ISBN:4488013996 単行本(ソフトカバー) デイヴィッド・アーモンド 東京創元社 2000/09 ¥1,523

児童文学(ヤングアダルト本)は馴染みがないとどう選んでいいのか難しいですね。装丁や邦題に少しでも「あざとさ」を感じると、読みもしないでバカにしてしまうことばかりで。ホント申し訳ないことをしたなと感じる本が過去に何冊もあります。不案内の分野ではいつももっと謙虚でいたい。

デイヴィッド・アーモンドは今でこそ地位を確立した感がありますが、これが邦訳で出た当時は、私はまだ胡散臭い目で見てました。第一印象が悪すぎるんです。邦題も表紙も、作品を読んでから見ると結構納得行くんですが、読む前に見るとウケを狙い過ぎてるようでどうしても好きになれない(好きな人は大好きみたいだが、私はまったくダメでした)。帯を書いてるのが宮崎駿っていうのもまた、却って引かせる原因になったのではと未だに疑っています(苦)。
結果から言うと、この作品は物凄く良かった。ホント表紙や邦題なんかで引いてないで、とっとと読んでれば良かったと激しく後悔しました。宮崎さんもサービスで帯書いてたわけじゃないんですね(しつこい)。

未熟児の妹が今にも死ぬのではないかという不安と共に生きているマイケル。そしてやはり、同じ気持ちを抱えている父と母。彼らはそういった不安を押し殺し、慰め合い、時に耐えられなくなりながら、荒れた庭と今にも崩れそうなガレージと、大掛かりな改装を必要とする新しい家で暮らし始める。

ほんの少し今までと違う時間を過ごしただけで、昨日までの生活にブレが生じるような違和感。見えなかったものがくっきりと現れてくる驚き。妹の死がすぐ間近にあるかもしれないという恐怖。あらゆる出来事に対峙したときのマイケルの描写がどこまでも的確で、決して多くを語っていないにも関わらず思いが激しく胸に迫ってくる。かたちにも言葉にもならない気持ちが、語られないが故に溢れてくるように。この描かれ方はホント素晴らしいと思います。
物語自体も面白くて、隣家の少女ミナの指し示すものたちに次々興味を覚え、魅了されていく。デイヴィッド・アーモンドを初めて読むなら、是非お勧めしたい作品です。

恋愛的瞬間 (3)

2006年4月27日 読書
ISBN:4091913962 文庫 吉野 朔実 小学館 2002/02 ¥600

「窓から落とされそうになったらしがみつくしかないんです、たとえその先生が嫌いだとしても。友達からえこひいきされてると言われてもしがみつくしかなかったんです。私の体操着だけが何度も盗られたとしても、私だけが鍵つきのロッカーを入れるわけにはいかないんです。―――でももし、私の妄想だとしたら?」

『恋愛的瞬間』について言いたいことはたくさんあるんですが、今回は思いきって趣味に走らせてください。私はこのマンガに出てるレギュラーの女子、かしこ、撫子、遊馬(あすま)の3人がもうめちゃめちゃ好きなんだ。「ツインピークス」で言うとドナ、オードリー、アニーって感じ?いや、かしこはドナっていうよりシェリーかなー、うーん(そんなに悩まなくても、誰も分からんて…)。タイプは全然違うんだが3人とも見事にツボ。大好きだ。実は男子たち(羽左吉君と司。あ、かしこの年下の彼氏もいいなー)も好きなんだが、余りに女子が可愛いのでもう、男子はどうでもいい。特に私の好みをそのまま体現してるような、小柄でグラマーな撫子なんて最高。いや容姿だけじゃなくてね。自分の彼女の事を、無自覚に貶めるような言い方をする男に向かって「そーいうことを!ベラベラ喋るなバカモノ!!」とキレてる彼女にキュンとくる。

まあやっぱりあれだ。私は吉野さんの絵が好きなんでしょう。ちょうどいいくらいの配分で萩尾望都が入ってるような感じが。あんまりマンガ知らないくせにこういうこと言うと殴られますかね。でも正直に感じたままの感想です。

