ISBN:4087474399 文庫 東野 圭吾 集英社 2002/05 ¥1,050

久しぶりに日本人作家読みたいナ☆と思って東野圭吾の「幻夜」を読んだら「白夜行」の続編だったという……。まったく。慣れない領域に手を出すとすぐこれだよ。

続編だからといって「幻夜」だけ読んでも面白かったですけどね。あれはあれで独立した作品として読んでも、まったく問題ないと思います。ただちょっと、「なんでそこまでして…」という腑に落ちない気持ちが残ったので、もしかして「白夜行」読んだら分かるのかな、とこちらも頑張って読みました。なかなか重量感のある二段組み本を立て続けに2冊……疲れました、本当に疲れました。疲れるんだけど気になってどんどん読んでしまうんですよ。よくこれだけ読者を引っ張れるな…と、疲れた目を抑えながら本当に感心してしまった。
やっぱり「百夜行」の方がスイスイ読めますね。「幻夜」も読みやすいんですが、途中で雅也が生肉や生魚を食べられなくなるでしょ。あの伏線で、「うわ、どんだけえげつないことしたんだ…。その場面て……後で絶対書かれてるんだよな。私そこ…読むんだよな(汗)」って、かなり怯えながら読んでました。実際その問題の場面を読むと「あ、お、思ったより大丈夫」でしたが(笑)。こういう、何があったかあっさり書かないとこも基本だけど上手いですよね。すぐに書いてくれてたらこんなに怖くないんですよ。何があったか分からないから、いろいろ凄いこと想像しちゃって自分で自分を怖くしてるんですよ。そしてこの恐怖心に打ち勝つには、実際に何があったかを知るしかないんですよ…。ううううう、どうしても読まなきゃいかんではないか。

他のブログの方も書いてましたが、私も「幻夜」は間にいろいろ他の本挟みながらじゃないと読めませんでした。人を陥れる策略とその実行を何度も何度も読んでると……なんかこっちまで気持ちが荒んできて逃避したくなります。続きが気になるからどうせ戻るんですが。ちょっとずつ小刻みに逃げながら読みました。「かりあげくん」の単行本がこんなに役に立つとはねえ(そこに逃げてたのか…)。
「白夜行」の方はそういういことしないでも読めました。「幻夜」の後に読んだのである程度慣れてきた(麻痺してきた)せいもありますが、主人公二人の心理がほとんど描かれてないのが楽だったからだと思います。これ、もし描かれちゃったら、とてもじゃないけど読めない…。「幻夜」が苦しいのは、雅也の苦しさが読者に伝わってしまうからですよね。

「白夜行」「幻夜」に共通する特徴として、物語の背景である時代の有名な事件や流行が描かれている、という点があります。オイルショック、インベーダーゲーム、阪神大震災、地下鉄サリン事件など。物語にかなり関わってくることもあるし、単にちょっとサービス的に描かれてるだけのものもある。でね、それらの中に「『ツイン・ピークス』ブーム」もちゃんと入ってるんですよ!!「ツインピークスブームのせいでケーキ屋のチェリーパイが売れてる」って、それだけなんですけど(もちろん作品の本筋とは全然関係なし)。ほらねー、ツインピークスってホントにちゃんとブームだったでしょー??私だけ嵌ってたわけじゃないのよー?!これを学生のみんなに言いたかった。それだけ。それだけのためにこんなにいっぱい余計なこと書いてごめん。

ところで2冊とも読み終えてから気付いたんですが、これ、ドラマ化してたんですね??いやー、どうりで学生が借りていくわけですよ。2段組の厚い本なんて滅多に貸し出しされないのに変だなーと思ってたら、そういうことだったんですか。いやはや、TVの力は凄い。そこにまったく気付かない私もある意味凄い。

最後に警告ですが、「白夜行」「幻夜」ともに読後感は悪いです。スカッとした終わり方だけは期待しない方がいいですよ。じんわりと広がる後味の悪さが、なんか、この作品の持つ暗さを誠実に表しているのかもしれない。

コメント

星姫
2006年7月11日7:24

私は最近「容疑者Xの献身」と「放課後」を立て続けに
読んだよ。「白夜行」は、ドラマみてないけどコマーシ
ャルをみてしまって俳優のイメージがついてしまい、手
をだしてないんだ。ロクハナはテレビでやってたのも気
づかなかったという(笑)。

ロクハナ
ロクハナ
2006年7月11日15:48

「放課後」ってデビュー作だよね?私もミステリーに嵌ってた頃読んだよー。その次の作品くらいまで読んでた気がする。その後はかなりあいて「秘密」。ぽつっ、ぽつっと読んでるな。ファンの人に怒られそうな読み方だ。
TVホントにやってたか?東北ではやってないんじゃないか?(そんなバカな)CMでも見た覚え全然ない…。ドラマの方が純愛っぽい作りになってそうですね。

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