バイバイ・リバティー・危機一発! ― ルパン三世 TVスペシャル第1弾
2006年5月24日 TV
DVD バップ 1999/12/22 ¥5,040
ルパンシリーズそんなにいっぱい見てるわけじゃないんですが、これは結構好きでした。「なんだ、ルパンてちゃんと面白いじゃん」と思えて嬉しかった作品。
天才少年マイケルのクソガキっぷりと秘密結社スリーメイスンの悪趣味っぷりが見事に私のツボに嵌まりましたね。ルパンの敵ってやっぱ気色悪い方がいいよなーとか言いながら、当時小学生だった私は内心かなり怖かったんですが(笑)。謎の美女イザベルも掴みどころなくて良い感じだったし(貪欲に権力を欲してみたかと思いきや、息子を愛する母親の顔も見せちゃったりして)、不二子ちゃんのお仕事(宝石泥棒)がしっかり見られるのも楽しかった。そして何といっても、引退説まで囁かれてるルパンの「ゆっくりリハビリしよーと思ったのによー。こーなりゃ一気に、職場復帰だー!!」ですよ。前作から4年(劇場版からでは2年)もたって、「あーもーダメかなルパン、そろそろ終わりかなー」とか思ってたとこで、この大々的復帰。嬉しいですよね。まだまだ面白いの作る気ありますよ!!という、製作側の意気込みを感じます(笑)。
舞台はニューヨークからグランドキャニオン、ニューオリンズ、そしてまた最後にニューヨークとアメリカ横断ウルトラクイズ的大移動。あ、だから見やすかったのかも。ってどれだけウルトラクイズ大好きだったんですか私は。
やっぱり話が面白いですよね。中盤ちょっとだれはするものの、イザベルと自由の女神をシンクロさせて描いてるのが上手いし、ルパンとマイケルの絡みも微笑ましかったし、スリー・メイスンの不気味さが中盤の眠気も吹き飛ばします(笑)。
ちょっと悔しいのは、いちばん私好みの次元がどう動いてたのかあんまり覚えてないことだ。多分大して活躍してないからだろうけど。まあそんなとこが好きなんだけどね!(キアヌと同じ理由ですか)
以上、ところどころ記憶が飛んでるので、印象に残ってるシーンだけを頼りに書いてみました。ちゃんと見直してないのでハッキリとは言えないんですが、この「バイバイ・リバティー」は下手な劇場版よりよっぽど面白いという自信はありますよー。
89年放送のテレビスペシャル第1作。キャストを一新した劇場版『風魔一族の陰謀』から2年、オリジナルキャストではテレビシリーズのパート3以来、4年ぶりとなる作品。
ルパンシリーズそんなにいっぱい見てるわけじゃないんですが、これは結構好きでした。「なんだ、ルパンてちゃんと面白いじゃん」と思えて嬉しかった作品。
天才少年マイケルのクソガキっぷりと秘密結社スリーメイスンの悪趣味っぷりが見事に私のツボに嵌まりましたね。ルパンの敵ってやっぱ気色悪い方がいいよなーとか言いながら、当時小学生だった私は内心かなり怖かったんですが(笑)。謎の美女イザベルも掴みどころなくて良い感じだったし(貪欲に権力を欲してみたかと思いきや、息子を愛する母親の顔も見せちゃったりして)、不二子ちゃんのお仕事(宝石泥棒)がしっかり見られるのも楽しかった。そして何といっても、引退説まで囁かれてるルパンの「ゆっくりリハビリしよーと思ったのによー。こーなりゃ一気に、職場復帰だー!!」ですよ。前作から4年(劇場版からでは2年)もたって、「あーもーダメかなルパン、そろそろ終わりかなー」とか思ってたとこで、この大々的復帰。嬉しいですよね。まだまだ面白いの作る気ありますよ!!という、製作側の意気込みを感じます(笑)。
舞台はニューヨークからグランドキャニオン、ニューオリンズ、そしてまた最後にニューヨークとアメリカ横断ウルトラクイズ的大移動。あ、だから見やすかったのかも。ってどれだけウルトラクイズ大好きだったんですか私は。
やっぱり話が面白いですよね。中盤ちょっとだれはするものの、イザベルと自由の女神をシンクロさせて描いてるのが上手いし、ルパンとマイケルの絡みも微笑ましかったし、スリー・メイスンの不気味さが中盤の眠気も吹き飛ばします(笑)。
ちょっと悔しいのは、いちばん私好みの次元がどう動いてたのかあんまり覚えてないことだ。多分大して活躍してないからだろうけど。まあそんなとこが好きなんだけどね!(キアヌと同じ理由ですか)
以上、ところどころ記憶が飛んでるので、印象に残ってるシーンだけを頼りに書いてみました。ちゃんと見直してないのでハッキリとは言えないんですが、この「バイバイ・リバティー」は下手な劇場版よりよっぽど面白いという自信はありますよー。
ISBN:4488013163 単行本 David Almond 東京創元社 2001/10 ¥1,995
やあ、ホントに面白いですねデイヴィット・アーモンド。「肩胛骨は翼のなごり」と同様、主人公キットは「死」が非常に身近であるところに身を置きながら、キットが今いる現在、キットと同じ名の少年が炭坑で命を落とした過去、それよりもっとはるか昔の、氷河期に生きるラクといった、異なる時代が重なり合う構成が素晴らしく面白い。
ずっと昔に炭坑で死んだはずの少年たちが川で遊んでいるのが見えたり、キットの書いた小説の中の人物たちが闇の中から現れたりする様子もすごく幻想的なのに自然で驚いてしまう。そしてなんと言っても、キットの書く太古の物語が本当に面白いんですよ。最後にはその物語が炭坑の少年たちやキットの友だちアスキューにも繋がって一大救出劇が行われるんだけど、キットの物語が、キットを通じて何かに動かされるようにそこへ集約していく様がいいですね。
個人的に、キットのおじいちゃんがキットに木の皮を見せてくれるとこが大好きです。
「石炭を注意深くスライスすると、木の皮の模様が見える」
「それが石炭だもんね」ぼくはいった。「木。何百万年もむかしの木」
「そうだ」おじいちゃんは窓のほうにあごをしゃくった。「そのころ、ここにすわっていたら、その木々が生えているのが見えただろう。太く高い木々。たくさんの沼。何百万年も昔の光景が」
深い地中で石炭になった木々が、はるか昔には地上で光を浴びて生きていた。そういう当たり前のことが、とても新鮮な光景として私の頭の中に広がっていきました。
やあ、ホントに面白いですねデイヴィット・アーモンド。「肩胛骨は翼のなごり」と同様、主人公キットは「死」が非常に身近であるところに身を置きながら、キットが今いる現在、キットと同じ名の少年が炭坑で命を落とした過去、それよりもっとはるか昔の、氷河期に生きるラクといった、異なる時代が重なり合う構成が素晴らしく面白い。
ずっと昔に炭坑で死んだはずの少年たちが川で遊んでいるのが見えたり、キットの書いた小説の中の人物たちが闇の中から現れたりする様子もすごく幻想的なのに自然で驚いてしまう。そしてなんと言っても、キットの書く太古の物語が本当に面白いんですよ。最後にはその物語が炭坑の少年たちやキットの友だちアスキューにも繋がって一大救出劇が行われるんだけど、キットの物語が、キットを通じて何かに動かされるようにそこへ集約していく様がいいですね。
個人的に、キットのおじいちゃんがキットに木の皮を見せてくれるとこが大好きです。
「石炭を注意深くスライスすると、木の皮の模様が見える」
「それが石炭だもんね」ぼくはいった。「木。何百万年もむかしの木」
「そうだ」おじいちゃんは窓のほうにあごをしゃくった。「そのころ、ここにすわっていたら、その木々が生えているのが見えただろう。太く高い木々。たくさんの沼。何百万年も昔の光景が」
深い地中で石炭になった木々が、はるか昔には地上で光を浴びて生きていた。そういう当たり前のことが、とても新鮮な光景として私の頭の中に広がっていきました。