何度「君は正常だから安心しなさい」と言われても不安をぬぐえなかったのが、「完全に異常だよ」と言われた途端に救われたような気持ちになったことがある。「ああ、良かった。やっぱり異常なんだ。これでやっと、治すことができる」と。正常だと言われ続けると、たとえそれが励ましであっても気遣いであっても、「あなたは治療を受ける資格がない」としか受け取れていなかったのだ。こういうことってみなさんありませんか?思いがけない言葉を、ずっと欲していたことに気付くということが。「君に責任はない」という言葉で救われる人もいれば、「君の責任だ」と言われて救われる人もいる。「いつかきっと、酷い目に会えるよ」と保証された撫子は、たぶん本当に酷い目に会って、幸福になれるのだろう。
ISBN:4150102139 文庫 フレドリック・ブラウン 早川書房 1976/11 ¥630

突如地球に現れた、緑色がかった小人の火星人たち。地球侵略するわけでもなく、人間に危害を加えるわけでもないが、とにかく人の邪魔ばかりする。毒舌、嘲笑、秘密の暴露、瞬間移動能力で突然現れてはさっさと消え、交通事故を多発させ、TVやラジオの放送妨害、恋人たちの邪魔から国家機密の触れ回りまで、人が嫌がることは何でもする。武力行使に出ようにも、火星人の身体には触れることができない(すり抜けてしまう)のでダメージひとつ与えられない。一体彼らは何なのか。本当に火星人なのか?本体ではなく投影に過ぎないのではないか?我々の集団妄想なのか?いつまで地球にいるつもりなのだ?目的はなんなのだ?さまざまな疑念を呼びながら大混乱に陥ってゆく世界。そんな中で、作家のルーク・デヴァルウは「火星人を生み出したのは自分ではないか」と思い始める……。

唯我論(この世のすべてのものは、自分の想像の産物なのでは?という考え方)を大っぴらに小説にしてみました、という話ですね。オチに期待しすぎるとちょっと物足りなく感じるかも。火星人たちの邪魔っぷりは見事です。侵略目的ではなく、ただただ人を嘲りに来てるだけの宇宙人ていうのも、当時かなり新鮮だったんじゃないでしょうか。フレドリック・ブラウンはこの「火星人ゴーホーム」と「みみず天使」しか読んでませんが、作者、読者、書かれた本(下手に「テクスト」とか言い出すとまた面倒な話になりそうなのでやめとく)という関係を意図的に作品に盛り込んでゆくのがお得意のようだ。「唯我論とはそんなに稚拙な考え方だろうか?」というような、ちょっと意表を突くような意見を出してくるとこも上手いと思います。
ブラッドベリほどの感銘は受けなかったけれど、火星人たちに振り回されて、にっちもさっちも行かなくなってゆく世界を読むのはなかなか面白かった。古典SFとして押さえておくと、何かと便利そうな一冊(笑)。
ISBN:4488612059 文庫 レイ・ブラッドベリ 東京創元社 2006/02/27 ¥924

ブラッドベリばっかりですいません。最初の「ウは宇宙船の略号さ」(R is for Rocket)だけでもう、胸いっぱいになっちゃって大変でした。既にハヤカワ文庫で読んだ話も多く含まれてましたが、「ウは宇宙船の略号さ」一篇だけのためにこの本の全額出しても私は全然惜しくないですよ。いやこれはホント、たまらないですよね。胸が苦しいのに物凄く面白くて、何度も何度も読んでしまいます。
二度と戻らない「最後の土曜日」を「いつものとおりに」過ごすクリスとレイフ。お互いに事情を了解していながら「来週の土曜日に」また会おうと言い合うふたり。「ぼくらは男の子で、男の子だということが気に入っていて、町に住んでいてその町が気に入っており、学校もかなり好きだし、フットボールが好き、お父さんやお母さんが好きで……」そしてそれよりももっと好きな、宇宙船。クリスが「選ばれた」ことによって、あらゆる物語が繊細な現れ方をしては消えてゆく。それがあんまり魅力的に語られるので、いつまでも余韻が消えないのだ。

他にも「霧笛」「宇宙船乗組員」「この地には虎数匹おれり」「いちご色の窓」「霜と炎」など、印象に残る名作が盛りだくさんで、なかなかお買い得かもしれない。私が実は気に入っている「竜」(The Dragon)が収録されてるのもポイント高い。いやこれ、あの、いいですよね?ダメですか?(笑)ブラッドベリにしてはオチが明快で、読んでで非常に気持ちいいんですが(よく読むとそれほど明快でもないんだけど)。O・ヘンリとか好きな人にはぐっと来るんじゃないか、などと勝手に思っています。

