着た格好も可愛いー。ぐはー、可愛いいーーー。あれ凄い鎖骨きれいに見えんのね。今すぐ似てるの探して買おうと思っちゃったよ。私今まで鎖骨なんてどうでもいいとなめてたけど、考え改めました。鎖骨大事です。ニコレッタの鎖骨は大事だああああ。
あ、勿論ね、ジジイ、失礼、老紳士たちも素敵なんですよ。「や、私別に老紳士萌えとかないし…」と思って見てるんだけど、まんまとやられます。ただのジジイは嫌だけど、紳士ならイイですよ!老紳士どんどんこーい!!ですよ。これ読んだ後に母校の○田先生の授業なんか受けたら確実に恋に落ちますよ。先生の弱った心臓に負担かけたくないから襲わないけど(そうじゃなかったら襲う気か)。
いやー、イイね、クラウディオ、色っぽくて。まー私の好みはジジだけどね(やっぱりね)。
でもね実際恋に落ちるとしたら、オルガじゃないが、私もオーナーを選んでしまうと思うのよ。ぜんぜん好みじゃないんだけどね(笑)。不思議ねー。
わたしの体は銀と海賊とでできている
2008年1月5日 読書 コメント (4)
ISBN:4560092001 単行本 ジャネット・ウィンターソン 白水社 2007/11 ¥2,100
新年早々なんてことを。ジャネット・ウィンターソンの新刊発見。去年の11月に出てたそうですが、全然知りませんでした(コニー・ウィリスフィーバーだったので)。
母さんはわたしをシルバーと名づけた。わたしの体は銀と海賊とでできている。
ほがーーーー!!なんて素晴らしい出だし。相も変らぬ研ぎ澄まされたジャネット節(いやまあ、海賊が港にいるあいだに母親の体内に錨おろして、またさっさと海に帰って行ったってだけなんですが)。こんなイイ出だしだと嬉しくって鼻血が出ます。ぼたぼたぼた。しかもあれだ。「さくらんぼの性は」に登場した「床のない奇妙な家」を彷彿させる、「崖の上に斜めに突き刺さった家」で始まる描写!!(個人的に私あの話大好きだー!!)命綱つけてないと崖から転落する変な家。「好むと好まざるとにかかわらず」(命綱のロープで)しっかりと結びついている母子。面白い!面白過ぎる!!完全に私好みの話だよどうしよう……。
買ってしまった(あーあ)。年末に必死で鴻巣友季子のエッセイを買うの諦めたというのに、ここでハードカバー買っちゃったら意味ないだろう。何をやってるんだ私は…。なんか、本邦初訳のブラッドベリの本とかも見つけたけど、頑張って見ないふりしたよ。辛かったよ。よりによって出だしの描写がアイルランドだったんだぜ。行ったこともないくせに「アイルランド」と聞くだけでやたらと興奮する私にはホントきつかったよ…。
勢い余って、かねてよりお慕い申し上げておりました平松洋子さんのエッセイと、「おやすみプンプン」の2巻も購入(笑)。
鴻巣さんごめんなさい!!図書館に入荷したらぜったい読むから!!
鴻巣さんに限らず、翻訳者のエッセイって当たりが多いですよね。ええもちろん、ジャネット・ウィンターソンを訳してる岸本さんのエッセイも、私大好きであります。
新年早々なんてことを。ジャネット・ウィンターソンの新刊発見。去年の11月に出てたそうですが、全然知りませんでした(コニー・ウィリスフィーバーだったので)。
母さんはわたしをシルバーと名づけた。わたしの体は銀と海賊とでできている。
ほがーーーー!!なんて素晴らしい出だし。相も変らぬ研ぎ澄まされたジャネット節(いやまあ、海賊が港にいるあいだに母親の体内に錨おろして、またさっさと海に帰って行ったってだけなんですが)。こんなイイ出だしだと嬉しくって鼻血が出ます。ぼたぼたぼた。しかもあれだ。「さくらんぼの性は」に登場した「床のない奇妙な家」を彷彿させる、「崖の上に斜めに突き刺さった家」で始まる描写!!(個人的に私あの話大好きだー!!)命綱つけてないと崖から転落する変な家。「好むと好まざるとにかかわらず」(命綱のロープで)しっかりと結びついている母子。面白い!面白過ぎる!!完全に私好みの話だよどうしよう……。
買ってしまった(あーあ)。年末に必死で鴻巣友季子のエッセイを買うの諦めたというのに、ここでハードカバー買っちゃったら意味ないだろう。何をやってるんだ私は…。なんか、本邦初訳のブラッドベリの本とかも見つけたけど、頑張って見ないふりしたよ。辛かったよ。よりによって出だしの描写がアイルランドだったんだぜ。行ったこともないくせに「アイルランド」と聞くだけでやたらと興奮する私にはホントきつかったよ…。
勢い余って、かねてよりお慕い申し上げておりました平松洋子さんのエッセイと、「おやすみプンプン」の2巻も購入(笑)。
鴻巣さんごめんなさい!!図書館に入荷したらぜったい読むから!!