ISBN:457920901X 単行本 小嶋 ルミ 文化出版局 2004/04 ¥1,575
どうやら私は田舎臭いお菓子が好きみたいだ。名前に「カントリー」って付いてたり、説明に「家庭の味」とか書いてあるお菓子は大抵好きである。家族にもウケる。学生にはそんなにウケない。
最近クッキーとタルトばかり熱心に作ってたので、久々にパウンドケーキを作ってみようと思いたった。ドライフルーツをいっぱい入れたパウンドケーキにしようと考えてたが、この本見ててあっさりと気が変わる。「新しょうがのパウンドケーキ」にしようと思う。途端に学生から「えーーーっ」と言われてしまった。味が想像できないらしい。いや私だってできないけど、新しょうがって季節ぴったりだし、昔からしょうがを使ったお菓子にちょっと憧れていたし。「なんですか憧れって」いやほら、外国の本読むとよくしょうがのお菓子が出てくるじゃないか「えっそうなんですか?」えっ読んだことない?「ないです」ないの?「ないですよ」ホントに?しょうがパンとかジンジャークッキーとか、出てこなかった?「初めて聞きました」
年代の差でしょうか
そういやこないだ料理教室行ったとき、ジンジャーがしょうがだと聞いてビックリしてる人がいて、見ているこっちがびっくりしました(笑)。いやでも、知らなくても別に困ることはないか。たぶん。そんなには。料理の先生が分かりやすく説明しようと、「ジンジャーエールのジンジャーですよ」と言ったら更に困惑していた様子。そんな空気に乗じて(?)「死んじゃえ!とジンジャーエール!を聞き間違えるっていう三谷幸喜の映画ありましたよね」とか言ってさらに場を混乱させる私。すまん。思いつくとなんでもかんでも口に出してしまってすまん。
新しょうがの甘煮って、刻んでタルトのアーモンドクリームに混ぜたり、アイスクリームに添えたりしても美味しいんだそうですよ。で、煮汁を無糖のソーダで割ると自家製ジンジャールが出来るんだとか。ほほう。面白そう、やってみましょう。
どうやら私は田舎臭いお菓子が好きみたいだ。名前に「カントリー」って付いてたり、説明に「家庭の味」とか書いてあるお菓子は大抵好きである。家族にもウケる。学生にはそんなにウケない。
最近クッキーとタルトばかり熱心に作ってたので、久々にパウンドケーキを作ってみようと思いたった。ドライフルーツをいっぱい入れたパウンドケーキにしようと考えてたが、この本見ててあっさりと気が変わる。「新しょうがのパウンドケーキ」にしようと思う。途端に学生から「えーーーっ」と言われてしまった。味が想像できないらしい。いや私だってできないけど、新しょうがって季節ぴったりだし、昔からしょうがを使ったお菓子にちょっと憧れていたし。「なんですか憧れって」いやほら、外国の本読むとよくしょうがのお菓子が出てくるじゃないか「えっそうなんですか?」えっ読んだことない?「ないです」ないの?「ないですよ」ホントに?しょうがパンとかジンジャークッキーとか、出てこなかった?「初めて聞きました」
年代の差でしょうか
そういやこないだ料理教室行ったとき、ジンジャーがしょうがだと聞いてビックリしてる人がいて、見ているこっちがびっくりしました(笑)。いやでも、知らなくても別に困ることはないか。たぶん。そんなには。料理の先生が分かりやすく説明しようと、「ジンジャーエールのジンジャーですよ」と言ったら更に困惑していた様子。そんな空気に乗じて(?)「死んじゃえ!とジンジャーエール!を聞き間違えるっていう三谷幸喜の映画ありましたよね」とか言ってさらに場を混乱させる私。すまん。思いつくとなんでもかんでも口に出してしまってすまん。
新しょうがの甘煮って、刻んでタルトのアーモンドクリームに混ぜたり、アイスクリームに添えたりしても美味しいんだそうですよ。で、煮汁を無糖のソーダで割ると自家製ジンジャールが出来るんだとか。ほほう。面白そう、やってみましょう。
くじけてるだろう、それは。
2006年5月21日 日常 コメント (11)「図書館に好きな本を入荷させていい。ただし5冊だけ」って言われたらどうしますか。5冊ですよ。100冊なら喜んで選びますよ。でもたったの5冊。たとえジャンルを小説だけに絞っても相当苦しいだろこれは。
うちの図書館はもともと小説枠が少ないので、当然入ってるだろうと思われる本も全然入ってなかったりする。私がいちばんビックリしたのはジョン・アーヴィングの小説が一冊も入ってなかったことですが、職員に「ちょっと問題あるのでは」と訴えてもあまりピンときてないようだった。もしかして、そんなに驚くような事態じゃなかったのか???私が古いのか?でもアーヴィングですよ?(「ディケンズですよ?」とか「サリンジャーですよ?」くらいの勢いで読んでください)余りに反応が薄いので、ちょっと乱暴な意見として(笑)「日本で言ったら、村上春樹の本が置いてないようなもんですよ??」と言ってみる。そしたら更にポカンとされてしまった(笑)。うーむ、そうか。村上春樹が図書館に置いてなくてもそんなに驚くような事態じゃないのか。いやそんなわけないだろ。……ないよね?どうなの?(←いまいち自信がなくなってきた)。
その後無事アーヴィングの本は入荷されましたが、学生は誰一人借りていきません。やっぱり職員さんが正しかったのかも、などと心にもないこと言ってみました。
前置きが長くなりましたが、要するに小説の需要が少ないんですね。かく言う私も高校時代なんてほとんど本読んでないから(澁澤龍彦の作品は除く)、うちの学生が全然本読まなくても別に不思議ではないのですが。
でも本好きな少数派の学生のために、入れてあげたいじゃないか。面白い本。しかしいかんせん枠が狭いもんで、私の希望が通ってもせいぜい5冊程度だろうと思われる。「好きな本入れればいいじゃん」て言われるかもしれないけども、あれだほら、私の好きな本て人気ないじゃん。学生ががっかりする様子が目に見えるじゃん。いや別にね、ブローティガンやイサベル・アジェンデを入れてくれって言ってるわけじゃないんだよ。入れても誰も読んでくれないのは分かってるし。それ以前に絶版すれすれだし。面白くても誰も読んでくれなかったら意味ないよなあって思ってしまう。かといって人気あっても詰まらない本は入れたくないしな。うーーーん。
「青い眼がほしい」トニ・モリスン
「妻を帽子とまちがえた男」オリバー・サックス
↑この2冊は入れたいなあと思う(と言うか私が読みたい)んですけどどうでしょう。あとデイヴィット・アーモンドも入れたいなあ。うちは「ヘヴンアイズ」しか入ってないので、ちょっと勿体無い気がするんだよ。だってアーモンドって他の作品の方が面白いでしょう??ユベール・マンガレリもせめて一冊くらい入れたい。新潮クレストブックスの作品も入れたいが、あれは本当にうちでは人気なくてねえ(汗)。それでもアリステア・マクラウドとジュンパ・ラヒリは強引に入れてしまったが。そしてやっぱり人気ないが。レアード・ハントの「インディアナ、インディアナ」を入れようとしたら欲を出し過ぎかしら。「トラベリング・パンツ」も最終巻だけ置いてないの気持ち悪いから入れたいなあ。
とかいろいろ悩んでますが、日本人作家の方が人気あるのはちゃんと分かってます。大丈夫です。くじけません。