さんづけ

2006年4月24日 日常
学生 「ナタリー・ポートマンて可愛いですよねー」

ロクハナ 「ナタリーて、ジャン・レノと一緒に出てた、あの?」

学生 「そーそー。『レオン』に出てた…」

ロクハナ 「ああ、マチルダさん役の子な!」

学生 (……「さん」はいらねえだろ…)
学生 「引っこ抜くとき『ギャーッ』って悲鳴あげる植物ってなんでしたっけ。6文字」

ロクハナ 「悲鳴?ああ、あれだほら、アンゴルモアじゃなくて…」

学生 「ア、アンゴルモア?!」

ロクハナ 「!分かった、マンドラゴラ!!」

学生 「あ、ああ!そうでした…」

ロクハナ 「いやー分かって良かったね。スッキリ」

学生 「はい…。でも………あの、アンゴルモアて…」

ロクハナ 「うん、惜しかった!

学生 (………惜しいか??)

※アンゴルモア=1999年7の月に降ってくるはずだった恐怖の大王
ISBN:406337596X コミック サラ イネス 講談社 2006/04/21 ¥560

珍しく発売日に買いました。ちゃんと平積みしてありましたよ感心ですね。
私とことえりが「入荷しますか?いつ入荷しますか?えっ、入荷しないんですか?どうしてですか?取り寄せできますか?」と店員さんにさんざん精神攻撃した結果でしょう。きっと。
『ガメラ』『ガメラ2』と3部作をなす平成ガメラ・シリーズ第3作。第1作に登場したギャオスが再登場するほか、親を殺されガメラを憎む少女が育ててしまう邪神イリスが京都に襲来し、神社仏閣や落成間もない京都駅ビルを破壊しつつガメラと戦うクライマックスが最高の見どころ。

今月末から公開の新作ガメラ「小さき勇者たち」面白そうだよね!宣伝に出てくるトト(ガメラ)がもう可愛くて可愛くて、「キャーこれ見たーい!!」と一人ハイテンションで大騒ぎ中。私の熱い思いを受け止めようにも「ガ、ガメラっすか…?」と戸惑いの表情を隠せない学生たち。うんそう。ごめんね、ガメラで。

なんかいかにもガメラマニアみたいな態度取ってるけど、実は私、ガメラシリーズは「ガメラ3 邪神覚醒」しか見ていないというまったくのド素人。だから細かい「設定」とか聞かれても正直全然分かってないのだ。出来る説明と言ったらせいぜい、ガメラを悪役だと思ってる人に「違うんだよ、ヒーローなんだよ。人類のために戦ってくれてるんだよ」と言い張るくらい。間違ってますかこの説明。合ってるよね?
いやあの、ガメラね、カッコイイんですよ。人類を襲うギャオスと戦うためにあちこち都市破壊しちゃうけど、そのせいで人間に恨まれて、せっかくギャオスと戦ってくれてるとこを自衛隊に攻撃されちゃったりしてるけど、それでも必死で人類を救おうと戦ってるんですよ。見てくれがちょっとかなり(とても)怪獣なだけで、中身は心優しき孤高のヒーローなんですよ。最後なんかあれだ。自ら片手吹き飛ばして、もう片方の手に前田愛ちゃんですよ。どうだこの、思わずユパ・ミラルダかお前はと突っ込みたくなるような見事なヒーローっぷりは(そして愛ちゃんはケチャ。ここは分からなくても良い)。

「3」のヒロインはガメラとの戦いに巻き込まれて両親を失ったという設定の前田愛。ガメラに復讐するため邪神イリスを育てる彼女の姿は、きっとマニアにはたまらんものと思われる。鳥っぽいくせに触手(?)いっぱいのイリス。母親のように甲斐甲斐しく世話をやく愛ちゃん。「どうしたの?食べないの?……口は…どこなの?」。と、先端に刃物のような爪が生え、缶詰めがけてシュッと突き刺さる触手。あっという間に中身を吸い取られる缶詰。ああ、そこが口でしたか(ちょっと意外)。

