「贋作・罪と罰」の再演話を聞いたときは即座に「どうアレンジしたってあれ(初演バージョン)を越えるのは無理だろう」と思いました。なんたって主演が大竹しのぶだったのだ。大竹しのぶ以上のインパクトと実力を持ってる女優なんて他にいるか?と。しかし主演が松たか子だと聞いて

「あ、なんか、それは、とても良さそうな気がする」

と、あっさり意見を覆し(いい加減だな相変わらず)。そうか松たか子か、その手があったか。ヒロインの三条英(さんじょうはなぶさ)のイメージでいったら、確かに大竹しのぶより嵌ってると思う。それに松たか子は演技力でいっても何気にかなり上手い(と思う。舞台でばかり見てるのでちょっと贔屓目になってる可能性もあるが)。そして何より、私好みだ

こうなってくると相手役が気になりますねー、そうですねー、前作では筧利夫さんでしたっけ?素敵でしたよねー才谷さん。キレまくってて変な奴で。で、今回はどちら様がおやりに?え?古田新太?

へー……。

あと15年、いやせめて10年若かったら…全然文句ないんですけどね…。そか、うむ、いや、なんというか、他に的役がいなかったということなんでしょうか。ちょっとこの配役だけは「妥協案」て感じだなあ。古田新太自体は私も大好きなんですが、松たか子の相手役となるといまいちチグハグなような。ホント若い頃の古田新太なら全然問題ないんだけど(しつこい)。

で、実際お友達にDVD借りて見てみました。おおおお、面白かったー。「円形劇場」と聞いたときにはどうなることかと不安に思ったが、そんなのまったく杞憂であったよ。前回に引けを取らない良い演出だったと思う。キャストもそれぞれ嵌ってて良かったし。私は初演にめちゃめちゃ思い入れがあるのでつい初演のキャストと比べてしまうのだが、そういう目で見てもほとんど全員問題なく、満足のいく思い。個人的に目付護之進役のマギーが良かったと思う。古田新太も、やっぱり、容貌的にちょっと無理あるなとは思うけど、勢いに乗って見れば大丈夫です(ホントかよ)。

「贋作・罪と罰」を初演(と言ってもTV放送)で見たとき、私はまだ学生で舞台にも疎く、「野田秀樹」という人をあんまり知らなかった。「そういや大竹しのぶの子供の運動会に来てたかな?」程度。だから彼が三条清役で舞台に出てきたときもさっぱりピンと来ず、

「この作品、凄く面白いけど、この役者(野田秀樹)じゃなかったらもっと面白かったんじゃないかなあ

などという、いろいろな意味で凄いことを平気で口走っていた(汗)。素人というのはたまに、「みんなが思ってるけど口には出せないこと」をあっさり言うので恐ろしいものです。

初演バージョンを繰り返し繰り返し見てるせいで、セリフが頭に入っちゃうくらい内容を把握してる私ですが、再演バージョンもとっても面白く見ることができました。満足。やっぱ松子(松たか子)の英は嵌り役だったなあー。

ちなみに私は原作「罪と罰」(ドストエフスキー)も大好きです。

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