うちの図書館はもともと小説枠が少ないので、当然入ってるだろうと思われる本も全然入ってなかったりする。私がいちばんビックリしたのはジョン・アーヴィングの小説が一冊も入ってなかったことですが、職員に「ちょっと問題あるのでは」と訴えてもあまりピンときてないようだった。もしかして、そんなに驚くような事態じゃなかったのか???私が古いのか?でもアーヴィングですよ?(「ディケンズですよ?」とか「サリンジャーですよ?」くらいの勢いで読んでください)余りに反応が薄いので、ちょっと乱暴な意見として(笑)「日本で言ったら、村上春樹の本が置いてないようなもんですよ??」と言ってみる。そしたら更にポカンとされてしまった(笑)。うーむ、そうか。村上春樹が図書館に置いてなくてもそんなに驚くような事態じゃないのか。いやそんなわけないだろ。……ないよね?どうなの?(←いまいち自信がなくなってきた)。
その後無事アーヴィングの本は入荷されましたが、学生は誰一人借りていきません。やっぱり職員さんが正しかったのかも、などと心にもないこと言ってみました。
前置きが長くなりましたが、要するに小説の需要が少ないんですね。かく言う私も高校時代なんてほとんど本読んでないから(澁澤龍彦の作品は除く)、うちの学生が全然本読まなくても別に不思議ではないのですが。
でも本好きな少数派の学生のために、入れてあげたいじゃないか。面白い本。しかしいかんせん枠が狭いもんで、私の希望が通ってもせいぜい5冊程度だろうと思われる。「好きな本入れればいいじゃん」て言われるかもしれないけども、あれだほら、私の好きな本て人気ないじゃん。学生ががっかりする様子が目に見えるじゃん。いや別にね、ブローティガンやイサベル・アジェンデを入れてくれって言ってるわけじゃないんだよ。入れても誰も読んでくれないのは分かってるし。それ以前に絶版すれすれだし。面白くても誰も読んでくれなかったら意味ないよなあって思ってしまう。かといって人気あっても詰まらない本は入れたくないしな。うーーーん。
「青い眼がほしい」トニ・モリスン
「妻を帽子とまちがえた男」オリバー・サックス
↑この2冊は入れたいなあと思う(と言うか私が読みたい)んですけどどうでしょう。あとデイヴィット・アーモンドも入れたいなあ。うちは「ヘヴンアイズ」しか入ってないので、ちょっと勿体無い気がするんだよ。だってアーモンドって他の作品の方が面白いでしょう??ユベール・マンガレリもせめて一冊くらい入れたい。新潮クレストブックスの作品も入れたいが、あれは本当にうちでは人気なくてねえ(汗)。それでもアリステア・マクラウドとジュンパ・ラヒリは強引に入れてしまったが。そしてやっぱり人気ないが。レアード・ハントの「インディアナ、インディアナ」を入れようとしたら欲を出し過ぎかしら。「トラベリング・パンツ」も最終巻だけ置いてないの気持ち悪いから入れたいなあ。
とかいろいろ悩んでますが、日本人作家の方が人気あるのはちゃんと分かってます。大丈夫です。くじけません。
工学部・水柿助教授の逡巡
2006年5月17日 読書
ISBN:4344007247 単行本 森 博嗣 幻冬舎 2004/12 ¥1,680
これも手元に回って来るまで大分時間がかかった。予約すればすぐだったと思うんだけど、「や、読める時でいいや〜」などと思っていたらあっという間に2年ほど過ぎてしまったのだ。悠長だな、私って。
水柿君と須摩子さんの会話が、私と学生たちとの会話によく似てると思うんですけど、どうでしょう??と学生に尋ねたところ、
「いや、ロクハナさんの場合は水柿君と須摩子さんなんてもんじゃないですよ。そうだなー……清水義範と西原理恵子ですかね」
あはははは!そんなに噛み合ってませんか。
これも手元に回って来るまで大分時間がかかった。予約すればすぐだったと思うんだけど、「や、読める時でいいや〜」などと思っていたらあっという間に2年ほど過ぎてしまったのだ。悠長だな、私って。
水柿君と須摩子さんの会話が、私と学生たちとの会話によく似てると思うんですけど、どうでしょう??と学生に尋ねたところ、
「いや、ロクハナさんの場合は水柿君と須摩子さんなんてもんじゃないですよ。そうだなー……清水義範と西原理恵子ですかね」
あはははは!そんなに噛み合ってませんか。
ISBN:410590051X 単行本 フィリップ・グランベール 新潮社 2005/11 ¥1,680
両親は何かを隠している。主人公の少年は、子供心になんとなく違和感を感じながらも、その秘密の持つ不穏な空気にいつも押し黙らされている。何か触れてはいけないもの、暴きたてた途端に崩壊してしまうもの、それは恐ろしいもの?忌まわしいもの?恥辱に満ちたものなのだろうか?
罪深い記憶と戦争の傷跡。両親の辿った運命を知り、彼らのとった行動をなぞり、その様子を何度も何度も思い描いて、この物語を構築するまでにどれだけ長い時間がかかったろうか。どれだけ多くの苦悩を抱え、どれだけ深い愛情を注ぎ、そしてまた削り取り、剥奪していったのだろうか。語ることの難しいものほど、語り過ぎてはいけない。それは本当に、想像を絶する試練だったのではないだろうか。
彼は過去を描く。今まで知らされることのなかった、若い頃の両親。慎重に隠されていた秘密。これ以上ない、もう「こうとしか語れない」というところまで簡潔にされた文章によって、物語は緊迫感を伴って進んでゆく。恐らく避けることのできないであろう、不吉な未来に向けて。
余計なものを省き、ひたすら真実を受け止めようとする主人公(兼作者)の思いに心が締めつけられる。「ある秘密」は気の遠くなるような作業の果てに、やっと彼が得ることのできた真実の「墓所」なのだろう。
両親は何かを隠している。主人公の少年は、子供心になんとなく違和感を感じながらも、その秘密の持つ不穏な空気にいつも押し黙らされている。何か触れてはいけないもの、暴きたてた途端に崩壊してしまうもの、それは恐ろしいもの?忌まわしいもの?恥辱に満ちたものなのだろうか?
罪深い記憶と戦争の傷跡。両親の辿った運命を知り、彼らのとった行動をなぞり、その様子を何度も何度も思い描いて、この物語を構築するまでにどれだけ長い時間がかかったろうか。どれだけ多くの苦悩を抱え、どれだけ深い愛情を注ぎ、そしてまた削り取り、剥奪していったのだろうか。語ることの難しいものほど、語り過ぎてはいけない。それは本当に、想像を絶する試練だったのではないだろうか。
彼は過去を描く。今まで知らされることのなかった、若い頃の両親。慎重に隠されていた秘密。これ以上ない、もう「こうとしか語れない」というところまで簡潔にされた文章によって、物語は緊迫感を伴って進んでゆく。恐らく避けることのできないであろう、不吉な未来に向けて。
余計なものを省き、ひたすら真実を受け止めようとする主人公(兼作者)の思いに心が締めつけられる。「ある秘密」は気の遠くなるような作業の果てに、やっと彼が得ることのできた真実の「墓所」なのだろう。
ISBN:4877282858 単行本 天童 荒太 幻冬舎 1999/02 ¥1,890
子供の虐待を描いた本なんて絶対読めないだろうとずっと思っていました。そして何が描かれているか分からないせいで、ずっとこの物語が怖かった。でもすべて読み終えてから誤解を恐れずに言うと
この物語はとても面白かった。
多分途中で投げ出すだろうと思って上巻しか借りていなかったのに、我慢できずにすぐ下巻を借りに行きました。まず小説として面白いんです。ミステリー仕掛けの構成とか、その展開などが。とても分かりやすく、確実に読者を引っ張って行ってくれます。