鴻巣さんに限らず、翻訳者のエッセイって当たりが多いですよね。ええもちろん、ジャネット・ウィンターソンを訳してる岸本さんのエッセイも、私大好きであります。
カエルちゃんもウサギちゃんも
2007年12月30日 読書
ISBN:4062126184 単行本 絲山 秋子 講談社 2004/10/28 ¥1,365
そういえば絲山秋子も良かったよなあ、と、追加。憧れの先輩を何年も何年もアホじゃないのというくらい慕い続け、すっかりいいように使われてる(もしくは使われていない)パシリ女子の主人公。そしてかつてはそりゃもうカッコ良くて才気走ってて素敵男子だったんでしょうけど、今じゃすっかり落ちぶれて、主人公の眼差しからしか尊敬の念を得られないダメな先輩「あなた」。こんなダメダメな二人なのに、なんだかずっと、見ていたいという不思議な気持ちにさせられます(笑)。
ダメも十年以上続けると、これはこれでもう、なんだか凄い域に達するなあと感心。
「くだらないなあ」と思う芸人が、10年後もずっと同じことやってたら思わず感動してしまわない?そんな感じ(どんな)。普通は途中でげんなりして、もう嫌だと「ダメ」を抜け出してしまいそうなものなのだけど。この二人の登場人物、いつまでたっても見事なくらいダメなんですよ(笑)。多分これからもずっとダメなんでしょう。
歳月をかけて磨きぬかれたこの「ダメ」人生。なんだかとっても面白い落語を聞いてるようで、「しょーもなー」と言いながら不思議と愛着がわいてくる。これはとっても、いい小説だなと思いました。
そういえば絲山秋子も良かったよなあ、と、追加。憧れの先輩を何年も何年もアホじゃないのというくらい慕い続け、すっかりいいように使われてる(もしくは使われていない)パシリ女子の主人公。そしてかつてはそりゃもうカッコ良くて才気走ってて素敵男子だったんでしょうけど、今じゃすっかり落ちぶれて、主人公の眼差しからしか尊敬の念を得られないダメな先輩「あなた」。こんなダメダメな二人なのに、なんだかずっと、見ていたいという不思議な気持ちにさせられます(笑)。
ダメも十年以上続けると、これはこれでもう、なんだか凄い域に達するなあと感心。
「くだらないなあ」と思う芸人が、10年後もずっと同じことやってたら思わず感動してしまわない?そんな感じ(どんな)。普通は途中でげんなりして、もう嫌だと「ダメ」を抜け出してしまいそうなものなのだけど。この二人の登場人物、いつまでたっても見事なくらいダメなんですよ(笑)。多分これからもずっとダメなんでしょう。
歳月をかけて磨きぬかれたこの「ダメ」人生。なんだかとっても面白い落語を聞いてるようで、「しょーもなー」と言いながら不思議と愛着がわいてくる。これはとっても、いい小説だなと思いました。
今年のベストブックは誰が何と言おうと
コニー・ウィリスの「最後のウィネベーゴ」(河出書房新社)で決まりです。短編集で、どれも素晴らしく面白いのですが、表題作は特に凄い。間違いなく傑作。
早くレビュー書かなきゃなーと思いながら、今年も暮れてゆきます。すみません。
他にイイなあ、と思ったのは、中島たい子の「漢方小説」ですね。男友達に押し倒されるシーンで、「何もかも彼に委ね、心地よい暖かさに満たされて、このまま流され……」みたいなことをお約束的に並べ立てた後、即、切り替わって「うーん、違うんだよなあ」と相手の男性に向かって言うとこが凄い面白いです。思わず笑いました。流されとこうよ、そこ(笑)。いや流されちゃいけないのは分かってるんだけど、大概は「ホントに欲しいもの」じゃなくても「そう悪くないもの」なら受け取ってしまうではないか(あー別に、恋愛に限った話ではなくてね)。それでなんか無自覚に自分誤魔化してるうちに、「あれ、私何がしたかったんだっけ」ってなっちゃうのが普通のパターン。それも別に悪くはないとお姉さん思うけど、たまに「あ、違う。これ要らない」ってパシッと言って貰えると、それが他人事であっても、見てて何だか嬉しいものなのですよ。清々しくて。いっつもそうだと疲れるけど、肝心なとこはそうだといいな。そうあってほしいな、自分。という、これは私の願望です。
