火星年代記 メモリアル・エディション
2006年3月10日 読書
DVD 紀伊國屋書店 2005/12/22 ¥16,800
紀伊国屋行くたびにこの映像が流れてるので気になって仕方ない。私はレイ・ブラッドベリが大好きだが、「火星年代記」のTVドラマ版は存在すら知らなかった。有名なのか?みんな知ってるの?ひょっとしてヴォネガットの「タイタンの妖女」なんかもドラマ版あったりして??
なかった(だろうな)。
ドラマ版については何ひとつ知らないので、原作「火星年代記」について書きます。
たぶん、多くの人が、思ってたのと全然違う物語を読むことになったのではないでしょうか?少なくとも私はそうでしたが。有名な古典SFなのでオチだけ知ってる人も多いと思うけど、そこへ行きつく過程がまさかあんなに、詩情に満ちたエピソードの断片だとは思ってもいなかったのでは。
私が印象に残っているのは、火星を目指していたはずの宇宙船が何故か過去の地球(らしき場所)へと降り立ってしまった話。かつて自分が暮らしていた懐かしい町、今はもう亡くなっているはずの両親、兄弟、友達が、若々しく、健康な姿で自分を迎えてくれる。懐かしい笑みを浮かべて。親しげに。幸福そうに。「こいつめ、どこ行ってたんだよ」駆け出さずにいられようか?「宇宙船で待機せよ」そんな命令に従える者は誰一人いなかった。この町全体の醸し出す、息の詰まるような幸福感と悪夢のような気持ち悪さに私はすっかり参ってしまう。自分がかつて少年時代を過ごした子供部屋、ニ段ベッドや机、立てかけてあるバットとグローブ、壁や柱の模様も傷も、すべてがそのまま。昔のまま。どれもこれも懐かしく、幸福に満ちている。あまりにも。おぞましいほどに。美しく。輝きに満ちて。若々しく。色あせながら。
素晴らしい!吐きそうだ!助けてくれ!誰か!!幸福の洪水にむせ返る!!読んでて文章に酔ったんじゃないかというくらい、頭がくらくらして眩暈まで起こしかけた。素敵だな、こんな火星旅行。二度と行けないんじゃないかしら。
ブラッドベリは短篇もいっぱい書いてるけど、最初に読むならやっぱり「火星年代記」を推します。私は「華氏四五一度」でしたが。書物に火がつき、燃え上がる温度――。これもいいよなあ、最初からちゃんと恐くて。SFを読んだことがない方へ、特にお勧めしたい。
紀伊国屋行くたびにこの映像が流れてるので気になって仕方ない。私はレイ・ブラッドベリが大好きだが、「火星年代記」のTVドラマ版は存在すら知らなかった。有名なのか?みんな知ってるの?ひょっとしてヴォネガットの「タイタンの妖女」なんかもドラマ版あったりして??
なかった(だろうな)。
ドラマ版については何ひとつ知らないので、原作「火星年代記」について書きます。
たぶん、多くの人が、思ってたのと全然違う物語を読むことになったのではないでしょうか?少なくとも私はそうでしたが。有名な古典SFなのでオチだけ知ってる人も多いと思うけど、そこへ行きつく過程がまさかあんなに、詩情に満ちたエピソードの断片だとは思ってもいなかったのでは。
私が印象に残っているのは、火星を目指していたはずの宇宙船が何故か過去の地球(らしき場所)へと降り立ってしまった話。かつて自分が暮らしていた懐かしい町、今はもう亡くなっているはずの両親、兄弟、友達が、若々しく、健康な姿で自分を迎えてくれる。懐かしい笑みを浮かべて。親しげに。幸福そうに。「こいつめ、どこ行ってたんだよ」駆け出さずにいられようか?「宇宙船で待機せよ」そんな命令に従える者は誰一人いなかった。この町全体の醸し出す、息の詰まるような幸福感と悪夢のような気持ち悪さに私はすっかり参ってしまう。自分がかつて少年時代を過ごした子供部屋、ニ段ベッドや机、立てかけてあるバットとグローブ、壁や柱の模様も傷も、すべてがそのまま。昔のまま。どれもこれも懐かしく、幸福に満ちている。あまりにも。おぞましいほどに。美しく。輝きに満ちて。若々しく。色あせながら。
素晴らしい!吐きそうだ!助けてくれ!誰か!!幸福の洪水にむせ返る!!読んでて文章に酔ったんじゃないかというくらい、頭がくらくらして眩暈まで起こしかけた。素敵だな、こんな火星旅行。二度と行けないんじゃないかしら。
ブラッドベリは短篇もいっぱい書いてるけど、最初に読むならやっぱり「火星年代記」を推します。私は「華氏四五一度」でしたが。書物に火がつき、燃え上がる温度――。これもいいよなあ、最初からちゃんと恐くて。SFを読んだことがない方へ、特にお勧めしたい。
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