そしてテーマとして描かれている虐待の方も、読む前はあんなに恐かったのに、実際に何が行われたのかを読むと明らかに恐ろしさが軽減しました。「知らない方が痛い」ってこういう事なんでしょうか。しっかり向き合ってしまえば、恐がることなどほとんどありませんでした。「虐待される子供の側ばかりが描かれて」などといった評価はかなり的外れだと思います。少なくとも私は、なぜ親が子供を虐待してしまうのか、この本で初めてヒントを貰えたように感じました。
「いいからとにかく家族なんだよ、家族さえ上手くやってればその延長で学校も社会も何でもすべて上手く行くんだよ」そんな風に社会の責任をすべて家族に押しつけてしまって、結果的にいちばん弱い人が苦しまなくてはならない。こういったやりきれなさに対する天童さんの怒りが、ところどころストレートに出てきて胸を打ちます。
子育てで手が放せない、親の介護もある、なのに夫が浮気する、いつもいっぱいいっぱい、でも子供達は「すぐ怒ってイライラするお母さんより、(気の向いたときだけ)優しく遊んでくれるお父さんの方が好き」。こんな風になってしまうのは、すべての責任を母親一人に押しつけてしまってるからではないか。「なんでも一人だけで頑張ろう、自分だけで何とかしようとしないでください」これから親の介護をすることになる人物に、施設の人はそうアドバイスする。自分一人で頑張ろうとすると、耐えきれずに心が壊れてしまう。そして周りの人の心も壊してしまう。頑張ったがためにこんなことになってしまうなんて、余りにも悲しい。
テーマの重さにしり込みして手が出せないでいる方、大丈夫です。「面白いので」読んでみてください。自分の家族や周りの人間関係、社会福祉について「なるほど」と気付かされる記述がたくさんあるし、今後それらのことを考える際の、良いヒントを与えてくれる本だと思います。
子供の虐待を描いた本なんて絶対読めないだろうとずっと思っていました。そして何が描かれているか分からないせいで、ずっとこの物語が怖かった。でもすべて読み終えてから誤解を恐れずに言うと
この物語はとても面白かった。
多分途中で投げ出すだろうと思って上巻しか借りていなかったのに、我慢できずにすぐ下巻を借りに行きました。まず小説として面白いんです。ミステリー仕掛けの構成とか、その展開などが。とても分かりやすく、確実に読者を引っ張って行ってくれます。
そしてテーマとして描かれている虐待の方も、読む前はあんなに恐かったのに、実際に何が行われたのかを読むと明らかに恐ろしさが軽減しました。「知らない方が痛い」ってこういう事なんでしょうか。しっかり向き合ってしまえば、恐がることなどほとんどありませんでした。「虐待される子供の側ばかりが描かれて」などといった評価はかなり的外れだと思います。少なくとも私は、なぜ親が子供を虐待してしまうのか、この本で初めてヒントを貰えたように感じました。
「いいからとにかく家族なんだよ、家族さえ上手くやってればその延長で学校も社会も何でもすべて上手く行くんだよ」そんな風に社会の責任をすべて家族に押しつけてしまって、結果的にいちばん弱い人が苦しまなくてはならない。こういったやりきれなさに対する天童さんの怒りが、ところどころストレートに出てきて胸を打ちます。
子育てで手が放せない、親の介護もある、なのに夫が浮気する、いつもいっぱいいっぱい、でも子供達は「すぐ怒ってイライラするお母さんより、(気の向いたときだけ)優しく遊んでくれるお父さんの方が好き」。こんな風になってしまうのは、すべての責任を母親一人に押しつけてしまってるからではないか。「なんでも一人だけで頑張ろう、自分だけで何とかしようとしないでください」これから親の介護をすることになる人物に、施設の人はそうアドバイスする。自分一人で頑張ろうとすると、耐えきれずに心が壊れてしまう。そして周りの人の心も壊してしまう。頑張ったがためにこんなことになってしまうなんて、余りにも悲しい。
テーマの重さにしり込みして手が出せないでいる方、大丈夫です。「面白いので」読んでみてください。自分の家族や周りの人間関係、社会福祉について「なるほど」と気付かされる記述がたくさんあるし、今後それらのことを考える際の、良いヒントを与えてくれる本だと思います。
ISBN:4167662019 文庫 川端 裕人 文藝春秋 2002/05 ¥670
大分前に読んだので内容ウロ覚えなんですが…。
これ、何より衝撃だったのが「ロケットって自分たちで勝手に作って勝手に乗って勝手に打ち上げて良いんだ!!」ってことです。
勿論、技術的な面で火薬取り扱いなどといった専門的な免許とか、そういうのは要ると思いますけど。でも、個人で勝手に宇宙へ行くのを規制するような法律は一切ないんだそうです。驚き。確かに個人で宇宙へ行こうとする人ってあんまりいないのかもしれませんが。
いやー、だって、宇宙に行くのって、国とか軍とか企業とか、そういうのに頼らなきゃダメなんじゃないかって、勝手に思ってるでしょう?私は思ってましたよ。宇宙飛行士でもない、お金持ちでもない、なら宇宙に行ける機会なんてまずないだろうと。コーラのキャンペーンなんかで宇宙旅行当てるくらいしかチャンスないだろうと(古い)。
でも自作のロケットで行けるんですよ。作れればだけど。凄いよなー。まず作れないだろうが、思わず勝手に夢広げてしまう。「Fly me to the moon」とか歌ってしまう。本当はせめて火星までは行きたいところだけど、ちょっと控えめに月止まりにしてみました。
で、この宇宙に行ける!!というインパクトに押されて、他の内容あんまり覚えてないんですよ(すいません)。「人を乗せて飛ばせばロケット、核を載せて飛ばせばミサイル」みたいな、きな臭い内容も含んでたと思うんですけどね。ブラッドベリの「火星年代記」の引用もあったと思うんですけどね。登場人物たちの、夢と現実との狭間の葛藤もあったと思うんですけどね。でも、でも思いきって言ってしまうと
そんなのは二の次!!
「誰でも宇宙に行ける!!」これに尽きますよこの小説は。この事実がどれだけ私に勇気と希望を与えてくれかは、本当に計り知れないのであります(よっぽど行きたかったんだな、宇宙)。
大分前に読んだので内容ウロ覚えなんですが…。
これ、何より衝撃だったのが「ロケットって自分たちで勝手に作って勝手に乗って勝手に打ち上げて良いんだ!!」ってことです。
勿論、技術的な面で火薬取り扱いなどといった専門的な免許とか、そういうのは要ると思いますけど。でも、個人で勝手に宇宙へ行くのを規制するような法律は一切ないんだそうです。驚き。確かに個人で宇宙へ行こうとする人ってあんまりいないのかもしれませんが。
いやー、だって、宇宙に行くのって、国とか軍とか企業とか、そういうのに頼らなきゃダメなんじゃないかって、勝手に思ってるでしょう?私は思ってましたよ。宇宙飛行士でもない、お金持ちでもない、なら宇宙に行ける機会なんてまずないだろうと。コーラのキャンペーンなんかで宇宙旅行当てるくらいしかチャンスないだろうと(古い)。
でも自作のロケットで行けるんですよ。作れればだけど。凄いよなー。まず作れないだろうが、思わず勝手に夢広げてしまう。「Fly me to the moon」とか歌ってしまう。本当はせめて火星までは行きたいところだけど、ちょっと控えめに月止まりにしてみました。
で、この宇宙に行ける!!というインパクトに押されて、他の内容あんまり覚えてないんですよ(すいません)。「人を乗せて飛ばせばロケット、核を載せて飛ばせばミサイル」みたいな、きな臭い内容も含んでたと思うんですけどね。ブラッドベリの「火星年代記」の引用もあったと思うんですけどね。登場人物たちの、夢と現実との狭間の葛藤もあったと思うんですけどね。でも、でも思いきって言ってしまうと
そんなのは二の次!!