精巧なミニチュアで作られた都市の破壊も容赦なく行われます。一度でもジオラマとか作ったことある人なら思わず「キイーーヤアーーー!!」と叫びたくなってしまうこと必至。私も叫びましたけどね。どちらかというと嗜虐的快楽の叫びでしたが(笑)。散々苦労して作ったであろうミニチュア都市を、あんなに大胆にぶっ壊すとは…。ああ、新しい京都駅がメチャメチャに……フフ、あれ?なんか気持ち良くなってきた。そんな感じ(※分からなくてもいいです)。今どきなかなか見れないこのアナログ感。体感したい方は是非どうぞ。

追伸:私と一緒に新作ガメラを見に行っても良いという、良い子のみんな、もしくは良い子をお持ちの親、私の携帯まで連絡を。
「ザ・ウォッチャー」の中で、キアヌをラジカセでブン殴ってた女の子が聴いてた曲。
聴き覚えがあったので「なんだっけな、あれ」とずっと考えてたんですが、さっき思い出しました。NO DOUBTの「Don’t Speak」懐かしいですね。

余談ながら、あの女の子にはキアヌ出し抜いて上手いこと逃げ切って欲しかった。
DVD ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 2003/10/22 ¥3,990

全国の「へっぽこキアヌ」ファンのみなさんこんにちは。お待たせしました。どこ行ってもボロクソに叩かれてる立派な駄目作品「ザ・ウォッチャー」です。

いやコレは…私には珍しいことですが、キアヌを責める前に脚本を責めたい。どうしてこんなことに(笑)。時間がなかったのか?やる気がないのか??才能がないのか???とにかく聞きしに勝る酷い出来です。劇場に行って見られた方に対しては「お、お気の毒…」としか言いようがありません。いや、出演者はみんな結構いい演技してるんですよ(キアヌ以外)。だから余計切ないというか…。面白くなりそうな要素はあったと思うんだけど、結果的に全然面白くなりませんでしたね。うーん残念。

さーて、キアヌを責めるぞー(やる気いっぱい)。まず、「狂気の連続殺人犯」などという非常にオイシイ役をいただいておいて、何故他の役者に食われるか。FBI捜査官役のジェームズ・スペイダーの方が断然印象に残ってるよ(涙)。ああもう、どれだけ多くの女子がアナタの変質っぷりを楽しみにしてたと思ってるんですか(と言うか私が楽しみにしてました)。もっと怖がらせて震え上がらせて興奮させてくれよー。「キアヌ怖い、でもカッコイイ(はぁと)」とか思わせてくれよー。全然怖くないよー。とか言いつつ、口にガムテープ張った被害者の女性にキスするシーンで思わず鼻血出しちゃったのは内緒です。あ、ち、違うぞ。私がそういうプレイを好きっていう意味じゃないぞ。そういうキアヌが好きなだけだ(どういうキアヌだ)。
あとやっぱり、人殺した後のあのダンスは変ですね。勝利の舞い?求愛ダンス?いずれにしても何てキレのない踊り…面白かったが。これはもう、「へっぽこキアヌ」ファンには「堪らない」シーンです。そしてそうじゃない一般の方には「堪えられない」シーンでしょう。私は見るたび愛情爆発しちゃうんですが。なんだろうこれ。母性?(笑)

うーん、思ったより突っ込めなかったな。作品が浅過ぎて突っ込みようがない…。とにかくTSUTAYAで誰も借りてない理由はよく分かりました。最後いっこだけ褒めとこう。キアヌの喋りが他の作品と比べて割とまともに聞こえました。
ISBN:4931284086 単行本 Rosamunde Pilcher 朔北社 1995/10 ¥2,520

「私の人生って無駄だったんじゃないかしら」輝きに満ちた素晴らしい少女時代を送り、貧しい戦時下も懸命に生きぬき、恋をして、結婚をして、子供たちを育て、今では孫もいる主人公の老女ペネラピ。彼女が人生の終わりにさしかかり、ふと虚しさにとらわれる。その瞬間が本当にやりきれなくて悔しい。ペネラピほど素晴らしく魅力的な人が、こんな思いにとらわれなきゃいけないなんて。

