ダンス・ミー・アウトサイド
2006年4月2日 読書
ISBN:4087603121 文庫 W・P・キンセラ 集英社 1997/03 ¥510
サイラス・アーミンスキン君の書く文章って最高なんだ。綴りとか文法とかメチャクチャなんだけど、内容も語りも物凄く面白くて、大笑いしながら夢中で読んでしまう。笑いながらやりきれない気持ちになるけど、それってしょうがないよね。こんなこと、大笑いしながらじゃなきゃ話せないもの。君たちのささやかで無駄な抵抗、本当に意味がないよサイラス。でもすっごく、すっごく面白いね!大好き。
作者のキンセラは映画「フィールド・オブ・ドリームス」の原作者として日本でも有名。野球を題材にした小説を扱うイメージが強いかもしれないけど(実際そっちも面白い)、実はインディアンものの名手でもある。そして何より、短編小説の名手だ。
主人公のサイラス君は、カナダのインディアン居留置に住む18才のインディアン。白人の人種差別は酷いわみんな貧乏だわ揉め事は絶えないわ。そんな中なのにサイラス君、全然シケてないんだぜえ。可愛い女の子をナンパして、気に入らない警察の車はボコボコにして、そして女の子の彼氏と警官にボコボコにされて帰ってくるような毎日さ。あい、シケてますね。最初の話なんか、白人と結婚したサイラスの姉ちゃんに、どうにかして元恋人のインディアンの子を孕ませようとするお話。なんつーメチャクチャな、と呆気にとられていると、次の短篇、表題にもなっている「外で踊ろうぜ(ダンス・ミー・アウトサイド)」で思いも寄らぬ衝撃に立ちすくんでしまう。これはインディアンの女の子を強姦して殺した白人の男の子がほんの軽い刑しか受けなかったことに対し、居留置の男の子たちが復習を決意する話なんだけど…。これはどう伝えたらいいものか…。こんなに優しくて恐ろしい作品、初めて読みました。最後にサイラスの恋人サディが「しっかり抱いてちょうだいサイラス。わたしのことずっと離さないで」って震えながら抱きついてくるところがもう、たまらない気持ちにさせるんだけど、同時に物凄く恐いの。背筋がゾッとする。ネタバレになるので伝えられないのが本当にもどかしいんだが…これは是非読んでほしいので書かない。後で我慢できなくなったらまたどっかに書きます(笑)。サイラスたちが法廷で髪がボサボサだった理由に「毎日毎日ハイウェイの路肩に立って、町に出る車をヒッチハイクしなきゃならなかったんだ」とかサラッと書いてるとこも好き。サイラス…私と結婚して。
キンセラはさすが短篇の名手と言われるだけあって、物語の終わらせ方が素晴らしい。渦中の会話からスッと引いて、その周りにあるものの静かな描写で終わったりとか、どうにも解決のつかない一言で終わらせてみたりだとか。これはホント脱帽ですよ。
これだけ書いてるのに、この作品の良さを伝えられた気が全然しない。チキショー、いつかリベンジしてやる。
サイラス・アーミンスキン君の書く文章って最高なんだ。綴りとか文法とかメチャクチャなんだけど、内容も語りも物凄く面白くて、大笑いしながら夢中で読んでしまう。笑いながらやりきれない気持ちになるけど、それってしょうがないよね。こんなこと、大笑いしながらじゃなきゃ話せないもの。君たちのささやかで無駄な抵抗、本当に意味がないよサイラス。でもすっごく、すっごく面白いね!大好き。
作者のキンセラは映画「フィールド・オブ・ドリームス」の原作者として日本でも有名。野球を題材にした小説を扱うイメージが強いかもしれないけど(実際そっちも面白い)、実はインディアンものの名手でもある。そして何より、短編小説の名手だ。
主人公のサイラス君は、カナダのインディアン居留置に住む18才のインディアン。白人の人種差別は酷いわみんな貧乏だわ揉め事は絶えないわ。そんな中なのにサイラス君、全然シケてないんだぜえ。可愛い女の子をナンパして、気に入らない警察の車はボコボコにして、そして女の子の彼氏と警官にボコボコにされて帰ってくるような毎日さ。あい、シケてますね。最初の話なんか、白人と結婚したサイラスの姉ちゃんに、どうにかして元恋人のインディアンの子を孕ませようとするお話。なんつーメチャクチャな、と呆気にとられていると、次の短篇、表題にもなっている「外で踊ろうぜ(ダンス・ミー・アウトサイド)」で思いも寄らぬ衝撃に立ちすくんでしまう。これはインディアンの女の子を強姦して殺した白人の男の子がほんの軽い刑しか受けなかったことに対し、居留置の男の子たちが復習を決意する話なんだけど…。これはどう伝えたらいいものか…。こんなに優しくて恐ろしい作品、初めて読みました。最後にサイラスの恋人サディが「しっかり抱いてちょうだいサイラス。わたしのことずっと離さないで」って震えながら抱きついてくるところがもう、たまらない気持ちにさせるんだけど、同時に物凄く恐いの。背筋がゾッとする。ネタバレになるので伝えられないのが本当にもどかしいんだが…これは是非読んでほしいので書かない。後で我慢できなくなったらまたどっかに書きます(笑)。サイラスたちが法廷で髪がボサボサだった理由に「毎日毎日ハイウェイの路肩に立って、町に出る車をヒッチハイクしなきゃならなかったんだ」とかサラッと書いてるとこも好き。サイラス…私と結婚して。
キンセラはさすが短篇の名手と言われるだけあって、物語の終わらせ方が素晴らしい。渦中の会話からスッと引いて、その周りにあるものの静かな描写で終わったりとか、どうにも解決のつかない一言で終わらせてみたりだとか。これはホント脱帽ですよ。
これだけ書いてるのに、この作品の良さを伝えられた気が全然しない。チキショー、いつかリベンジしてやる。
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