あと、多分まだ単行本にはなってませんが、レベッカ・ブラウンの「パン」(雑誌「飛ぶ教室」冬号に収録)これもなかなかお勧めです。レベッカ・ブラウンの、あの文体で少女小説書かれると、なんか物凄く迫力ありますね(汗)。「体の贈り物」などを読んでる人は既にご承知でしょうが、レベッカ・ブラウンという人は本当に難しい単語や言い回しを使わない人で、というかむしろ、中学生英語のような簡単な言葉や単純な構文ばかり使う人で、にもかかわらず心に浸透するような文章を書き上げてしまうという凄い人なんですよ。その文体で少女小説を書かれると、最初は「まどろっこしいな」と思うのに、だんだん恐ろしく研ぎ澄まされた文章に圧倒されはじめ、思わず引き込まれて最後まで読んでしまいます。いやホントに、この人の書く文章は畏怖の念すら起こさせます。無駄口の多い私には一生真似できません。
マンガは、松本大洋の「竹光侍」と迷ったけど、単なる私の好みで(ええええ)鈴木志保に決定です。「ヘブン…」と「ちむちむパレード」。卑怯なくらい可愛らしい、そして卑怯なくらい無力な、小さくか弱き「あんたごとき」キャラたちの引き起こすハッピーエンド。「いたらない、およばない」そんな目もくれられないような哀しみが、ここまで化け物じみた力を持つなんてね。嬉しくて悲しくて涙が出てきてしまう。たまらなく愛おしい作品群です。…もうちょっと具体的に言えってか。うーん、「カモミール超可愛い」。
今年は自分でもびっくりするくらい本が読めませんでした。レビューは更に書けてませんね。申し訳ない。特に私のレビューを心待ちにしてくれている(ご奇特な)ヤシダさん、ごめん。来年はもっと本が読めたらと思います。
コニー・ウィリスの「最後のウィネベーゴ」(河出書房新社)で決まりです。短編集で、どれも素晴らしく面白いのですが、表題作は特に凄い。間違いなく傑作。
早くレビュー書かなきゃなーと思いながら、今年も暮れてゆきます。すみません。
他にイイなあ、と思ったのは、中島たい子の「漢方小説」ですね。男友達に押し倒されるシーンで、「何もかも彼に委ね、心地よい暖かさに満たされて、このまま流され……」みたいなことをお約束的に並べ立てた後、即、切り替わって「うーん、違うんだよなあ」と相手の男性に向かって言うとこが凄い面白いです。思わず笑いました。流されとこうよ、そこ(笑)。いや流されちゃいけないのは分かってるんだけど、大概は「ホントに欲しいもの」じゃなくても「そう悪くないもの」なら受け取ってしまうではないか(あー別に、恋愛に限った話ではなくてね)。それでなんか無自覚に自分誤魔化してるうちに、「あれ、私何がしたかったんだっけ」ってなっちゃうのが普通のパターン。それも別に悪くはないとお姉さん思うけど、たまに「あ、違う。これ要らない」ってパシッと言って貰えると、それが他人事であっても、見てて何だか嬉しいものなのですよ。清々しくて。いっつもそうだと疲れるけど、肝心なとこはそうだといいな。そうあってほしいな、自分。という、これは私の願望です。