「シェルシーカーズ」はロザムンド・ピルチャー作品の中でも1、2を争う傑作です。押し付けがましいハートウォーミングな物語なんかではないし、お婆さんの退屈な思い出長話なんかでも決してない。いや読んでからそう思うのならしょうがないけど、読む前にそう思われてしまうと本当に悔しいのだ。いかにも女の一大年代記という出で立ちに「受けつけないかも…」と思ってしまうのはすごく勿体無い。時代がどんなに動いていこうと、ペネラピの持つ自然な魅力にむしろ驚かされてしまうはず。あれだけ俗物に囲まれながら、どうしてこんなに素敵な人でいられるのだと。

ペネラピが姑と初めて出会うシーンで、姑はしきりと、ペネラピがストッキングを履いてないことばかり気にしている。ここ読んでるだけで姑に対して「わあ、なんて詰まらない人(笑)」と思っちゃうけど、こんなのは序の口で。姑の性質はペネラピが生む長女のナンシーにも遺伝し、ナンシーはまた面白いくらいの俗物さを遺憾なく発揮。彼女は見栄とプライドの塊で、見映えの良いものばかり好み、「欲しい」ではなく「要る」と言う。住所に「旧牧師館」と書きたいがばっかりに無理して高い家を買い、子供たちの教育費と自分の肥満と、夫からの無関心、母親(ペネラピ)の「世渡り下手」っぷりを嘆いている。なんか、こういうのって貧しくて居た堪れない。この人、例えお金持ちになれても絶対幸せになれない気がする。
ペネラピを取り巻く人たちってこんなのばっかりで、ホントどうやったらこんな中で窒息せずに生きられるんだ?と疑問に感じるけど、それは読み進むにつれてだんだん分かってくる。画家の父と、フランス人の若く美しい母親から受け継いだペネラピの素晴らしい資質。彼女を愛した一人の男性(子供たちは彼を知らない)。そんな彼女の過去の物語に、きっと魅了されること請け合い。人生ってこんなにも美しかったのか、と、驚きながらも感動してしまいます。そして一瞬とはいえ、「無駄だったのかも」などとペネラピに嘆かせてしまった側面に、どこまでも胸が痛むのである。

無事にカエル

2006年4月12日 日常
デザート用の白ワインごときでへべれけに酔っぱらい、何故か「ケロロ軍曹」のDVDをご機嫌でレンタルしてきた先週の私。しかも余りに面白くて2回見た私。「流しの中に入って食器洗ってるケロロが物凄く可愛いんだよ」とあちこちで力説していた私。いかん。こんなんじゃいかん(ような気がする)。同じ過ちを繰り返さないよう、今後はもっと、慎重に事を運ぶであります。「であります」とか言ってる時点で既に雲行き怪しいが。

今日のデザートに用いる酒は「コアントロー」。ホワイトキュラソー、オレンジリキュール、なんかそんな酒みたいです。あからさまに酒知識ゼロですいません。ウチは両親、弟は勿論、父方母方両祖父母に至るまで全員酒飲めないという見事な下戸家系。だもので、あまり酒に対する常識がないのです。「コアントロー」が酒の名前だってこと自体最近まで知りませんでした。
さて、前回見事に酔っぱらったので、今回は私の分だけ酒抜きで作ろうかなと思っていました。でも匂いを嗅いだら白ワインの時と比べてかなり平気だったので、まあ大丈夫なんじゃないか、と思い、おそるおそるレシピ通り酒を加えることに。オレンジジュースなども結構加えたため、味見してみると甘いだけでまったく酒臭くない。お酒入ってると言われなければ気付かないほど。おお、コアントローなら私、まったく問題ないではないか。やっぱりワインがダメなだけだったんだな。匂いだけでやられたもんなあれは。そう思って一気に酒解禁。心置きなくデザートを満喫いたしました。フルーティでめちゃめちゃ美味しかったんだこれが。「家でも作りまーす」とか言っちゃって。前回は料理教室出た後もずっと吐く息が酒臭かったのだが、今回は全然そんなこともありません。楽しくお買い物して帰りました。やー、酔っぱらって上機嫌もいいが、シラフで歩くのもまた清々しくて良いものだ。

