少女小説から世界が見える
2006年7月15日 読書
ISBN:4309204597 単行本 川端 有子 河出書房新社 2006/04/21 ¥1,680
この本に載ってるエセル・フランクリン・ベッツの描く「小公女」の挿絵が物凄く素敵なので是非見てほしい。特に屋根裏部屋からヒビだらけの器を抱えて、外に顔出してるセーラが最高。物凄く誇り高いというか強情そうで、オドレイ・トトゥを思わせる横顔には一筋縄でいかないクセモノ感も漂っており、素敵だ。これはもう、完全に原作のセーラですね(原作の挿絵なので当たり前ですが)。ぜっったいに泣かなそうです。
私もそうなんですけど、子供の頃にハウス名作劇場で「小公女」を見てるとどうしてもセーラに対して「虐げられる可哀相な少女」という強い思い込みが出来てしまっています。だから原作を読んで「あ、けっこう、言うなこいつ」とか思ってもそこだけキレイに無視されて、アニメのイメージと重なるとこだけ強く記憶に残ってしまうんですよね。アニメの大人しいセーラと違って、原作のセーラは気が強くて癇癪持ちで、ミンチン先生をやり込める皮肉も吐くくらいの気丈な少女であります。これは別に「小公女」に限った話ではなくて、他の作品もアニメ化にあたって多かれ少なかれ脚色されているものなのでしょう。私がハウス名作劇場版の「若草物語」(TV放送タイトルは「愛の若草物語」)をあまり見られなかったのも、原作より戦争色が強かったせいじゃないかと今になって思います。
なかなか本題に入れません(汗)。「少女小説から背買いが見える―ペリーヌはなぜ英語が話せたか」とても面白く読みました。「若草物語」「家なき娘」(アニメ版では「ペリーヌ物語」)「小公女」「赤毛のアン」「あしながおじさん」などの有名な少女小説。それらのヒロインたちが社会に対してどんな存在であって、どのようにして社会に組み込まれていくかを追うだけでもとても面白いのだけど、それぞれの作品がお互いに政治的、歴史的に関連を持って繋がり始めると、また今まで見えてなかった背景が見えてきて凄く新鮮。私はひとつの作品に対して感傷的に入れ込みがちなので、こんな風にもっと別の大きな視点を与えてくれると、思いきり世界が広がったようでわくわくします。ひとつひとつの作品を説明しながら「繋がり」を論じるのって大変だと思うんですけど、とても的確に構成してあって分かりやすかったです。
この本の本筋にはほとんど関係ないんだけど、なんてことない小さな指摘も実は好きでした。「若草物語」のメグを苦心の末ドレスアップさせる詳細な描写なんかをとりあげて、こういう、工夫しておしゃれをする楽しさ、みたいなディティールは、「実は結末よりはるかに読者の心に残っているらしい」と書いてあるのも、「ああー!わかるわかる!」って言いたくなります。S・ヴァン・アビーの描く「貴婦人のように着飾らされたメグ」なんてまるでスカーレット・オハラみたいで、もう、うっとりして見てしまいますよ。あとメイドの生活事情とか赤毛の系譜に関するコラムも面白かったです。
引用される物語は内容を追いながら解説してくれているので、未読の本があってもまったく大丈夫です。でもこの本読んだら急に興味がわいてきて、すぐにでも少女小説を読みたくなるかもしれません(笑)。
この本に載ってるエセル・フランクリン・ベッツの描く「小公女」の挿絵が物凄く素敵なので是非見てほしい。特に屋根裏部屋からヒビだらけの器を抱えて、外に顔出してるセーラが最高。物凄く誇り高いというか強情そうで、オドレイ・トトゥを思わせる横顔には一筋縄でいかないクセモノ感も漂っており、素敵だ。これはもう、完全に原作のセーラですね(原作の挿絵なので当たり前ですが)。ぜっったいに泣かなそうです。
私もそうなんですけど、子供の頃にハウス名作劇場で「小公女」を見てるとどうしてもセーラに対して「虐げられる可哀相な少女」という強い思い込みが出来てしまっています。だから原作を読んで「あ、けっこう、言うなこいつ」とか思ってもそこだけキレイに無視されて、アニメのイメージと重なるとこだけ強く記憶に残ってしまうんですよね。アニメの大人しいセーラと違って、原作のセーラは気が強くて癇癪持ちで、ミンチン先生をやり込める皮肉も吐くくらいの気丈な少女であります。これは別に「小公女」に限った話ではなくて、他の作品もアニメ化にあたって多かれ少なかれ脚色されているものなのでしょう。私がハウス名作劇場版の「若草物語」(TV放送タイトルは「愛の若草物語」)をあまり見られなかったのも、原作より戦争色が強かったせいじゃないかと今になって思います。
なかなか本題に入れません(汗)。「少女小説から背買いが見える―ペリーヌはなぜ英語が話せたか」とても面白く読みました。「若草物語」「家なき娘」(アニメ版では「ペリーヌ物語」)「小公女」「赤毛のアン」「あしながおじさん」などの有名な少女小説。それらのヒロインたちが社会に対してどんな存在であって、どのようにして社会に組み込まれていくかを追うだけでもとても面白いのだけど、それぞれの作品がお互いに政治的、歴史的に関連を持って繋がり始めると、また今まで見えてなかった背景が見えてきて凄く新鮮。私はひとつの作品に対して感傷的に入れ込みがちなので、こんな風にもっと別の大きな視点を与えてくれると、思いきり世界が広がったようでわくわくします。ひとつひとつの作品を説明しながら「繋がり」を論じるのって大変だと思うんですけど、とても的確に構成してあって分かりやすかったです。
この本の本筋にはほとんど関係ないんだけど、なんてことない小さな指摘も実は好きでした。「若草物語」のメグを苦心の末ドレスアップさせる詳細な描写なんかをとりあげて、こういう、工夫しておしゃれをする楽しさ、みたいなディティールは、「実は結末よりはるかに読者の心に残っているらしい」と書いてあるのも、「ああー!わかるわかる!」って言いたくなります。S・ヴァン・アビーの描く「貴婦人のように着飾らされたメグ」なんてまるでスカーレット・オハラみたいで、もう、うっとりして見てしまいますよ。あとメイドの生活事情とか赤毛の系譜に関するコラムも面白かったです。
引用される物語は内容を追いながら解説してくれているので、未読の本があってもまったく大丈夫です。でもこの本読んだら急に興味がわいてきて、すぐにでも少女小説を読みたくなるかもしれません(笑)。
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