「誰でも宇宙に行ける!!」これに尽きますよこの小説は。この事実がどれだけ私に勇気と希望を与えてくれかは、本当に計り知れないのであります(よっぽど行きたかったんだな、宇宙)。
穴があったら貸してほしい
2006年5月13日 日常 コメント (2)
ISBN:4062096455 単行本 Louis Sachar 講談社 1999/10 ¥1,680
久しぶりにいつもと違う図書館(仙台メディアテーク)に行ったら、「読みたいんだけどいつも借りられてる本」がタイミング良く全部揃っていた。普通なら大喜びするとこなんだが、今現在、私はいつもの図書館で小説3冊借りている上に、自分の職場からもうっかり2冊借りてしまっている。いくら暇だからってそんなにたくさん読めない。しかも今日はバレエ教室の後に寄ったので荷物が多い。あんまりたくさん本を抱えて帰りたくないのだ。
仕方がないので、すぐ読めそうなジャクリーン・ウィルソンの「ガールズ・イン・ティアーズ」だけその場で読破。1時間以上かかったがなんとかなった。次、フィリップ・グランベールの「ある秘密」。これは新潮クレストブックスなので借りて帰ることにする。新潮クレストブックスの何が有り難いって、本の重量がめちゃめちゃ「軽い」ことだと私は思う。デイヴィット・アーモンドの「闇の底のシルキー」これもじっくり読みたいから持ち帰るか…。さて問題は、ルイス・サッカーの「穴」である。最近友人の間でも話題になってるし、読んでないけど私も絶対面白いと思う(笑)。近所の図書館だとなかなか借りれないので、諦めて同作者の「道」から先に読もうかと思ってた。そんな矢先に出会って飛びつきたいのはやまやまなんだが…。児童書だし、頑張ればその場で読めるのかもしれないけど、さっきジャクリーン・ウィルソンを一冊読んだのでもうこれ以上はさすがに疲れる。うーーーーん。
やはり重いのには勝てない。泣く泣く諦めました。その後ジュンク堂で新書一冊とお菓子作りの本一冊を購入。結局最終的にはかなりの荷物を抱えて電車に乗ることになり、これならもう、「穴」があろうとなかろうと大して変わらなかったのではと思いつつ帰途につく。いいんだ。そんなに急いで読んでも疲れるだけだしな。家では「ゲド戦記」たちが私を待っています(いやほら、これも今借りておかないと借りられなくなりそうじゃない?)。
久しぶりにいつもと違う図書館(仙台メディアテーク)に行ったら、「読みたいんだけどいつも借りられてる本」がタイミング良く全部揃っていた。普通なら大喜びするとこなんだが、今現在、私はいつもの図書館で小説3冊借りている上に、自分の職場からもうっかり2冊借りてしまっている。いくら暇だからってそんなにたくさん読めない。しかも今日はバレエ教室の後に寄ったので荷物が多い。あんまりたくさん本を抱えて帰りたくないのだ。
仕方がないので、すぐ読めそうなジャクリーン・ウィルソンの「ガールズ・イン・ティアーズ」だけその場で読破。1時間以上かかったがなんとかなった。次、フィリップ・グランベールの「ある秘密」。これは新潮クレストブックスなので借りて帰ることにする。新潮クレストブックスの何が有り難いって、本の重量がめちゃめちゃ「軽い」ことだと私は思う。デイヴィット・アーモンドの「闇の底のシルキー」これもじっくり読みたいから持ち帰るか…。さて問題は、ルイス・サッカーの「穴」である。最近友人の間でも話題になってるし、読んでないけど私も絶対面白いと思う(笑)。近所の図書館だとなかなか借りれないので、諦めて同作者の「道」から先に読もうかと思ってた。そんな矢先に出会って飛びつきたいのはやまやまなんだが…。児童書だし、頑張ればその場で読めるのかもしれないけど、さっきジャクリーン・ウィルソンを一冊読んだのでもうこれ以上はさすがに疲れる。うーーーーん。
やはり重いのには勝てない。泣く泣く諦めました。その後ジュンク堂で新書一冊とお菓子作りの本一冊を購入。結局最終的にはかなりの荷物を抱えて電車に乗ることになり、これならもう、「穴」があろうとなかろうと大して変わらなかったのではと思いつつ帰途につく。いいんだ。そんなに急いで読んでも疲れるだけだしな。家では「ゲド戦記」たちが私を待っています(いやほら、これも今借りておかないと借りられなくなりそうじゃない?)。
窮鼠はチーズの夢を見る ジュディーコミックス
2006年5月9日 読書
ISBN:4778010019 コミック 水城 せとな 小学館クリエイティブ 2006/01/26 ¥530
「見た目が綺麗で人間ができてて自分にいい思いをさせてくれるような、そんな完璧な人をみんな探してると思ってるんですか!?貴方はそういう相手しか好きになれないんですか!?」
いいぞ今ヶ瀬、もっと言ってやれ。来る者拒まず去る者追わず、強く言い寄られたら断れない。「迫られて、流されて、捨てられる」のエキスパート大伴君。最低だなあ、そんな男、と思っても惚れちゃったらどうしようもないんだよ。見た目だって中身だって、もっとイイ男がいっぱいいることくらいわかってるんだ。でもそういう最低な男を好きになっちゃったんだからしょうがないでしょー!!あなたがいいって思っちゃったんだからしょうがないでしょー!!みんながみんな、最高の男を好きだと思ったら大間違いだぞコンチクショー!!
うっかり私怨入っててすいません。ダメな男に惚れやすいロクハナです、こんにちは。
なんか知らんうちにすっかり売れっ子になってるような(?)感じが致します、水城せとなさん。上手いですよね。嫌味じゃなくて。読んでて本当に切なくなったり嗜虐的な気分になったりできて面白い。優柔不断なダメ男に惚れちゃってる今ヶ瀬君のセリフが、相手を責めてるようで実は自分を傷つけてるのが傍目にも痛々しいぞ。こんなことまで言わせるなよな。でもこんなことまで言わせる男だから好きなのか?ああまったく。恋愛って厄介だ。厄介な男に嵌まってしまう自分も厄介だ。まったくもって困ったもんだ。
別雑誌で連載の「放課後保健室」もちらっと読んだけど、私は「窮鼠は〜」の方が好きですね。タイトルも素晴らしいと思います。黙ってそのままパクりたいくらいです。
あ、これボーイズラブですから、苦手な人は注意してください。遅いか。言うのが。
「見た目が綺麗で人間ができてて自分にいい思いをさせてくれるような、そんな完璧な人をみんな探してると思ってるんですか!?貴方はそういう相手しか好きになれないんですか!?」
いいぞ今ヶ瀬、もっと言ってやれ。来る者拒まず去る者追わず、強く言い寄られたら断れない。「迫られて、流されて、捨てられる」のエキスパート大伴君。最低だなあ、そんな男、と思っても惚れちゃったらどうしようもないんだよ。見た目だって中身だって、もっとイイ男がいっぱいいることくらいわかってるんだ。でもそういう最低な男を好きになっちゃったんだからしょうがないでしょー!!あなたがいいって思っちゃったんだからしょうがないでしょー!!みんながみんな、最高の男を好きだと思ったら大間違いだぞコンチクショー!!
うっかり私怨入っててすいません。ダメな男に惚れやすいロクハナです、こんにちは。
なんか知らんうちにすっかり売れっ子になってるような(?)感じが致します、水城せとなさん。上手いですよね。嫌味じゃなくて。読んでて本当に切なくなったり嗜虐的な気分になったりできて面白い。優柔不断なダメ男に惚れちゃってる今ヶ瀬君のセリフが、相手を責めてるようで実は自分を傷つけてるのが傍目にも痛々しいぞ。こんなことまで言わせるなよな。でもこんなことまで言わせる男だから好きなのか?ああまったく。恋愛って厄介だ。厄介な男に嵌まってしまう自分も厄介だ。まったくもって困ったもんだ。
別雑誌で連載の「放課後保健室」もちらっと読んだけど、私は「窮鼠は〜」の方が好きですね。タイトルも素晴らしいと思います。黙ってそのままパクりたいくらいです。
あ、これボーイズラブですから、苦手な人は注意してください。遅いか。言うのが。
ラストサマー―トラベリング・パンツ
2006年5月8日 読書 コメント (2)
ISBN:4652077602 単行本 アン・ブラッシェアーズ 理論社 2005/05 ¥1,449
うちの図書館でわりとよく出ていたので、ふうーん、そんなに面白いんかい?となめた態度で読み始めたら見事にやられてしまいました。うーん、確かにこれは、魔法のかかった本だ。
このシリーズ、なんたって出てくる4人の女の子たちが4人ともすっごく可愛い。私は甘ったれのカルメンがいちばん好きですが(何気にこの子がいちばんモテモテだと思う・笑)、社交下手で自意識過剰なレーナも、エキセントリックで危なっかしいブリジットも、繊細で不器用なティビーもみんな大好きです。
