ISBN:4043640013 文庫 吉野 朔実 角川書店 2002/02 ¥520

「本の雑誌」で連載している、吉野朔実の読書マンガ。吉野さんのお友達が、吉野さんに薦めるラインナップがなかなか面白い。オリバー・サックスの「妻を帽子と間違えた男」、アゴタ・クリストフの「悪童日記」「ふたりの証拠」「第三の嘘」、宮部みゆきの「火車」

他、「町でいちばんの美女」「ヨーロッパぶらりぶらり」「リジーが斧をふりおろす」「蹄鉄ころんだ」「ゼウスガーデン衰亡史」「ムツゴロウの青春記」「『事件』を見にゆく」「閉鎖病棟」「安全ネットを突き抜けて」「ドクター・ディマー」「感応の精神病理」「地下鉄に乗って」「ロウフィールド館の惨劇」「催眠術師」「香水」「青い眼がほしい」「牛への道」「シンプル・プラン」「彼岸からの言葉」「ふくろうの叫び」「リプレイ」「雷電本記」などなど……。

く…いいなあ。こんなに薦めてもらえるなんてホントにいいよな。友達から薦められた本て、詰まらなくてもそれはそれで面白かったりしますね。「薦めてくれた人本人を読むことになるから、ハズレ本でも時間の無駄じゃない」と素直にいろいろ読まれる吉野さんの柔軟性って、ちょっと見上げたものですよ。

吉野さんの周りで評価が割れた作品、志水辰夫の「いまひとたびの」(新潮社。94年に結構売れた)。私はこれ全然読んでないんですが(すまん)、この本を非難してる人の意見に思わず同調してしまいました。

「『老婆が5時間、おしゃれするためにあれこれ悩んだあとが部屋に残ってる』ってあれ、2時間なら分かるわよ?人が5時間かけるのって大変なことなのよ?あれを簡単に「5」って書けちゃう神経が許せないのよ!!」

↑私もこういうとこ物凄く気になるタイプです。映画でもちょっと腑に落ちないセリフがあろうものならずーーーっと引っ掛かって、作品に全然集中できない。たまたまそこで音楽が良かったりするとその時だけはひとまず流されるのだが、後になってから「よくもあんな無神経なセリフを!!」てな感じでしつこいしつこい…。や、分かります。他の人にとってはどうでも良いことでも、引っ掛かってる人間にとっては物凄く気持ち悪いんですよね。

「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」はタイトルが良すぎるせいでタイトルだけで読んだ気になってしまうとか、いつでも読めると思っていつまでも読まない「アルジャーノンに花束を」とか(それで先にビリー・ミリガンを全部読んじゃったりするんだよね)、読書家のみなさんにとっては共感できるエピソードが多いのでは。このシリーズは面白いのでまた書きます。

コメント

nophoto
おち
2006年5月10日1:59

こんばんは

>腑に落ちないセリフ

に引っかかって物語り全体を楽しむことが出来ないって
面白いです。そういえばロクハナさんの作品評には、そういうの多いですよね。
これって女性的な感覚なのかなぁ。

女性と話す時は、注意に注意を重ねて
結局喋らないのが得策と決め込むと、
逆にまた問題なんですよね。

思いやりだけじゃ駄目なんだね。

ロクハナ
ロクハナ
2006年5月10日23:47

変なとこだけ潔癖というか、神経質なんですよね。
もうちょっと融通のきく女になりたいものです。

でも結構アホなので、とんでもなく無神経なセリフを
「なんておおらかな」などと良い方向に誤解することも
しょっちゅうです。

nophoto
おち
2006年5月11日2:59

>とんでもなく無神経なセリフを「なんておおらかな」など と良い方向に誤解することもしょっちゅうです。

これまた面白いね。
人と人って組み合わせで価値が色々変わるのでしょうね。

風変わりな目線と思慮深さとパンクさ。
融通の利かないロクハナさんはとても面白いと思うけどなぁ。

ロクハナ
ロクハナ
2006年5月12日0:30

思慮深いパンクってちょっと面白いですね(笑)。

組み合わせで価値が変わるっていうのはよくありますね。
そう考えると自分の下している価値判断て、
かなり相手に頼ってるんだなあと思います。

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