VHS ワーナー・ホーム・ビデオ 1994/01/21 ¥2,604

ベトナム出征前夜、海兵隊員であるエディ・バードレース(リバー・フェニックス)は100ドルの賞金を賭けて「ドッグファイト」に参加する。ドッグファイトとは、いちばんブスな女の子をナンパしてきた男が勝ち、という、ブサイク女子代表ロクハナに言わせていただければ「クールな若者気取りやがってエラソーに。悪趣味を楽しむも男子のたしなみでございますってか。なめんじゃねえガキが。クソして寝ろ」ゲームである。負け犬の遠吠えですから大目に見てください。大声ですけど。
エディが目をつけたのは、カフェの片隅でギターを奏でるフォーク歌手志望の少女ローズ(リリ・テイラー)。精一杯おしゃれして、勇気を出してエディの誘いに乗ったローズに対し、エディはしだいに罪悪感をつのらせていく…。

恋愛映画のくくりになると思いますが、ベトナム戦争という背景が強い意味を持つ作品。海兵隊の傲慢さと悪趣味に対し、ローズのいる場所のなんて清浄かつ正常なことか。長い戦争が若い彼らからどれだけ多くの正常さを奪ったかと考えると、(時代背景もよく分かってないくせに)思わず胸を締めつけられる。
パーティに行くことに心ときめかせるローズ。ブスのコンテストだったと知って傷つくローズ。反省して深く侘びるエディに対し、再び心を動かすローズ。フォークシンガーの話の途中、「PPMなんか!」とボロクソに非難するローズ(私はここの彼女がとても好きである)。エディとぎこちないキスを交わすローズ。そして、ベトナムから復員したエディを無言で抱きしめるラストのローズ。ブサイクな彼女を演じているリリ・テイラーがもう、めちゃめちゃ可愛くて仕方ない。こんな可愛い子他にいるかよ?みんなどこ見てんのよ?という気持ちに本気でなる。

ほんの少し時代が移り、情勢が変わっただけで、エディを取り巻く環境はガラリと変わってしまう。英雄ともてはやされた時代は過ぎ去り、負傷して復員した彼に対する街の人たちの反応は冷たい。そんな中、一人変わらずにエディを迎え、抱きしめてくれるローズ。涙で声がつまって一言も話せない彼を、無言で慰めるように抱き続ける彼女。痛みに満ちたエディの心と、それを受けとめてくれるローズの存在、そして彼女の存在によって確実に救済された彼の魂。無言のまま映されるこのラストの場面ほど、清浄なシーンを私は知らない。

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