2時間ほど街をぶらぶらして帰宅。さてバイトの用意をしようと鞄を開けると、出てきたのがケロロのガシャポン×2、ケロロの顔が回転するキーホルダー×1、マンガ「ケロロ軍曹」の2巻。

……ああ、うん……

やっぱり酔ってたんだな

(しかも前回より悪化してる気がする)。
DVD 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2002/06/19 ¥4,179
アメリカ片田舎でしがない日々を過ごすレイン(クリスピン・グローヴァー)やマット(キアヌ・リーヴス)ら不良少年たち。ある日、仲間のひとりサムソン(デイヴィッド・ローバック)が同級生の少女を殺してしまい、みんなはサムソンを元暴走族の中年フェック(デニス・ホッパー)の家にかくまってもらうことに。片足が不自由でダッチワイフとともに生きるフェックとレインらの間に奇妙な連帯感が生まれていく。しかしマットが警察に通報しようとしたことからみんなの関係性は微妙な方向へと…。

キ……キイーーーヤアーーーッ!!(※悲鳴)
若いキアヌ(22才)、そりゃカッコイイだろうとは思ってたけど、ここまでとは……。思わず調子に乗って「この当時のキアヌならジョニー・デップよりカッコイイ!!」と言い張り、そばにいた学生と大喧嘩になりました。負けました。め、面目ない>キアヌ

(気を取りなおして)すごいなこれ。キアヌがちゃんと微妙な役をこなせる繊細な男子に見えてるじゃないか。いっつも受け身過ぎて主役張っても脇役にアッサリ食われてる彼なのに、この作品では受け身気質を逆手に取って逆に目立ってるよ!!奇跡だな。多分絶対たまたまだが。それにしてもいくら受け身気質とはいえ、セックスするときまで下ですか

もっとこう、「ワケワカラネエ」映画だと思ってたので、予想外の見やすさに「あれ、思ったよりいいじゃん」とうっかり評価が上がってしまう、そんな作品。登場人物たちの不感症気質(友達の死体見ても何も感じない)は理解できるが、かといって彼らに強く共感するなんてこともない。そんな引き具合が却って良い仕上がりになったのでは。ヘンテコ映画の割に妙な清々しさもあって、「別に好きなわけじゃないんだけどね〜」とか言いながらまた見てしまいそうだ。

キアヌの妹役の子がキアヌに向かって「ミシー(お人形)のお葬式に来る?」と聞くと、「行くよ」と答えるキアヌ。ちょっとここ、イイですよね。鼻血出そうになりました。私もこんなお兄さんが欲しいです。
ISBN:4151300937 文庫 アガサ・クリスティー 早川書房 2004/08/18 ¥798

ホームズが好きな人はルパンが読みづらく、ルパンが好きな人はホームズが読みづらいそうですが、「アガサ・クリスティーが読みづらい」っていう人いますか?私は多分、ホームズよりルパンより読みやすいです。と言っても、比較できるほど読んでないというのが実状なんですけどね(ごめんなさい、ミステリーはSFに次いで弱いのです)。

クリスティーと言えば「ABC殺人事件」や「オリエント急行の殺人」「そして誰もいなくなった」などが有名ですが、私は何故かそういった有名作品に縁がなく、別に狙ってるわけでもないのにポアロもミス・マープルも出ない作品にばかり当たっていました。当時は「うわ、またマイナーな方選んでしまった」と軽く気落ちしてたのですが、今思うとなかなか良い作品に多く出会えていたので、結構ラッキーだったのかなとも思っています。
「蒼ざめた馬」はクリスティー作品の中でもおそらくオカルト要素の強い作品。「呪いで人を殺せるか」といった、ちょっと「トリック」っぽいお話。実はゴシックな雰囲気を書かせるとべらぼうに上手いクリスティー。「まさかね、そんなことあるはずないよね」と思いつつ、「でもひょっとして」という隙を突いてくる手腕がさすがです。例によってポアロもミス・マープルも出ませんが、出てくる人物がみんなびっくりするくらい個性的で面白い。特に、鋭いんだか鈍いんだか、ただ話を交ぜっ返しに出てきてるだけじゃないのかというオリヴァ夫人のキャラクターがとても素敵。クリスティー自身も楽しんで書いてるのかもしれないけど、読んでる方も彼女が出てくるとホッと人心地つくような安心感を覚える。こういうオカルト趣向の強い作品には、彼女のような存在が非常に有り難い。個人的に、脇役の女の子たちも実は結構好きでした(笑)。そんなとこでも、クリスティーって別にミステリーじゃなくても十分面白いよな、と再確認させられます。

