ISBN:4150102627 文庫 カート・ヴォネガット・ジュニア 早川書房 2000/00 ¥672

ブラッドベリを紹介したからにはヴォネガットも書かねば。と何故か繋げて考えてしまうのだよね。どこがどう繋がってんだか。

私実はヴォネガットとの出会いの方が、ブラッドベリより古いんですよ。私の大好きな大好きな大好きな大好きな、あんまり好き過ぎてホントに好きなのかどうかいまいち怪しいブローティガンの小説「愛のゆくえ」(新潮文庫。現在は絶版して別の出版社から出てます)の訳者後書きに、「今アメリカで最も愛されている作家は、リチャード・ブローティガンかカート・ヴォネガット・ジュニアだろう」というようなことが書いてあり、ブローティガンファンの私は勝手にライバル視しておりました。1回も読んだことないくせに。でもそこはそれ、やはり気になって試しに読んでみたらあっさり嵌まってしまったという。ちなみに最初に読んだ作品は「母なる夜」でした。ヴォネガットの代表作だと言われる割に何故かあまり読まれていない不思議な作品(笑)。内容を説明するのは難しいんですけど(私がアホなので)、なんと言ったらいいか、「可哀想なスパイ小説」でした。面白かったなあ。

で、「タイタンの妖女」。爆笑問題の太田がこれ大好きだそうで、その効果もあってかちょっと売れていたようだ。素敵な影響力。ブローティガンも大好きとか言ってくれないかな。
「タイタンの妖女」を読んだ私の率直な感想ですが、これは「ガツンとSF」でした。火星行ったり水星行ったりしてるからとかそういうことではなくて(そういう意味でもたっぷりSFではありますが)、ラムファードに操られるコンスタントの運命がもう、あまりに凄くてあまりに悲惨で、SF慣れしてない私はひたすらに「あわわわわわ」。地球で大富豪だったかと思えば火星で一切の記憶と自由を奪われた兵士となっており、水星では漂流生活、地球に戻ってくると途端に何故か救世主扱い。うおを。なんか物凄いことになってるのは分かるんだが、つ、ついて行けぬ…。そもそも最初の「時間等曲率漏斗」の説明からして頑張って読んでるのにさっぱり理解できず、「こんなの分かるだ。太田さんてすげえ」という本当にしょうもない感想を持つのがやっとの私。すいません、力不足で。
でもね、一ヵ所だけ物凄く心を捉えて離さない場面があるんですよ。地球から遠く離れたある場所に不時着した仲間のため、その星の人は地球人を使って万里の長城だとか宮殿だとかを作らせ、それらをメッセージとして仲間に見せるのだけど、そのメッセージの内容が「交換部品もっか至急製作中」だの「お前を忘れたわけではない」だの、なんかもう、実にガックリくるようなしょうもない言葉ばっかりなのだ。あれだけ地球人の労力使わせといてそれですか?!と思うと、もう泣けるやら笑えるやら…。こういうのってちょっと、脱力しちゃって良いよね。

苦労して読んだけど確かに面白いですよ。興味持った方は頑張って挑戦してみてくだされ。そして私に「時間等曲率漏斗」を教えてください。

コメント

nophoto
シノ
2006年3月16日9:43

太田さんの事務所「タイタン」はこの本からとったのかな?書道の昇段審査を応援してくれたお礼に、ロクハナを想いつつ「時間等曲率漏斗」で掛け軸書くよ。え、いらない?

ロクハナ
ロクハナ
2006年3月16日16:39

事務所名、「タイタンの妖女」からとったらしいですね。だからってわけじゃないですが、私は「タイタン」所属の芸人に少し甘いです(笑)。掛け軸、私の作品「女子十二楽坊」弟の作品「少林寺三十六房」と並べて床の間に飾らせていただきます。

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