インディアン・ジョー―フェンスポスト年代記
2006年5月2日 読書
ISBN:4163156402 単行本 レイ・キンセラ 文藝春秋 1995/06 ¥2,039
キンセラのインディアンものの中で、おそらくいちばんぶっ飛んでてドタバタしてます。北極にも行くし大学に講演にも行くし(トラックで向かう途中でブレーキが壊れ、パトカーに追われつつも猛スピードで止まれない)、ホッケーもするし牛追いもするしプロ野球球団も持つし(ほとんど詐欺まがいに押し付けられたのだが)、女王陛下にだってローマ法王にだって会いに行く。主人公サイラス君たちが偶然にも「女王陛下との楽しいひととき」を過ごすことになってしまうあたり、キンセラらしい魔法が効いてて上手いなあ、好きだなあと思いました。
私は同じシリーズの「ダンス・ミー・アウトサイド」を先に読んでたので、お馴染みの登場人物が出るたびに「ああ、あの人がまたこんなことを…」と妙な親近感をもって見てしまいます。サイラスの親友、フランク・フェンスポスト君が車を運転するたびに大破させるのは、もう「バナナで滑る」「ドリフでタライ」並みのお約束になってきました。もっとしっかり止めなきゃダメじゃないかサイラス(最後の方で一度タックルして無理矢理止めたのは偉かった。君が必死で止めた功績を誰も気付かなかったのは残念だが)。サイラス君の性格「基本的に受け身」「流されやすい」「しょうがないので傍観する」て、キ…キ…うぐぅ、キアヌ・リーヴスかお前は!(ゆってしまった)アマゾンの紹介文でも、サイラスじゃなくてフランクが「主人公かつ執筆者」とかいうことになってるぞ(笑)。サイラスなのにしょっちゅう「サイモン」とか言われてるし。周りに強烈なキャラが多過ぎて全然目立たないんだよな。まあそんなとこも大好きなんだが。私が好きになる男ってみんなこんなのばっかりだ。
「ダンス・ミー・アウトサイド」や「パナーシュ」みたいな、ズキンとくる作品やしみじみさせる作品は今回ほとんどないのだけど、その分笑える話が多いですから。
アイスホッケーでマッド・エッタ(巨漢の女呪術師)にゴールを守らせるとこまでは「やるだろうな」と思ってたが、エッタが守るのを面倒くさがってゴールポストに呪いをかけると、相手チームがいくらシュートしても何故か必ずパックがそれていくのには笑った。「牛の大群」はもうタイトルだけでフランク・フェンスポストが何かバカなことやらかしたんだろうと想像がつく。他人のパスポートを使ってたことがバレてテロリストの疑いがかかると、自分の無害さを証明しようと「おれたちはカナダで何度も逮捕されている。おれたちの指紋を調べて照合してくれれば、テロと関係ないことが分かるはずだよ」とサイラス。「ブリティッシュ・コロンビアとサスカチェワンとノース・ダコタとユタでも逮捕されてるから、そこの指紋と照合してくれてもいい」とフランク。あんたたちホントにいいコンビだよ。
個人的には「ダンス・ミー・アウトサイド」の方が好きなんだけど、どっちから読んでもいいと思います。このシリーズの他の短篇も翻訳してほしいなあ……。
追記。サイラス君たちのシリーズはこの2冊の他に、「and Other Stories」(文藝春秋)でも一篇読めます。訳は村上春樹。
キンセラのインディアンものの中で、おそらくいちばんぶっ飛んでてドタバタしてます。北極にも行くし大学に講演にも行くし(トラックで向かう途中でブレーキが壊れ、パトカーに追われつつも猛スピードで止まれない)、ホッケーもするし牛追いもするしプロ野球球団も持つし(ほとんど詐欺まがいに押し付けられたのだが)、女王陛下にだってローマ法王にだって会いに行く。主人公サイラス君たちが偶然にも「女王陛下との楽しいひととき」を過ごすことになってしまうあたり、キンセラらしい魔法が効いてて上手いなあ、好きだなあと思いました。
私は同じシリーズの「ダンス・ミー・アウトサイド」を先に読んでたので、お馴染みの登場人物が出るたびに「ああ、あの人がまたこんなことを…」と妙な親近感をもって見てしまいます。サイラスの親友、フランク・フェンスポスト君が車を運転するたびに大破させるのは、もう「バナナで滑る」「ドリフでタライ」並みのお約束になってきました。もっとしっかり止めなきゃダメじゃないかサイラス(最後の方で一度タックルして無理矢理止めたのは偉かった。君が必死で止めた功績を誰も気付かなかったのは残念だが)。サイラス君の性格「基本的に受け身」「流されやすい」「しょうがないので傍観する」て、キ…キ…うぐぅ、キアヌ・リーヴスかお前は!(ゆってしまった)アマゾンの紹介文でも、サイラスじゃなくてフランクが「主人公かつ執筆者」とかいうことになってるぞ(笑)。サイラスなのにしょっちゅう「サイモン」とか言われてるし。周りに強烈なキャラが多過ぎて全然目立たないんだよな。まあそんなとこも大好きなんだが。私が好きになる男ってみんなこんなのばっかりだ。
「ダンス・ミー・アウトサイド」や「パナーシュ」みたいな、ズキンとくる作品やしみじみさせる作品は今回ほとんどないのだけど、その分笑える話が多いですから。
アイスホッケーでマッド・エッタ(巨漢の女呪術師)にゴールを守らせるとこまでは「やるだろうな」と思ってたが、エッタが守るのを面倒くさがってゴールポストに呪いをかけると、相手チームがいくらシュートしても何故か必ずパックがそれていくのには笑った。「牛の大群」はもうタイトルだけでフランク・フェンスポストが何かバカなことやらかしたんだろうと想像がつく。他人のパスポートを使ってたことがバレてテロリストの疑いがかかると、自分の無害さを証明しようと「おれたちはカナダで何度も逮捕されている。おれたちの指紋を調べて照合してくれれば、テロと関係ないことが分かるはずだよ」とサイラス。「ブリティッシュ・コロンビアとサスカチェワンとノース・ダコタとユタでも逮捕されてるから、そこの指紋と照合してくれてもいい」とフランク。あんたたちホントにいいコンビだよ。
個人的には「ダンス・ミー・アウトサイド」の方が好きなんだけど、どっちから読んでもいいと思います。このシリーズの他の短篇も翻訳してほしいなあ……。
追記。サイラス君たちのシリーズはこの2冊の他に、「and Other Stories」(文藝春秋)でも一篇読めます。訳は村上春樹。
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