願いを叶えて欲しいと魔術師にすがる人たちはみなもっともらしい大義名分を持ち出すけど、取り繕っているものを剥がせば中身は全部同じ。「媚薬か毒薬」。人が欲しがる「魔法」なんて、突き詰めればこのどちらかしかない。そこで実際に行われる魔術だって同じこと。儀式だとか呪文だとか雰囲気だとか、そんな飾りをみな取り払ってしまえば、残るのは催淫剤か毒だけなのよ。こんな核心を突くようなことを登場人物に言わせるあたりも上手いですね。こういうことって、分かってる気になってるけど実は簡単に忘れがちだから。それで毎回まんまと「うわべの飾り」に騙されてる私は本当にアホだと思います。

実はキリカのレビューを読んでて私も「春にして君を離れ」で書こうと思ったのだけど、あれは私にとっても未だに恐ろしい作品で、とてもとても書けませんでした(汗)。ああああああれはホント恐いよね?「自己満足」なんて、最も陥りやすい罠じゃないか?読んでて「うああああ、もう勘弁してください」と何度謝ったことか(誰に)。あの本の恐ろしいところは、めちゃめちゃ恐いくせに読むのをやめられないところだ…。ここだけ私信ぽくてごめん。

ハヤカワから出たクリスティー文庫は、字が大きくて読みやすいですよ。訳も新しいので、クリスティーを読み返したい人にも、初めて読む人にもお勧めです。私も次こそはポアロかマープルを読もう。
ガンダムネタでよく使われる「通常の3倍の」能力だかスピードだかっていうアレ。思いきって言っちゃいますが、私実は、そのセリフが

どこで使われたのか全然覚えてない

えーと…一応、最初のガンダムは「劇場版」で全部見た(というか見せられた)はずなんだが…でもまったく覚えてないの。このセリフは、誰がいつ、どういう状況で言ったの?知ってる人いたら、お、教えて…。
あと、もういっこ、これもまた有名な「マチルダさーーん」てのがあるじゃないか。あれも分からんのだ実は。マチルダさん自体は覚えてるし、彼女の最期も覚えている。でも「マチルダさーーん」なんてセリフあったか?知らん。まったく覚えていない。
さらに、これはエヴァンゲリオンなんだけど、よく使われる「私のこと、好き?」ぜ、全然記憶にない…。そんなこといつ言ったんだ綾波。「大きなお世話よバーサン」とかなら覚えてるんだが。何話目だか知ってる人いたら是非教えてくれ…。

こんなにいろいろ肝腎なこと(?)聞き逃してる様を見ると、実生活においても大事なことをサッパリ聞いてないんじゃないかと若干不安に駆られる。

………。

ここ最近、私に向かって「告白」ないしは「プロポーズ」、「別れ話」「解雇宣告」などを切り出した覚えのある方は今すぐ名乗り出てください。
自分では「嵌まってなんかいない」と主張しつつも、土曜の早朝から飛び起きてソワソワしているロクハナ。本屋さんに行くとすかさず児童書コーナーをチェックしてしまうロクハナ。さすがに家族も少し不安になってきたらしい。

「もー。変なグッズとか買わないでよ?いい年して」
「か、買わないワヨッ。誰が角川なんかに金落とすものですか」

そこへ通りかかる小学生。手に持ってるのは「ケロロランド」(角川出版)。途端にロクハナ態度急変。

「うわ!なにあれすっげーよくない?」
「………(喋り方まで変だし)」

結局コミック買って帰りました。マンガくらいね…。い、いいよね…。

恋愛適齢期

2006年4月7日 映画
DVD ワーナー・ホーム・ビデオ 2005/11/18 ¥1,500
若い女が大好きな60過ぎの富豪ハリーは、恋人マリンの別荘で倒れ、母親エリカに介抱される。彼女は劇作家として成功をおさめ、この別荘で新作を執筆中。離婚後、気ままな生活を送ってきたエリカは、傍若無人な振る舞いをするハリーに少々困り気味だったが、次第に気があうようになる。そんなとき、彼女はハリーが通う病院で知り合った、20歳年下の医師ジュリアンにひとめぼれされる。