この仲の良い4人の女の子たちがそれぞれ、自分が乗り越えなくちゃいけない問題に立ち向かうんだけど、その際のお互いを思いやって元気付けてあげたり慰めてあげたりする様子にぐっときてしまう。友達の痛みや喜びを分かってあげられる、自分もその気持ちに寄りそうことができるって、すごくいいなあと思うのだ。
この「ラストサマー」は「トラベリング・パンツ」シリーズの完結編。「トラベリング・パンツ」「セカンドサマー」と読みつづけてきた読者には「蛇足なのでは…」と懸念する人も少なくないと思いますが(訳者も最初そう思ったらしい)、大丈夫!とっても素晴らしい完結編でした。1作目から読んでると「ああ、みんなこんなに大人になって…」とじんときます。そして「あー、でもやっぱりまた同じような間違いを…」と、そんなとこでもじんときます(笑)。分かってるんだけどね。
3つも読むのはちょっと…と思ってる人、1作目だけでいいので試しに読んでみてください。しっかり完結していて「2作目に続く」というような終わり方ではないので、1作目だけ読んで満足しても十分だと思います。それも面倒な人は映画版をどうぞ。私はまだ見てませんが、どうやら概ね好評のようです。原作ファンとしては嬉しい限り。今から見るのが楽しみです。
うちの図書館でわりとよく出ていたので、ふうーん、そんなに面白いんかい?となめた態度で読み始めたら見事にやられてしまいました。うーん、確かにこれは、魔法のかかった本だ。
このシリーズ、なんたって出てくる4人の女の子たちが4人ともすっごく可愛い。私は甘ったれのカルメンがいちばん好きですが(何気にこの子がいちばんモテモテだと思う・笑)、社交下手で自意識過剰なレーナも、エキセントリックで危なっかしいブリジットも、繊細で不器用なティビーもみんな大好きです。
この仲の良い4人の女の子たちがそれぞれ、自分が乗り越えなくちゃいけない問題に立ち向かうんだけど、その際のお互いを思いやって元気付けてあげたり慰めてあげたりする様子にぐっときてしまう。友達の痛みや喜びを分かってあげられる、自分もその気持ちに寄りそうことができるって、すごくいいなあと思うのだ。
この「ラストサマー」は「トラベリング・パンツ」シリーズの完結編。「トラベリング・パンツ」「セカンドサマー」と読みつづけてきた読者には「蛇足なのでは…」と懸念する人も少なくないと思いますが(訳者も最初そう思ったらしい)、大丈夫!とっても素晴らしい完結編でした。1作目から読んでると「ああ、みんなこんなに大人になって…」とじんときます。そして「あー、でもやっぱりまた同じような間違いを…」と、そんなとこでもじんときます(笑)。分かってるんだけどね。
3つも読むのはちょっと…と思ってる人、1作目だけでいいので試しに読んでみてください。しっかり完結していて「2作目に続く」というような終わり方ではないので、1作目だけ読んで満足しても十分だと思います。それも面倒な人は映画版をどうぞ。私はまだ見てませんが、どうやら概ね好評のようです。原作ファンとしては嬉しい限り。今から見るのが楽しみです。
メッセンジャー繋げません。
2006年5月6日 日常古いバージョンのままでいいのに、新しくしないと繋いでやらないとか言い出しまして(MSNメッセンジャーさんが)。
なんか必死で設定してるんだけど繋がらない。
まああんまり使ってないので問題ないと思いますが、私に用がある人すいません。メールでよろしくお願いします。
なんか必死で設定してるんだけど繋がらない。
まああんまり使ってないので問題ないと思いますが、私に用がある人すいません。メールでよろしくお願いします。
お父さんは時代小説(チャンバラ)が大好き
2006年5月5日 読書 コメント (4)
ISBN:4043640013 文庫 吉野 朔実 角川書店 2002/02 ¥520
「本の雑誌」で連載している、吉野朔実の読書マンガ。吉野さんのお友達が、吉野さんに薦めるラインナップがなかなか面白い。オリバー・サックスの「妻を帽子と間違えた男」、アゴタ・クリストフの「悪童日記」「ふたりの証拠」「第三の嘘」、宮部みゆきの「火車」
他、「町でいちばんの美女」「ヨーロッパぶらりぶらり」「リジーが斧をふりおろす」「蹄鉄ころんだ」「ゼウスガーデン衰亡史」「ムツゴロウの青春記」「『事件』を見にゆく」「閉鎖病棟」「安全ネットを突き抜けて」「ドクター・ディマー」「感応の精神病理」「地下鉄に乗って」「ロウフィールド館の惨劇」「催眠術師」「香水」「青い眼がほしい」「牛への道」「シンプル・プラン」「彼岸からの言葉」「ふくろうの叫び」「リプレイ」「雷電本記」などなど……。
く…いいなあ。こんなに薦めてもらえるなんてホントにいいよな。友達から薦められた本て、詰まらなくてもそれはそれで面白かったりしますね。「薦めてくれた人本人を読むことになるから、ハズレ本でも時間の無駄じゃない」と素直にいろいろ読まれる吉野さんの柔軟性って、ちょっと見上げたものですよ。
吉野さんの周りで評価が割れた作品、志水辰夫の「いまひとたびの」(新潮社。94年に結構売れた)。私はこれ全然読んでないんですが(すまん)、この本を非難してる人の意見に思わず同調してしまいました。
「『老婆が5時間、おしゃれするためにあれこれ悩んだあとが部屋に残ってる』ってあれ、2時間なら分かるわよ?人が5時間かけるのって大変なことなのよ?あれを簡単に「5」って書けちゃう神経が許せないのよ!!」
↑私もこういうとこ物凄く気になるタイプです。映画でもちょっと腑に落ちないセリフがあろうものならずーーーっと引っ掛かって、作品に全然集中できない。たまたまそこで音楽が良かったりするとその時だけはひとまず流されるのだが、後になってから「よくもあんな無神経なセリフを!!」てな感じでしつこいしつこい…。や、分かります。他の人にとってはどうでも良いことでも、引っ掛かってる人間にとっては物凄く気持ち悪いんですよね。
「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」はタイトルが良すぎるせいでタイトルだけで読んだ気になってしまうとか、いつでも読めると思っていつまでも読まない「アルジャーノンに花束を」とか(それで先にビリー・ミリガンを全部読んじゃったりするんだよね)、読書家のみなさんにとっては共感できるエピソードが多いのでは。このシリーズは面白いのでまた書きます。
「本の雑誌」で連載している、吉野朔実の読書マンガ。吉野さんのお友達が、吉野さんに薦めるラインナップがなかなか面白い。オリバー・サックスの「妻を帽子と間違えた男」、アゴタ・クリストフの「悪童日記」「ふたりの証拠」「第三の嘘」、宮部みゆきの「火車」
他、「町でいちばんの美女」「ヨーロッパぶらりぶらり」「リジーが斧をふりおろす」「蹄鉄ころんだ」「ゼウスガーデン衰亡史」「ムツゴロウの青春記」「『事件』を見にゆく」「閉鎖病棟」「安全ネットを突き抜けて」「ドクター・ディマー」「感応の精神病理」「地下鉄に乗って」「ロウフィールド館の惨劇」「催眠術師」「香水」「青い眼がほしい」「牛への道」「シンプル・プラン」「彼岸からの言葉」「ふくろうの叫び」「リプレイ」「雷電本記」などなど……。
く…いいなあ。こんなに薦めてもらえるなんてホントにいいよな。友達から薦められた本て、詰まらなくてもそれはそれで面白かったりしますね。「薦めてくれた人本人を読むことになるから、ハズレ本でも時間の無駄じゃない」と素直にいろいろ読まれる吉野さんの柔軟性って、ちょっと見上げたものですよ。
吉野さんの周りで評価が割れた作品、志水辰夫の「いまひとたびの」(新潮社。94年に結構売れた)。私はこれ全然読んでないんですが(すまん)、この本を非難してる人の意見に思わず同調してしまいました。
「『老婆が5時間、おしゃれするためにあれこれ悩んだあとが部屋に残ってる』ってあれ、2時間なら分かるわよ?人が5時間かけるのって大変なことなのよ?あれを簡単に「5」って書けちゃう神経が許せないのよ!!」
↑私もこういうとこ物凄く気になるタイプです。映画でもちょっと腑に落ちないセリフがあろうものならずーーーっと引っ掛かって、作品に全然集中できない。たまたまそこで音楽が良かったりするとその時だけはひとまず流されるのだが、後になってから「よくもあんな無神経なセリフを!!」てな感じでしつこいしつこい…。や、分かります。他の人にとってはどうでも良いことでも、引っ掛かってる人間にとっては物凄く気持ち悪いんですよね。
