ISBN:4560071217 ジャネット・ウィンターソン(ソフトカバー) 岸本 佐知子 白水社 1997/10 ¥998
ジャネット・ウィンターソンの作品では最初に読んだ「オレンジだけが果物じゃない」をさんざん推してきたのだが、久々にこちらを読み返したら余りの面白さに卒倒しそうになった。「あと十五分ほどで真夜中という時間だった。夜空は二つに分かれ、片側は晴れ、あとの半分は雲っていた」初っ端から私を掴んで引き込むこのヘンテコ描写。いや別に、普通のよくある空なんだけど、普通はそんな空を描かないと思う。
ひとつひとつ物語られる、魅惑的な物語の断片。ときに美しく幻想的で、ときにおぞましく下卑ていて、脆い夢のようでありながらいつまでも鮮明さを失わない。読んでいるうちにいくつかの断片が繋がり、重なり合って、過去も現在も未来も、すべてのものが今、ここにあるかのような不思議な感覚を呼び起こす。今ある自分を通して、かつて遠い昔に存在していた誰かが透けて見えるような。あるいは遥か遠い未来にいる誰かなのか。
もちろん、それ以前に断片ひとつだけ取っても恐ろしく面白い。床がなく、家具のすべてが天井から吊ってある家。人々はウィンチやロープを使って移動する。ここの人たちは、こと足の下にあるべきものの必要は一切認めず、頭の上のことだけを考えて暮らしているのである。最初の方に出てくるこの断片だけでもすっかり魅了されるが、さらにぞくぞくと、これでもかこれでもかと凄いイメージが繰り出されてもうすっかり参ってしまう。初めてバナナを見た人々の反応など、ガルシア=マルケスの「百年の孤独」で初めて氷を触った人の感想「煮えたぎってるよ!!」と同じくらい面白い。
起承転結という流れの物語でないにも関わらず、読むのを止めることができない。こんな不思議な面白さを、是非多くの人に味わっていただきたい。絶対損はしないはず。タイトルで引かないでー。
画像はソフトカバーの白水Uブックスで出てますが、これは非常に読みづらいので、出来れば無理してでもハードカバーを探して読まれることをお勧めします。
ジャネット・ウィンターソンの作品では最初に読んだ「オレンジだけが果物じゃない」をさんざん推してきたのだが、久々にこちらを読み返したら余りの面白さに卒倒しそうになった。「あと十五分ほどで真夜中という時間だった。夜空は二つに分かれ、片側は晴れ、あとの半分は雲っていた」初っ端から私を掴んで引き込むこのヘンテコ描写。いや別に、普通のよくある空なんだけど、普通はそんな空を描かないと思う。
ひとつひとつ物語られる、魅惑的な物語の断片。ときに美しく幻想的で、ときにおぞましく下卑ていて、脆い夢のようでありながらいつまでも鮮明さを失わない。読んでいるうちにいくつかの断片が繋がり、重なり合って、過去も現在も未来も、すべてのものが今、ここにあるかのような不思議な感覚を呼び起こす。今ある自分を通して、かつて遠い昔に存在していた誰かが透けて見えるような。あるいは遥か遠い未来にいる誰かなのか。
もちろん、それ以前に断片ひとつだけ取っても恐ろしく面白い。床がなく、家具のすべてが天井から吊ってある家。人々はウィンチやロープを使って移動する。ここの人たちは、こと足の下にあるべきものの必要は一切認めず、頭の上のことだけを考えて暮らしているのである。最初の方に出てくるこの断片だけでもすっかり魅了されるが、さらにぞくぞくと、これでもかこれでもかと凄いイメージが繰り出されてもうすっかり参ってしまう。初めてバナナを見た人々の反応など、ガルシア=マルケスの「百年の孤独」で初めて氷を触った人の感想「煮えたぎってるよ!!」と同じくらい面白い。
起承転結という流れの物語でないにも関わらず、読むのを止めることができない。こんな不思議な面白さを、是非多くの人に味わっていただきたい。絶対損はしないはず。タイトルで引かないでー。
画像はソフトカバーの白水Uブックスで出てますが、これは非常に読みづらいので、出来れば無理してでもハードカバーを探して読まれることをお勧めします。
コメント
私の世界観を変えた「百年の孤独」が出てきたので、何となく嬉しくてコメントです。ロクハナさん、外国文学もよく読みますね!!自分の不勉強もありますが、どれも未知でおもしろそうです。
合格してからの方が忙しいかもしれないけど、また春からも頑張ってねー。