ロクハナ「キアヌでいいじゃん!!キアヌでいいじゃんかあーー!!」

ヤシダ「みんなそう思ってました、みんなそう思ってましたから…」

ロクハナ「何が不満なのさダイアン!!ムキーッ」

ヤシダ「だってそれじゃ流れがおかしく……落ち着いてください…」

落ち着くまで感想保留。たぶん永遠に落ち着くまい。
ISBN:4150411077 文庫 レイ・ブラッドベリ 早川書房 2006/02 ¥840

字が大きくなってくれたのが嬉しくてしょうがないです、ブラッドベリの文庫。
以前書いた「刺青の男」と同様、こちらも短篇集。萩尾望都がマンガ化した「霧笛」で始まるので、読んでて「あ、アレか」と気付く人も多いはず。恐竜が灯台に会いに来る話、と言ってしまうと身も蓋もないが、何ヵ月もかけて水圧に身体を慣らしながら水面に現れる様は壮絶で、終わり方もうそ寒くなるような恐ろしさで素敵である。O・ヘンリ賞を受賞した快作「発電所」も入ってます。これはちょっと、SFの短篇としては上手すぎて嫌味なくらいの作品(笑)。素晴らし過ぎて文句のつけようがない分、偏愛しにくいです。いや別にしなくていいんだが。映画化された「サウンド・オブ・サンダー」も入ってますね。でも何より嬉しいのは、私の好きな「四月の魔女」が入っていること。後に長編「塵よりよみがえり」として一冊に纏められる中の断片なんですが、これは読んでて最高に気持ち良い作品。人や動物や物など、あらゆるものに「宿る」ことができる能力を持つ魔女セシーが、ひとりの少女に宿って恋を体験する物語。少女に宿る前のありとあらゆるモノに宿るセシーからして既にすごく気持ち良さそうで(夏の暑い日は涼しい川底でアメーバーに宿ることもできるんだよ、羨ましい)、この能力と引き換えに恋をするのは確かに惜しいなあと思ってしまう。もちろん少女に宿ってからのセシーもすっごく魅力的だから、是非そちらも楽しんでください。宿られた方の少女の事情なんかお構いなしに、セシーを応援してあげたくなること請け合い。
「刺青の男」はいわゆる近未来SFというか「ロケット時代」モノが多いんですけど、こちらは「四月の魔女」のようなノスタルジック風味の「不可思議な」物語が結構入ってるので、SFに抵抗ある人でも入りやすいと思います。

この短篇集、最初から素敵なんですよ。

「――愛をこめて
 南のよき魔女グリンダの娘ネヴァに」
ISBN:489423291X 大型本 森下 圭子 文溪堂 2001/09 ¥1,575

私の好きな連載はどういうわけかいつもピタッと止まってしまう「ほぼ日」。何故でありますか。圭子 森下・ヒルトゥネンさんの「サンタの国フィンランドから」の再開を切に切に願います。私はあの連載に出てくるフィンランド人の生態が大好きでした。
DVD バンダイビジュアル 2004/08/27 ¥3,990

そんなわけでDVD借りてきました。一緒に借りたキアヌそっちのけで(!)見てマース☆合言葉ーはー、キアヌと軍曹ー(とめて)。

ごめん、ちょっと酔っぱらってます。料理教室でデザートのシロップに混ぜた白ワインが予想外に効いている。あんなにしつこく火にかけてアルコール飛ばしたってのに。
ああああ、なんでカエルなんか借りてきたんだろう私。他に見たいのいっぱいあったのに。攻殻機動隊だってまだ2ndまでいってないのに。でも、でも面白ーい☆ガンダムネタがどうとか以前に、ケロロのカタチが面白い。こういうカタチ大好き。
ケロロはふてぶてしくて調子に乗りやすくてバカでせこくて喜びを隠せないとこがすごく可愛いと思います。あとカタチ(わかったわかった)。

でもそろそろ酔いが醒めてきたからキアヌに戻るー☆ケロロ、実に短い侵略期間でした。

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