「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」はタイトルが良すぎるせいでタイトルだけで読んだ気になってしまうとか、いつでも読めると思っていつまでも読まない「アルジャーノンに花束を」とか(それで先にビリー・ミリガンを全部読んじゃったりするんだよね)、読書家のみなさんにとっては共感できるエピソードが多いのでは。このシリーズは面白いのでまた書きます。
可愛いだけじゃダメかしら
2006年5月3日 日常 コメント (5)
DVD ポニーキャニオン 2003/07/16 ¥3,990
高校時代。数学のテスト終了後。
トモダチ「どうだった?出来た??」
ロクハナ「あのさ、私思うんだけど、人生って…」
トモダチ「え、え?なに唐突に」
ロクハナ「可愛いだけじゃダメかな?」
トモダチ「……問題解けなかったんだね……」
※イザベル・アジャーニ主演の映画「可愛いだけじゃダメかしら」の画像が出なかったので、似た感じので代用してみました。あの、ええと、結構顔似てるよね?イザベル・アジャーニとモニカ・ベルッチ。
高校時代。数学のテスト終了後。
トモダチ「どうだった?出来た??」
ロクハナ「あのさ、私思うんだけど、人生って…」
トモダチ「え、え?なに唐突に」
ロクハナ「可愛いだけじゃダメかな?」
トモダチ「……問題解けなかったんだね……」
※イザベル・アジャーニ主演の映画「可愛いだけじゃダメかしら」の画像が出なかったので、似た感じので代用してみました。あの、ええと、結構顔似てるよね?イザベル・アジャーニとモニカ・ベルッチ。
インディアン・ジョー―フェンスポスト年代記
2006年5月2日 読書
ISBN:4163156402 単行本 レイ・キンセラ 文藝春秋 1995/06 ¥2,039
キンセラのインディアンものの中で、おそらくいちばんぶっ飛んでてドタバタしてます。北極にも行くし大学に講演にも行くし(トラックで向かう途中でブレーキが壊れ、パトカーに追われつつも猛スピードで止まれない)、ホッケーもするし牛追いもするしプロ野球球団も持つし(ほとんど詐欺まがいに押し付けられたのだが)、女王陛下にだってローマ法王にだって会いに行く。主人公サイラス君たちが偶然にも「女王陛下との楽しいひととき」を過ごすことになってしまうあたり、キンセラらしい魔法が効いてて上手いなあ、好きだなあと思いました。
私は同じシリーズの「ダンス・ミー・アウトサイド」を先に読んでたので、お馴染みの登場人物が出るたびに「ああ、あの人がまたこんなことを…」と妙な親近感をもって見てしまいます。サイラスの親友、フランク・フェンスポスト君が車を運転するたびに大破させるのは、もう「バナナで滑る」「ドリフでタライ」並みのお約束になってきました。もっとしっかり止めなきゃダメじゃないかサイラス(最後の方で一度タックルして無理矢理止めたのは偉かった。君が必死で止めた功績を誰も気付かなかったのは残念だが)。サイラス君の性格「基本的に受け身」「流されやすい」「しょうがないので傍観する」て、キ…キ…うぐぅ、キアヌ・リーヴスかお前は!(ゆってしまった)アマゾンの紹介文でも、サイラスじゃなくてフランクが「主人公かつ執筆者」とかいうことになってるぞ(笑)。サイラスなのにしょっちゅう「サイモン」とか言われてるし。周りに強烈なキャラが多過ぎて全然目立たないんだよな。まあそんなとこも大好きなんだが。私が好きになる男ってみんなこんなのばっかりだ。
「ダンス・ミー・アウトサイド」や「パナーシュ」みたいな、ズキンとくる作品やしみじみさせる作品は今回ほとんどないのだけど、その分笑える話が多いですから。
アイスホッケーでマッド・エッタ(巨漢の女呪術師)にゴールを守らせるとこまでは「やるだろうな」と思ってたが、エッタが守るのを面倒くさがってゴールポストに呪いをかけると、相手チームがいくらシュートしても何故か必ずパックがそれていくのには笑った。「牛の大群」はもうタイトルだけでフランク・フェンスポストが何かバカなことやらかしたんだろうと想像がつく。他人のパスポートを使ってたことがバレてテロリストの疑いがかかると、自分の無害さを証明しようと「おれたちはカナダで何度も逮捕されている。おれたちの指紋を調べて照合してくれれば、テロと関係ないことが分かるはずだよ」とサイラス。「ブリティッシュ・コロンビアとサスカチェワンとノース・ダコタとユタでも逮捕されてるから、そこの指紋と照合してくれてもいい」とフランク。あんたたちホントにいいコンビだよ。
個人的には「ダンス・ミー・アウトサイド」の方が好きなんだけど、どっちから読んでもいいと思います。このシリーズの他の短篇も翻訳してほしいなあ……。
追記。サイラス君たちのシリーズはこの2冊の他に、「and Other Stories」(文藝春秋)でも一篇読めます。訳は村上春樹。
キンセラのインディアンものの中で、おそらくいちばんぶっ飛んでてドタバタしてます。北極にも行くし大学に講演にも行くし(トラックで向かう途中でブレーキが壊れ、パトカーに追われつつも猛スピードで止まれない)、ホッケーもするし牛追いもするしプロ野球球団も持つし(ほとんど詐欺まがいに押し付けられたのだが)、女王陛下にだってローマ法王にだって会いに行く。主人公サイラス君たちが偶然にも「女王陛下との楽しいひととき」を過ごすことになってしまうあたり、キンセラらしい魔法が効いてて上手いなあ、好きだなあと思いました。
私は同じシリーズの「ダンス・ミー・アウトサイド」を先に読んでたので、お馴染みの登場人物が出るたびに「ああ、あの人がまたこんなことを…」と妙な親近感をもって見てしまいます。サイラスの親友、フランク・フェンスポスト君が車を運転するたびに大破させるのは、もう「バナナで滑る」「ドリフでタライ」並みのお約束になってきました。もっとしっかり止めなきゃダメじゃないかサイラス(最後の方で一度タックルして無理矢理止めたのは偉かった。君が必死で止めた功績を誰も気付かなかったのは残念だが)。サイラス君の性格「基本的に受け身」「流されやすい」「しょうがないので傍観する」て、キ…キ…うぐぅ、キアヌ・リーヴスかお前は!(ゆってしまった)アマゾンの紹介文でも、サイラスじゃなくてフランクが「主人公かつ執筆者」とかいうことになってるぞ(笑)。サイラスなのにしょっちゅう「サイモン」とか言われてるし。周りに強烈なキャラが多過ぎて全然目立たないんだよな。まあそんなとこも大好きなんだが。私が好きになる男ってみんなこんなのばっかりだ。
「ダンス・ミー・アウトサイド」や「パナーシュ」みたいな、ズキンとくる作品やしみじみさせる作品は今回ほとんどないのだけど、その分笑える話が多いですから。
アイスホッケーでマッド・エッタ(巨漢の女呪術師)にゴールを守らせるとこまでは「やるだろうな」と思ってたが、エッタが守るのを面倒くさがってゴールポストに呪いをかけると、相手チームがいくらシュートしても何故か必ずパックがそれていくのには笑った。「牛の大群」はもうタイトルだけでフランク・フェンスポストが何かバカなことやらかしたんだろうと想像がつく。他人のパスポートを使ってたことがバレてテロリストの疑いがかかると、自分の無害さを証明しようと「おれたちはカナダで何度も逮捕されている。おれたちの指紋を調べて照合してくれれば、テロと関係ないことが分かるはずだよ」とサイラス。「ブリティッシュ・コロンビアとサスカチェワンとノース・ダコタとユタでも逮捕されてるから、そこの指紋と照合してくれてもいい」とフランク。あんたたちホントにいいコンビだよ。
個人的には「ダンス・ミー・アウトサイド」の方が好きなんだけど、どっちから読んでもいいと思います。このシリーズの他の短篇も翻訳してほしいなあ……。
追記。サイラス君たちのシリーズはこの2冊の他に、「and Other Stories」(文藝春秋)でも一篇読めます。訳は村上春樹。
マーガレットとご主人の底抜け珍道中 (望郷篇)
2006年5月2日 読書
ISBN:4150305846 文庫 坂田 靖子 早川書房 1997/07 ¥861
坂田靖子ファンの中でも人気ありますよね、このシリーズ。私も大好きです。短大時代に「旅情編」の方を友達に貸したら「これ、最初っからこんなに面白くていいの?!」とかなり驚いておられました。うんうん、私もびっくりしたんだけど、このシリーズはホント、どこまでもサービス満点だよね。
マーガレット奥さん、ホームコメディのようなシチュエーションで「冷蔵庫にパイが入ってるから食べてね。わたしちょっと出掛けてきますから」とか言っといて唐突に南極行くんだもんな。しかも「エスキモーに会うのよ」ってそれは北極…。しかし飛行機で偶然隣りに乗り合わせた人が南極ペンギンの調査隊で、「よろしかったらご一緒にいかが?」「まあ!嬉しいわ、是非」。奥さんを心配して追いかけてきた旦那は成り行きでペンギンの数を数えるアルバイトしてるし。それがトランポリンで飛び上りながら遠くにいるペンギンの数を数えるという物凄い手法。「現地の人は寒いところに慣れてるし、とても目がよくってトランポリンでペンギンの正確な数を教えてくれるんです」っておいおいホントかよ。で、トランポリンで飛び上がってペンギン数えてる絵がとっても面白いんですが。うーん伝わらないかなあ、すっごく面白いんだけどなあ(無理だよな)。
