ISBN:4150411077 文庫 レイ・ブラッドベリ 早川書房 2006/02 ¥840
字が大きくなってくれたのが嬉しくてしょうがないです、ブラッドベリの文庫。
以前書いた「刺青の男」と同様、こちらも短篇集。萩尾望都がマンガ化した「霧笛」で始まるので、読んでて「あ、アレか」と気付く人も多いはず。恐竜が灯台に会いに来る話、と言ってしまうと身も蓋もないが、何ヵ月もかけて水圧に身体を慣らしながら水面に現れる様は壮絶で、終わり方もうそ寒くなるような恐ろしさで素敵である。O・ヘンリ賞を受賞した快作「発電所」も入ってます。これはちょっと、SFの短篇としては上手すぎて嫌味なくらいの作品(笑)。素晴らし過ぎて文句のつけようがない分、偏愛しにくいです。いや別にしなくていいんだが。映画化された「サウンド・オブ・サンダー」も入ってますね。でも何より嬉しいのは、私の好きな「四月の魔女」が入っていること。後に長編「塵よりよみがえり」として一冊に纏められる中の断片なんですが、これは読んでて最高に気持ち良い作品。人や動物や物など、あらゆるものに「宿る」ことができる能力を持つ魔女セシーが、ひとりの少女に宿って恋を体験する物語。少女に宿る前のありとあらゆるモノに宿るセシーからして既にすごく気持ち良さそうで(夏の暑い日は涼しい川底でアメーバーに宿ることもできるんだよ、羨ましい)、この能力と引き換えに恋をするのは確かに惜しいなあと思ってしまう。もちろん少女に宿ってからのセシーもすっごく魅力的だから、是非そちらも楽しんでください。宿られた方の少女の事情なんかお構いなしに、セシーを応援してあげたくなること請け合い。
「刺青の男」はいわゆる近未来SFというか「ロケット時代」モノが多いんですけど、こちらは「四月の魔女」のようなノスタルジック風味の「不可思議な」物語が結構入ってるので、SFに抵抗ある人でも入りやすいと思います。
この短篇集、最初から素敵なんですよ。
「――愛をこめて
南のよき魔女グリンダの娘ネヴァに」
字が大きくなってくれたのが嬉しくてしょうがないです、ブラッドベリの文庫。
以前書いた「刺青の男」と同様、こちらも短篇集。萩尾望都がマンガ化した「霧笛」で始まるので、読んでて「あ、アレか」と気付く人も多いはず。恐竜が灯台に会いに来る話、と言ってしまうと身も蓋もないが、何ヵ月もかけて水圧に身体を慣らしながら水面に現れる様は壮絶で、終わり方もうそ寒くなるような恐ろしさで素敵である。O・ヘンリ賞を受賞した快作「発電所」も入ってます。これはちょっと、SFの短篇としては上手すぎて嫌味なくらいの作品(笑)。素晴らし過ぎて文句のつけようがない分、偏愛しにくいです。いや別にしなくていいんだが。映画化された「サウンド・オブ・サンダー」も入ってますね。でも何より嬉しいのは、私の好きな「四月の魔女」が入っていること。後に長編「塵よりよみがえり」として一冊に纏められる中の断片なんですが、これは読んでて最高に気持ち良い作品。人や動物や物など、あらゆるものに「宿る」ことができる能力を持つ魔女セシーが、ひとりの少女に宿って恋を体験する物語。少女に宿る前のありとあらゆるモノに宿るセシーからして既にすごく気持ち良さそうで(夏の暑い日は涼しい川底でアメーバーに宿ることもできるんだよ、羨ましい)、この能力と引き換えに恋をするのは確かに惜しいなあと思ってしまう。もちろん少女に宿ってからのセシーもすっごく魅力的だから、是非そちらも楽しんでください。宿られた方の少女の事情なんかお構いなしに、セシーを応援してあげたくなること請け合い。
「刺青の男」はいわゆる近未来SFというか「ロケット時代」モノが多いんですけど、こちらは「四月の魔女」のようなノスタルジック風味の「不可思議な」物語が結構入ってるので、SFに抵抗ある人でも入りやすいと思います。
この短篇集、最初から素敵なんですよ。
「――愛をこめて
南のよき魔女グリンダの娘ネヴァに」
コメント
ブラッドベリの初期の作品がみずみずしいって凄く分かります。あの溢れんばかりの瑞々しさが、読んでて気持ちいいんですよね。ストリーテリングめちゃめちゃ上手いと思いますよ(今更私が言うのもおこがましいですが)。最初に読んだとき、なんというか、「お話ってこんな風に物語ることができるんだ」という強烈なショックを受けたのを覚えています。
「二人じゃyネット」というタイトルの短編が収録されていて、これ、アメリカ現代文学ファンには相当笑える小説です。
早く図書館にでるといいねえ。ちなみに、僕の家の近所の横浜南図書館はセンスが悪いので、この類の本には絶対に遭遇できないの。
東京駅前の巨大ビルに巨大丸善がありますが、ここの外国文学売り場には感動しました。懐かしい本、レアな本の数々。それもプレミアプライス無し(笑 先日、このテの本をまとめて10冊買い増した。←誤字じゃあないよ(笑
このブログ、好きな本が一杯のっていてうれしいです。結構似たもの読んでますなあ。(爆
翻訳タイトルが多少お洒落でそそられて、それに引っかかり
「夜になると鮭は…」を買う羽目になってしまった・・・のが出会いでした。 考えてみると、本のタイトルで選んでるような気がする・・・。
さて、話はブラッドべりに戻りますが、10月はたそがれの月、
何かが道をやってくる、刺青の男 あたりの、麦わらの匂いがしそうな初期の本はかなりいいですね。
なんとなく鄙びた感じがするSFに、クリフォード・シマックの作品がありますが、「中継ステーション」は丸太小屋の農家が舞台だったりして、ちょっと奇妙な味わいでなかなか良いです。うーん、ルートビールの味だね!
「刺青の男」はブラボー!でした。誰にでも自信持って勧めちゃいます。他にもまだまだ読んでないのいっぱいあるので頑張りますよ。