あと、多分まだ単行本にはなってませんが、レベッカ・ブラウンの「パン」(雑誌「飛ぶ教室」冬号に収録)これもなかなかお勧めです。レベッカ・ブラウンの、あの文体で少女小説書かれると、なんか物凄く迫力ありますね(汗)。「体の贈り物」などを読んでる人は既にご承知でしょうが、レベッカ・ブラウンという人は本当に難しい単語や言い回しを使わない人で、というかむしろ、中学生英語のような簡単な言葉や単純な構文ばかり使う人で、にもかかわらず心に浸透するような文章を書き上げてしまうという凄い人なんですよ。その文体で少女小説を書かれると、最初は「まどろっこしいな」と思うのに、だんだん恐ろしく研ぎ澄まされた文章に圧倒されはじめ、思わず引き込まれて最後まで読んでしまいます。いやホントに、この人の書く文章は畏怖の念すら起こさせます。無駄口の多い私には一生真似できません。
マンガは、松本大洋の「竹光侍」と迷ったけど、単なる私の好みで(ええええ)鈴木志保に決定です。「ヘブン…」と「ちむちむパレード」。卑怯なくらい可愛らしい、そして卑怯なくらい無力な、小さくか弱き「あんたごとき」キャラたちの引き起こすハッピーエンド。「いたらない、およばない」そんな目もくれられないような哀しみが、ここまで化け物じみた力を持つなんてね。嬉しくて悲しくて涙が出てきてしまう。たまらなく愛おしい作品群です。…もうちょっと具体的に言えってか。うーん、「カモミール超可愛い」。
今年は自分でもびっくりするくらい本が読めませんでした。レビューは更に書けてませんね。申し訳ない。特に私のレビューを心待ちにしてくれている(ご奇特な)ヤシダさん、ごめん。来年はもっと本が読めたらと思います。
すべてのあんたごときの上に すべてのあたしごときの上に
2007年8月30日 読書
ISBN:4253105084 コミック 鈴木 志保 秋田書店 2005/12/16 ¥704
カモミールの行進で、力つきるカモミールに鼻水出して泣いてしまったみなさんこんにちは。カモミールが「ぱちっ」と目を覚ましたら、なんかもっと泣けてしまったみなさんこんにちは。もう読めないかと思ってた「船を建てる」復刊と、そのついで(?)にいろんなとこで平積みしてくれてる鈴木志保。嬉しいです。「ヘブン…」は鈴木志保を読んだことない人にも、というか鈴木志保を知らない人にこそ是非読んでいただきたい、オススメの一冊であります。とるにたらない小さなものたちに対して、世界はいつも無関心だ。それがなんでこんなに、残酷に見えたり優しく見えたりするんだろう。
あのね、コプタね、お花を助けようと思ったのね。そしたらね…
お家がお舟になったのよ
「すべてのあんたごときの上に すべてのあたしごときの上に」雨は無関心に降り注ぐ。そんなお話。
カモミールの行進で、力つきるカモミールに鼻水出して泣いてしまったみなさんこんにちは。カモミールが「ぱちっ」と目を覚ましたら、なんかもっと泣けてしまったみなさんこんにちは。もう読めないかと思ってた「船を建てる」復刊と、そのついで(?)にいろんなとこで平積みしてくれてる鈴木志保。嬉しいです。「ヘブン…」は鈴木志保を読んだことない人にも、というか鈴木志保を知らない人にこそ是非読んでいただきたい、オススメの一冊であります。とるにたらない小さなものたちに対して、世界はいつも無関心だ。それがなんでこんなに、残酷に見えたり優しく見えたりするんだろう。
あのね、コプタね、お花を助けようと思ったのね。そしたらね…
お家がお舟になったのよ
「すべてのあんたごときの上に すべてのあたしごときの上に」雨は無関心に降り注ぐ。そんなお話。
ISBN:4253105181 コミック 鈴木 志保 秋田書店 2007/08/16 ¥1,155
…ふ、ふっか!ふっかっ!!っ!!!