こちらの「望郷編」も実は最初の短篇から私の好きな話。昔の遺跡の上に麦畑があるせいで、麦が成長すると丸とか四角の模様が浮かび上がるんだけど…、いやこれが、なんてことないんだけど凄くいいのよ。風向きによってじわっじわっと見えてくる遺跡の跡が思いの他広大で、それが長閑な午後に見渡す限り現れる描写がとっても気持ちいい。ついでに「意味もなく感動している」ご主人の様子がまた面白い(笑)。
ネス湖にネッシーがいてインドでは虎がバターになって、列車では推理小説まがいのミステリーが起こるしジャングルには新種だらけ、ヴェネチアでは詐欺師とラブロマンス、古いお屋敷に泊まれば当然のように幽霊が出るし、エジプトから帰るとミイラがついてくる(当然)。そして日本は「紙と木で出来てるものばかりだから燃えやすい!」(笑)。子供の頃に感じた「世界の不思議に対する漠然としたイメージ」が素晴らしく魅力的に描かれてますね。こういう勘違いに満ちた世界を描きながらも、しっかり現実的な面白いオチをつけて締めてくれる辺り、本当に凄いなあとため息が出ます。
そして坂田さんは食べ物を世界一美味しそうに描かれるマンガ家さんですよね。私もマーガレット奥さんを真似して、今度は美味しいパイを作ってみよう。お勧めのレシピ知ってる方いたら是非教えてください。
坂田靖子ファンの中でも人気ありますよね、このシリーズ。私も大好きです。短大時代に「旅情編」の方を友達に貸したら「これ、最初っからこんなに面白くていいの?!」とかなり驚いておられました。うんうん、私もびっくりしたんだけど、このシリーズはホント、どこまでもサービス満点だよね。
マーガレット奥さん、ホームコメディのようなシチュエーションで「冷蔵庫にパイが入ってるから食べてね。わたしちょっと出掛けてきますから」とか言っといて唐突に南極行くんだもんな。しかも「エスキモーに会うのよ」ってそれは北極…。しかし飛行機で偶然隣りに乗り合わせた人が南極ペンギンの調査隊で、「よろしかったらご一緒にいかが?」「まあ!嬉しいわ、是非」。奥さんを心配して追いかけてきた旦那は成り行きでペンギンの数を数えるアルバイトしてるし。それがトランポリンで飛び上りながら遠くにいるペンギンの数を数えるという物凄い手法。「現地の人は寒いところに慣れてるし、とても目がよくってトランポリンでペンギンの正確な数を教えてくれるんです」っておいおいホントかよ。で、トランポリンで飛び上がってペンギン数えてる絵がとっても面白いんですが。うーん伝わらないかなあ、すっごく面白いんだけどなあ(無理だよな)。
こちらの「望郷編」も実は最初の短篇から私の好きな話。昔の遺跡の上に麦畑があるせいで、麦が成長すると丸とか四角の模様が浮かび上がるんだけど…、いやこれが、なんてことないんだけど凄くいいのよ。風向きによってじわっじわっと見えてくる遺跡の跡が思いの他広大で、それが長閑な午後に見渡す限り現れる描写がとっても気持ちいい。ついでに「意味もなく感動している」ご主人の様子がまた面白い(笑)。
ネス湖にネッシーがいてインドでは虎がバターになって、列車では推理小説まがいのミステリーが起こるしジャングルには新種だらけ、ヴェネチアでは詐欺師とラブロマンス、古いお屋敷に泊まれば当然のように幽霊が出るし、エジプトから帰るとミイラがついてくる(当然)。そして日本は「紙と木で出来てるものばかりだから燃えやすい!」(笑)。子供の頃に感じた「世界の不思議に対する漠然としたイメージ」が素晴らしく魅力的に描かれてますね。こういう勘違いに満ちた世界を描きながらも、しっかり現実的な面白いオチをつけて締めてくれる辺り、本当に凄いなあとため息が出ます。
そして坂田さんは食べ物を世界一美味しそうに描かれるマンガ家さんですよね。私もマーガレット奥さんを真似して、今度は美味しいパイを作ってみよう。お勧めのレシピ知ってる方いたら是非教えてください。
ISBN:4063405877 コミック ひうら さとる 講談社 2006/04/13 ¥410
手嶋君は目え悪過ぎじゃないか。酔ってるにしてもなんでそこまで勘違いできるかな。どうやったら「無理してテンパってる女」を「余裕のある大人の女」と見間違うんだ。
うちの図書館に来る男子のみなさん方もひとつ、そんな目で私を見てくれませんか。ダメですか。無理ですか。ありえないですか。そうですか。分かったからそんなに激しく拒絶しないでください。
手嶋君は目え悪過ぎじゃないか。酔ってるにしてもなんでそこまで勘違いできるかな。どうやったら「無理してテンパってる女」を「余裕のある大人の女」と見間違うんだ。
うちの図書館に来る男子のみなさん方もひとつ、そんな目で私を見てくれませんか。ダメですか。無理ですか。ありえないですか。そうですか。分かったからそんなに激しく拒絶しないでください。
ISBN:4309203841 単行本 David Almond 河出書房新社 2003/06/20 ¥1,575
正直読んだ直後は「それほどでも…」と思ったのだけど、しばらくしてからじわじわと、この本で描かれてた光景が頭に浮かんできては心をとらえるようになってしまった。暗闇の中で泥の中から何かを掘り出し続けている老人、水かきのある手を持ち、不思議な喋り方をするヘヴンアイズ、非常口のドア(だったかな)で筏を作り、孤児院を抜け出す子供たち。なんだかどの光景も静謐で夢のように美しくて、思い描いているだけで冷たい朝の空気の中にいるような清浄な気持ちになってゆく。
孤児院を筏で脱出、と言っても胸踊る冒険物語なんかでは全然なくて、3人は川を下るもさっそく濁流にのまれて泥とゴミの溜まった「ブラック・ミドゥン」に乗り上げてしまう。そこにいたのは独自の「イカレた」生活を営んでいる少女ヘヴンアイズと彼女を保護している奇妙な老人。どう見ても頭がおかしいとしか思えない2人なのに、その2人とそこでの生活は、妙に私を惹きつける。孤児院で暮らしていた少女エリンの張り詰めたような語りも、静寂な空気とあいまって緊張感を呼び、ときどき痛々しさを伴いながら強く心に響くのだ。
冒険物語やファンタジーを期待した読者にはガッカリな展開かもしれないが、この物語には確かに、独自の繊細な輝きがあると思います。行き詰ったり、もどかしかったり、自分の力ではどうにもならない状況だからこそ生きてくる、脆いけれど大切にしたくなるような何かが(なんか物凄く漠然とした言い方してます、ごめんなさい)。それが最後まで壊れずに残っているのが見事。エリンを始めとする子供たちの抱えている、少し痛くてヒリヒリする感じそのものが、既に獲難い宝物なのかもしれない。
正直読んだ直後は「それほどでも…」と思ったのだけど、しばらくしてからじわじわと、この本で描かれてた光景が頭に浮かんできては心をとらえるようになってしまった。暗闇の中で泥の中から何かを掘り出し続けている老人、水かきのある手を持ち、不思議な喋り方をするヘヴンアイズ、非常口のドア(だったかな)で筏を作り、孤児院を抜け出す子供たち。なんだかどの光景も静謐で夢のように美しくて、思い描いているだけで冷たい朝の空気の中にいるような清浄な気持ちになってゆく。
孤児院を筏で脱出、と言っても胸踊る冒険物語なんかでは全然なくて、3人は川を下るもさっそく濁流にのまれて泥とゴミの溜まった「ブラック・ミドゥン」に乗り上げてしまう。そこにいたのは独自の「イカレた」生活を営んでいる少女ヘヴンアイズと彼女を保護している奇妙な老人。どう見ても頭がおかしいとしか思えない2人なのに、その2人とそこでの生活は、妙に私を惹きつける。孤児院で暮らしていた少女エリンの張り詰めたような語りも、静寂な空気とあいまって緊張感を呼び、ときどき痛々しさを伴いながら強く心に響くのだ。
冒険物語やファンタジーを期待した読者にはガッカリな展開かもしれないが、この物語には確かに、独自の繊細な輝きがあると思います。行き詰ったり、もどかしかったり、自分の力ではどうにもならない状況だからこそ生きてくる、脆いけれど大切にしたくなるような何かが(なんか物凄く漠然とした言い方してます、ごめんなさい)。それが最後まで壊れずに残っているのが見事。エリンを始めとする子供たちの抱えている、少し痛くてヒリヒリする感じそのものが、既に獲難い宝物なのかもしれない。