復刊ですってよっ!!!!
全国のブローティガンファンのみなさん見てますか。
見てるわけありませんね。
ごめんなさいびっくりしすぎてどうコメントしていいか分かりません。
オウオウオウオウオウオウ(アシカ語)。
あわわわわ。とっても嬉しいです(訳)。
…ふ、ふっか!ふっかっ!!っ!!!
復刊ですってよっ!!!!
全国のブローティガンファンのみなさん見てますか。
見てるわけありませんね。
ごめんなさいびっくりしすぎてどうコメントしていいか分かりません。
オウオウオウオウオウオウ(アシカ語)。
あわわわわ。とっても嬉しいです(訳)。
のだめカンタービレ #18 (18)
2007年8月4日 読書
ISBN:4063406482 コミック 二ノ宮 知子 講談社 2007/06/13 ¥410
フランクが素敵な巻です。もうあれだ。フランクでいいんじゃないかターニャ……すいません。前回と同じコメントですいません。
ちょっとイイ感じの男子を見るとすぐターニャにあてがおうとしてごめんなさい。あてがうて。
フランク、大人しくしてると思ったら(正直存在すら忘れていたのだが)、めきめき力つけてくれちゃって…なんかカッコイイなあお前!私も一緒に演奏するなら絶対フランクがいいと思ってしまったよ。他は「お前ら野心ありすぎ」だからな(笑)。
実力ってあんな風にもついていけるんだなあと思ったら、むしょうに嬉しくなりました。まあ当たり前のことなんだけど、忘れてました。てへ。
フランクが素敵な巻です。もうあれだ。フランクでいいんじゃないかターニャ……すいません。前回と同じコメントですいません。
ちょっとイイ感じの男子を見るとすぐターニャにあてがおうとしてごめんなさい。あてがうて。
フランク、大人しくしてると思ったら(正直存在すら忘れていたのだが)、めきめき力つけてくれちゃって…なんかカッコイイなあお前!私も一緒に演奏するなら絶対フランクがいいと思ってしまったよ。他は「お前ら野心ありすぎ」だからな(笑)。
実力ってあんな風にもついていけるんだなあと思ったら、むしょうに嬉しくなりました。まあ当たり前のことなんだけど、忘れてました。てへ。
のだめカンタービレ #17 (17)
2007年8月4日 読書
ISBN:4063406326 コミック 二ノ宮 知子 講談社 2007/02/13 ¥410
ユンロンがめちゃくちゃ面白い巻です。なんだあいつー。
余りに面白いので、黒木くんとターニャがくっつくといいなあと思ってる私ですら「もうあれだ。ユンロンでいいんじゃないかターニャ(面白いから)」と思いました。男を選ぶ基準が、「面白さ」だけになってきました(どうしよう)。
千秋に「どうやって誘われよう?!」と燃えているユンロンの画は、何度見ても笑えます。ホントにすごい面白いです。あっはっは。たまんない。
ユンロンがめちゃくちゃ面白い巻です。なんだあいつー。
余りに面白いので、黒木くんとターニャがくっつくといいなあと思ってる私ですら「もうあれだ。ユンロンでいいんじゃないかターニャ(面白いから)」と思いました。男を選ぶ基準が、「面白さ」だけになってきました(どうしよう)。
千秋に「どうやって誘われよう?!」と燃えているユンロンの画は、何度見ても笑えます。ホントにすごい面白いです。あっはっは。たまんない。
「ヤング」っていうのがあるんですね。遡るとは夢にも思いませんでした。
時代劇で言ったら「暴れん坊将軍」の次に「暴れん坊大名」をやるようなものですよ。いや全然違うかな。違うな。
一瞬、「やったらいいのに」ってちょっと思っちゃいました。
時代劇で言ったら「暴れん坊将軍」の次に「暴れん坊大名」をやるようなものですよ。いや全然違うかな。違うな。
一瞬、「やったらいいのに」ってちょっと思っちゃいました。